マイコプラズマ感染症まいこぷらずまかんせんしょう

マイコプラズマ感染症は、マイコプラズマという細菌がのどや気管支、肺に感染して起こる病気で、子ども〜若い世代に多いのが特徴です。発熱やだるさのあとに長引く乾いた咳が出ることが多く、多くは自然に治りますが、肺炎に進行した場合は抗菌薬による治療が必要になります。

⚫︎マイコプラズマ感染症とは?

マイコプラズマ感染症は、「マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)」という非常に小さな細菌が、主に呼吸器(のど・気管支・肺)に感染して起こる病気です。いわゆる「マイコプラズマ肺炎」の原因としてよく知られています。
子どもから若い成人に多く、学校や家庭内など、人が集まる場所で広がりやすい一方で、症状が軽い方も多く「ちょっと長引く風邪」として見過ごされることも少なくありません。

⚫︎マイコプラズマ感染症の原因

マイコプラズマ感染症の原因は、マイコプラズマ・ニューモニエという細菌への感染です。

どのようにうつるか

  • 咳やくしゃみのしぶき(飛沫)を吸い込むことで感染します。
  • 感染した人と同じ部屋で長時間過ごす、同じクラス・家族などで広がりやすいとされています。

誰がかかりやすいか

  • 学童期〜若年成人に多く、報告の約8割が15歳以下とも言われていますが、大人でもかかることがあります。
  • 疲れや寝不足などで体力が落ちている時は、症状が強く出やすい傾向があります。

⚫︎マイコプラズマ感染症の症状は?

潜伏期間(うつってから症状が出るまで)は2〜3週間とやや長めです。はじめは風邪に似た症状から始まり、次第に「しつこい咳」が目立つようになることが多いです。

初期の症状

  • 発熱(高熱〜微熱までさまざま)
  • 頭痛、全身のだるさ
  • のどの痛み、声のかすれ
  • 食欲低下

その後に出やすい症状

  • 痰をほとんど伴わない「乾いた咳」
  • 咳が少しずつ強くなり、特に夜間や早朝にひどくなりやすい
  • 熱が下がったあとも、咳だけが3〜4週間続くことがあります。

その他の症状

  • 胸の痛み、息切れ(肺炎まで進行した場合)
  • 耳の痛み、中耳炎
  • 下痢や腹痛などの消化器症状
  • まれに発疹や関節痛など

⚫︎受診の目安

次のような場合は、早めに医療機関の受診をおすすめします。

  • 発熱が数日続き、咳がだんだん強くなっている
  • 夜中の咳で眠れない、日常生活に支障が出ている
  • 息苦しさや胸の痛みを感じる
  • 家族や学校・職場などでマイコプラズマ感染症と診断された人がいて、自分も長引く咳や発熱がある
  • 子どもで、食欲が落ちている・ぐったりしている・呼吸が速い

特に、息苦しさ・ぐったり感・顔色不良など「しんどさ」が強いときは、夜間や休日でも救急受診を検討してください。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、問診・診察に加えて、胸のレントゲンや血液検査、必要に応じて迅速検査やPCR検査などを組み合わせて行います。

治療は、症状の程度に応じて

  • 安静と解熱鎮痛薬などによる対症療法のみで様子を見るケース
  • マクロライド系などの抗菌薬による治療を行うケース

に分かれます。肺炎を起こしている場合や、持病・年齢などからリスクが高い方では抗菌薬治療が中心になります。

⚫︎マイコプラズマ感染症の診断

1)問診・診察

  • いつからどのような症状が出ているか(発熱、咳、だるさ、胸痛など)
  • 学校や家庭など、周囲での流行状況
  • 基礎疾患(喘息などの呼吸器疾患、免疫低下の有無)

2)画像検査

  • 胸部レントゲンで、肺炎を疑う陰影の有無や広がりを確認します
  • 必要に応じて、胸部CTでより詳しく評価することもあります。マイコプラズマ肺炎では「すりガラス影」と呼ばれる淡い影が見られることがありますが、他の肺炎でも似た所見が出るため、総合的に判断します

3)血液検査・その他の検査

  • 炎症反応(CRP)、白血球数などを確認して、炎症の程度を見ます。
  • マイコプラズマ抗体価(血液中のマイコプラズマに対する抗体)を測定し、最近の感染かどうかを推定することもあります。
  • 迅速検査キットやPCR検査で、咽頭ぬぐい液などからマイコプラズマの遺伝子を調べる場合もあります。

⚫︎マイコプラズマ感染症の治療

A. 初期対応(まずやること/基本方針)

  • 軽症で全身状態が良い場合は、自宅で安静にしながら解熱鎮痛薬や咳止めなどで症状を和らげ、経過を見ます。
  • 肺炎が疑われる場合や、熱・咳が強い場合は、抗菌薬治療を検討します。

B. 抗菌薬による治療

  • 第一選択はマクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)で、子どもにも使いやすい薬です。
  • 近年、マクロライドが効きにくい「マクロライド耐性マイコプラズマ」が増えており、その場合はテトラサイクリン系(学童期以上)やニューキノロン系(大人・一部の小児)に変更することがあります。
  • 通常、効果があれば数日で熱が下がり始めますが、咳はしばらく続くことがあります。

C. 入院が必要になる場合

  • 呼吸が苦しい、酸素が必要な場合
  • 高熱やぐったり感が強く、飲水・食事が十分にできない場合
  • 持病(心臓病、肺疾患、免疫低下など)があり、重症化リスクが高い場合

重症例では、点滴・酸素投与、まれにステロイド薬や人工呼吸器による呼吸管理が必要になることもあります。

⚫︎マイコプラズマ感染症の予後

多くは数週間〜1か月程度で回復し、後遺症なく経過することがほとんどです。
ただし、咳だけが長引くことがあり、とくに喘息を持つ方では症状が強く出たり、喘息発作のきっかけになることがあります。
まれに、重い合併症(脳炎・無菌性髄膜炎、心筋炎、溶血性貧血、スティーブンス・ジョンソン症候群など)を起こすことがあり、その場合は入院での集中的な治療が必要になります。
一度かかると免疫が付きますが、時間とともに弱まり、何度かかることもあります。

⚫︎マイコプラズマ感染症の予防

マイコプラズマ感染症に特化したワクチンは現在ありませんが、一般的な呼吸器感染症と同じような対策が予防に役立ちます。

手洗い・うがい

外出後や咳・くしゃみをした後、共用のものに触れた後などは、石けんでの手洗いを心がけましょう。

マスクの着用・咳エチケット

咳やくしゃみが出るときはマスクを着用し、周囲の人から離れる・ティッシュや袖で口を覆うなどの咳エチケットを守ることが大切です。

部屋の換気

教室やオフィス、家庭でも、定期的な換気で空気を入れ替えるようにしましょう。

体調管理

睡眠不足やストレス、偏った食事は免疫力を下げます。十分な休養とバランスの良い食事を心がけることが、感染予防にもつながります。

⚫︎マイコプラズマ感染症に関連する病気や合併症

気管支炎

上気道炎(いわゆる風邪)から気管支まで炎症が及ぶと、ぜーぜーする咳や息苦しさを伴う気管支炎になることがあります。

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ感染症の代表的な肺炎で、発熱と長引く乾いた咳が特徴の「非定型肺炎」です。

喘息の悪化

もともと喘息がある方では、マイコプラズマ感染をきっかけに喘息発作が起こることがあります。

神経・心臓などの全身合併症

まれに、無菌性髄膜炎、脳炎、心筋炎、関節炎、溶血性貧血、重症薬疹(スティーブンス・ジョンソン症候群など)が起こることがあります。

⚫︎まとめ

マイコプラズマ感染症(Mycoplasma pneumoniae)は、若年層における市中肺炎の主要な原因菌の一つです。臨床的には遷延する乾性咳嗽(乾いた咳)を主訴とし、軽症から中等症で経過することが多いものの、重症化や肺外合併症への進展には警戒を要します。

本症は、迅速診断キットや胸部画像所見に基づく的確な診断を行い、マクロライド系などの適切な抗菌薬を選択することで治療管理が可能です。「感冒(風邪)」との鑑別が重要となるため、咳嗽や発熱が長期化する場合は速やかに医療機関をご受診ください。当院では患者様の病態を丁寧に評価し、最適な治療を提供してまいります。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

内科の診療を受ける

クラウドドクターは24時間365日対応。 風邪・腹痛・喉の痛み・吐き気などの急な体調不良に。

現在の待ち時間

3

クラウドドクターの
オンライン診療

クラウドドクターのオンライン診療

クラウドドクターでは、問診内容を元に全国から適したドクターがマッチングされ、あなたの診療を行います。診療からお薬の処方までビデオ通話で受けられるため、お忙しい方にもおすすめです。

  • 24時間365日
    いつでも診療OK
  • 保険診療が
    ご利用可能
  • お近くの薬局やご自宅で
    お薬の受取り可能

■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/03/06
  • 更新日:2026/03/06

即時、あなたに適した
ドクターをマッチング

現在の待ち時間

3