外耳炎がいじえん

外耳炎は、耳の入り口から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる病気で、耳のかゆみや痛み、耳だれなどを引き起こします。耳掃除のしすぎやプール後の水分残留が原因となることが多く、適切な治療と清潔なケアで改善が期待できます。

外耳炎

外耳炎とは?

外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの通路である「外耳道」に炎症が生じた状態を指します。皮膚が非常に薄く繊細な外耳道に、細菌や真菌などが感染することによって、かゆみや痛み、耳だれなどの不快な症状が現れます。

この疾患は「急性外耳炎」と「慢性外耳炎」に分けられます。急性外耳炎は突然の炎症で強い痛みを伴うことが多く、慢性外耳炎はかゆみや耳だれが長期間続くのが特徴です。

子どもから大人まで幅広く見られますが、耳掃除を頻繁にする人や、プール・お風呂などで耳に水が入りやすい人に多く発症します。清潔を保つとともに、耳に過度な刺激を与えないことが予防の鍵です。

原因

外耳炎の主な原因は、外耳道の皮膚に傷がつき、そこに細菌や真菌(カビ)が感染することです。通常は皮膚のバリア機能により守られていますが、さまざまな行動がそのバリアを壊してしまいます。

【代表的な原因】

  • 過度な耳掃除(綿棒や爪楊枝などによる物理的刺激)
  • 水泳や入浴後の水分の残留(プール耳)
  • イヤホンや補聴器の長時間使用による外耳道の蒸れ
  • 外耳道湿疹やアレルギーによる皮膚のバリア低下
  • 体調不良やストレスによる免疫低下

特に夏場はプールや海水浴によって耳が湿った状態になりやすく、外耳炎が発症・悪化しやすくなります。また、慢性外耳炎ではカビ(真菌)が原因となることもあります。

症状

外耳炎の症状は、耳のかゆみや痛みを中心に、耳だれ(耳漏)や耳閉感(耳が詰まった感じ)などがみられます。炎症の程度や原因によって症状の強さや出方には個人差があります。

【急性外耳炎の主な症状】

  • 強い耳の痛み(特に耳たぶや耳の外を引っ張ったときに痛みが強くなる)
  • 耳のかゆみ(初期症状としてよく見られる)
  • 耳だれ(細菌感染による膿)
  • 耳の腫れや赤み、熱感
  • 聞こえづらさ(外耳道の腫れにより音が通りにくくなる)
  • 軽度の発熱(重症例)

【慢性外耳炎の主な症状】

  • 耳のかゆみが長期間続く
  • 少量の耳だれが繰り返し出る
  • 耳が常にジクジクしているような不快感

重症化すると、鼓膜にまで炎症が及ぶことがあり、中耳炎を合併することもあります。

診断方法と治療方法

診断

診断は主に耳鼻科で行われ、以下の方法を用います。

  • 問診:耳の痛み、かゆみ、耳だれなどの症状の経過や、耳掃除・水泳の習慣などを確認します
  • 視診(耳鏡検査):耳の中の赤みや腫れ、耳だれの有無を観察します
  • 耳漏の検査(必要時):細菌や真菌の種類を調べ、治療方針を決定します

治療

  • 抗菌薬の点耳薬:外耳道の感染を直接抑えます
  • ステロイド点耳薬:炎症やかゆみを抑える目的で使用されます
  • 抗真菌薬:真菌性外耳炎の場合に用います
  • 内服薬(抗生物質や鎮痛薬):症状が強い場合や広範囲に炎症が及ぶ場合に使用します
  • 耳の洗浄や清掃:耳鼻科で耳だれや膿を除去する処置が行われます

自己判断で耳を触ることは症状を悪化させるため、早期に受診し適切な治療を受けることが重要です。

予後

外耳炎は、適切な治療を受ければ多くの場合は数日から1週間程度で症状が軽快します。慢性化している場合でも、原因を取り除き適切な治療を継続することで改善が見込めます。

【予後が良好なケース】

  • 耳掃除を控える、耳を乾燥させるなど、原因行動を見直した場合
  • 点耳薬を正しく使用し、医師の指示に従った場合
  • 軽度の急性外耳炎で早期に治療が開始された場合

【注意が必要なケース】

  • 治療が遅れた場合:炎症が広がり、外耳道狭窄や難聴を起こすことがあります
  • 真菌性外耳炎:再発しやすく、根治までに時間がかかることがあります
  • 慢性外耳炎:繰り返すことで耳の皮膚が厚くなり、慢性的な耳漏やかゆみが続くことがあります

再発を防ぐには、治療後も日常の耳のケアに注意を払い、医師の指導を守ることが大切です。

予防

外耳炎は予防が可能な病気です。日頃の耳のケア方法を見直すことで発症を防ぐことができます。特に、耳掃除や水の扱い方には注意が必要です。

【予防のポイント】

  • 耳掃除をしすぎない(皮膚を傷つけてしまう原因となります)
  • 入浴や水泳後は耳の水をやさしくふき取る
  • イヤホンや補聴器の長時間使用は避け、清潔に保つ
  • 耳にかゆみを感じても、爪や綿棒でこすらない
  • 風通しの良い環境で耳を蒸らさないようにする
  • 外耳道湿疹がある場合は、早めに皮膚科または耳鼻科で治療を受ける

これらを日常的に意識することで、外耳炎の発症や再発を大きく防ぐことができます。

関連する病気や合併症

外耳炎自体は外耳道の限局した炎症ですが、重症化したり他の病気を併発することで症状が拡大することがあります。

【関連する疾患や合併症】

  • 中耳炎:鼓膜まで炎症が及ぶと、中耳炎を引き起こすことがあります
  • 外耳道真菌症:慢性外耳炎が続くとカビの感染が加わることがあります
  • 外耳道湿疹:アレルギーや刺激物により、皮膚に炎症が起こります
  • 外耳道狭窄:長期的な炎症で皮膚が肥厚し、外耳道が狭くなることがあります
  • 蜂窩織炎:重度の場合、外耳道の周囲まで炎症が広がり皮膚や皮下組織が侵されます
  • 難聴:炎症による外耳道閉塞や鼓膜の関与により一時的に聴力が低下することがあります

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

オンライン診療を受ける

クラウドドクターは24時間365日対応。

現在の待ち時間

3

クラウドドクターの
オンライン診療

クラウドドクターのオンライン診療

クラウドドクターでは、問診内容を元に全国から適したドクターがマッチングされ、あなたの診療を行います。診療からお薬の処方までビデオ通話で受けられるため、お忙しい方にもおすすめです。

  • 24時間365日
    いつでも診療OK
  • 保険診療が
    ご利用可能
  • お近くの薬局やご自宅で
    お薬の受取り可能

■ 参考・出典

厚生労働省 e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/)

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「外耳炎の診療指針」(https://www.jibika.or.jp/)

日本内科学会「内科学 第11版」

国立国際医療研究センター「耳疾患と感染症」(https://www.ncgm.go.jp/)

■ この記事を監修した医師

岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック

大阪大学 医学部 卒

東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。

患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。

  • 公開日:2025/06/26
  • 更新日:2025/06/26

即時、あなたに適した
ドクターをマッチング

現在の待ち時間

3