顎関節症(TMD)がくかんせつしょう(てぃーえむでぃー)

顎関節症(TMD)は、あごの関節やその周囲の筋肉にトラブルが起こり、「あごが痛い」「口が開きにくい」「口を開けるとカクッと音がする」といった症状が出る病気です。多くは命に関わるものではありませんが、放置すると食事や会話がつらくなることもあるため、早めの対処が大切です。

⚫︎顎関節症(TMD)とは?

顎骨腫瘍は、その名のとおり「顎の骨にできる腫瘍」のことで

  • 良性腫瘍(エナメル上皮腫、歯牙腫 など)
  • 悪性腫瘍(顎骨中心性の扁平上皮癌、骨肉腫 など)

の両方を含む広い概念です。

特に顎骨に特徴的なのが「歯原性腫瘍(しげんせいしゅよう)」と呼ばれる一群で、歯ができるときの組織が異常に増殖してできる腫瘍です。多くは良性ですが、中には再発しやすいものや、まれに悪性化する種類もあります。

良性腫瘍は一般的にゆっくり大きくなり、あごの骨が内側から押し広げられるように膨らむ一方、悪性腫瘍は周囲の骨を壊しながら早く広がり、痛みやしびれを伴うことが多いとされています。

⚫︎顎関節症(TMD)の原因

顎骨腫瘍の原因は、腫瘍の種類によってさまざまですが、代表的なものは次のように考えられています。

歯の発生に関わる組織の異常増殖

歯が作られる過程で残った細胞(歯胚の残り)などが、何らかのきっかけでゆっくりと増殖して腫瘍になると考えられています(歯原性腫瘍)

口腔がんや他臓器がんの顎骨への浸潤・転移

歯肉がんなど口の中のがんが顎骨に広がったり、肺がんや乳がんなど他の臓器のがんが骨転移として顎骨に現れることがあります。

骨そのものから発生する悪性腫瘍

顎骨に生じる骨肉腫やユーイング肉腫など、骨を構成する細胞ががん化して起こる腫瘍もあります。

多くの場合、「○○をしたから顎骨腫瘍になった」という明確な原因は特定できず、生活習慣や食事だけで説明できる病気ではありません。

⚫︎顎関節症(TMD)の症状は?

顎骨腫瘍の症状は、良性か悪性か、発生部位や大きさによって異なりますが、代表的なものは次のとおりです。

あごや歯ぐきの腫れ・膨らみ

良性腫瘍では、ゆっくりと顎骨の内側から膨らみ、外から見ると「片側だけ少しふくらんでいる」「歯ぐきが盛り上がっている」といった形で気づかれることがあります。多くは初期に痛みがありません。

歯の動揺・歯並びの変化

腫瘍が大きくなると、周囲の歯が押されて傾いたり、ぐらついたり、抜けてしまうこともあります。その結果、かみ合わせに支障が出ることがあります。

痛み・しびれ・出血

悪性腫瘍では、増大とともに顎骨が破壊され、痛みが強くなったり、下唇やあご周囲のしびれ(知覚異常)、歯ぐきからの出血などがみられることがあります。

その他の症状

口が開けにくい、噛むと痛い、入れ歯や被せ物が急に合わなくなった、歯科レントゲン検査で偶然影を指摘された、などの形で見つかることも少なくありません。

⚫︎受診の目安

のような場合には、一度歯科口腔外科などでの受診をおすすめします。

  • あごや歯ぐきの一部が、数週間〜数か月かけてゆっくりふくらんできている
  • 押してもあまり痛くないが、固い「しこり」のような膨らみがある
  • 歯がぐらつく、歯並びが急に変わった、噛みにくさが続く
  • あごや歯ぐきの痛み、しびれ、出血が長引いている
  • 歯科で撮ったレントゲンで「骨の影がおかしい」と言われた

特に、痛みやしびれ、出血を伴う場合や、短期間で急に大きくなってきた場合は、悪性腫瘍の可能性もあるため、早めの精査が重要です。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

顎骨腫瘍が疑われる場合

  • 問診・口腔内診察・触診で、腫れの場所や硬さ、歯や粘膜の状態を確認する
  • レントゲンやCT・MRIなどの画像検査で、骨の中の広がりや性状を把握する
  • 組織検査(生検)で、腫瘍の種類(良性か悪性か、どのタイプか)を確定する
  • 結果に応じて、外科的切除を中心とした治療方針を立てる

という流れで進みます。

治療の基本は「腫瘍をできるだけ取り残しなく切除すること」で、良性腫瘍でも再発しやすいタイプでは、通常より広めに切除することがあります。悪性腫瘍では、切除に加えて再建手術や放射線・薬物療法などを組み合わせます。

⚫︎顎関節症(TMD)の診断

1)問診・診察

  • いつ頃から腫れや違和感があるか
  • 痛みやしびれの有無、増え方
  • 歯の動揺・抜歯歴・外傷歴

などを詳しくうかがい、口の中や顔の左右差、首のリンパ節の腫れなども観察します。

2)画像検査

パノラマX線(歯科用レントゲン)

上下の歯とあご全体を一枚で写す検査で、骨の中の透けた部分(透亮像)や白く濃い部分(不透過像)など、腫瘍の存在やおおまかな範囲を確認します。

CT検査

骨の破壊や膨隆の状態、周囲組織との関係を立体的に評価します。特に悪性腫瘍や大きな腫瘍では重要な検査です。

MRI検査

骨の中だけでなく、軟部組織(歯ぐき・頬など)への広がり、腫瘍内部の性状(液体成分・固まりなど)を詳しくみるために用いられることがあります。

3)組織検査(生検)

  • 局所麻酔下で腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で腫瘍の種類を調べます
  • 良性の歯原性腫瘍か、悪性腫瘍か、その中でもどのタイプかによって、切除範囲や再発リスクが大きく変わるため、非常に重要な検査です

4)必要に応じた全身検索

悪性腫瘍が疑われる場合は、胸部CTやPET検査などで、他の臓器への転移や原発巣(もとになったがん)の有無を確認します。

⚫︎顎関節症(TMD)の治療

A. 良性顎骨腫瘍の治療

腫瘍の掻爬(そうは)・摘出術

比較的小さな良性腫瘍では、骨の中の病変部をくり抜くように取り除く手術が行われます。

顎骨の部分切除

エナメル上皮腫のように再発しやすい腫瘍や、範囲が広い腫瘍では、周囲の健常な骨を含めて顎の一部を切除し、再発を防ぐことを優先します。

再建手術

切除範囲が大きく、顔の変形や噛む機能に影響する場合、骨移植や金属プレートを使って顎を再建する手術が行われることがあります。

B. 悪性顎骨腫瘍の治療

広範囲切除術

十分な安全域を取って腫瘍を切除し、その後に顎の再建を行うことが多いです。

放射線治療・化学療法

腫瘍の種類や広がりによって、手術前後に放射線や抗がん剤を組み合わせることがあります(骨肉腫やユーイング肉腫など)。

C. 術後のフォロー

  • 再発が起こりやすいタイプ(エナメル上皮腫など)では、5〜10年程度の長期フォローが必要とされます
  • 定期的なレントゲン・CT検査と診察で再発や新たな病変がないか確認します

⚫︎顎関節症(TMD)の予後

良性顎骨腫瘍

適切な範囲で手術が行われれば、多くの場合、生命予後は良好です。ただし、エナメル上皮腫や一部の歯原性腫瘍は再発しやすく、長期的な経過観察が重要です。

悪性顎骨腫瘍

腫瘍の種類・進行度・手術の範囲や再建の方法によって大きく異なります。早期に発見され、根治的な切除ができた場合には治癒が期待できますが、進行した状態で見つかった場合は、再発や転移のリスクが高くなります。

どちらの場合も、「早期発見・早期治療」と「術後の定期フォロー」が予後を左右する大きなポイントです。

⚫︎顎関節症(TMD)の予防

顎骨腫瘍そのものを完全に予防する方法は分かっていませんが、次のような心がけで「早く見つける」ことが大切です。

定期的な歯科健診

歯科医院で撮影するレントゲン(パノラマX線など)で、無症状の顎骨腫瘍が偶然見つかることがあります。定期健診は早期発見の大きな助けになります。

あごや歯ぐきの「いつもと違う」を放置しない

 腫れ・しこり・歯のぐらつき・噛み合わせの変化・しびれなどが続く場合は、「様子見」で済ませず、一度専門の診察を受けましょう。

むし歯・歯周病の放置を避ける

直接の原因ではありませんが、口の中の炎症が続くと、歯を失う・抜歯が増えるなど、顎骨の状態を悪くする要因になります。

⚫︎顎関節症(TMD)に関連する病気や合併症

  • 歯原性腫瘍(エナメル上皮腫、歯牙腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍など)
  • 顎骨嚢胞(歯根嚢胞、含歯性嚢胞など)
  • 口腔がん(歯肉がんなど顎骨に浸潤するがん)
  • 多発性骨髄腫・転移性骨腫瘍(全身の血液がんや他臓器がんが顎骨に現れることがあります)
  • 顎骨切除後の咬合(かみ合わせ)異常・顔貌の変化

これらの病気との区別や、合併の有無を見極めるためにも、専門的な検査と診断が重要です。

⚫︎まとめ

顎骨腫瘍は、顎の骨にできる良性から悪性までさまざまな腫瘍の総称で、多くはゆっくり進行しますが、悪性の場合は命に関わることもあります。あごや歯ぐきの腫れ、歯のぐらつき、しびれ、痛みなどが続くときは、早めに歯科口腔外科などで精査を受けることが大切です。

診断にはレントゲンやCT・MRIと組織検査が用いられ、治療は腫瘍の種類と範囲に応じて手術を中心に行われます。治療後も再発チェックのための定期フォローが重要です。「あごの違和感」を放置せず、気になった時点で早めに相談しましょう。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック

大阪大学 医学部 卒

東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。

患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。

  • 公開日:2026/03/31
  • 更新日:2026/03/31

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