カンピロバクター感染症とは?症状・潜伏期間・治療法・うつるのかを医師監修で解説かんぴろばくたーかんせんしょう

カンピロバクター感染症は、主に加熱不十分な鶏肉などから感染する細菌性の胃腸炎です。1〜7日の潜伏期の後に、発熱・腹痛・水のような下痢・吐き気などが出ます。多くは1週間ほどで自然に軽快しますが、脱水やまれな神経の合併症(ギラン・バレー症候群)に注意が必要です。

目次

⚫︎カンピロバクター感染症とは?

カンピロバクター感染症とは、カンピロバクター属の細菌に汚染された食品や水などを口にすることで起こる感染症です。主に下痢や腹痛、発熱、吐き気などの症状がみられます。

鶏肉や鶏レバーの加熱不足が原因となることが多く、少量の菌でも感染する可能性があります。感染後すぐに症状が出るとは限らず、数日たってから発症する点も特徴です。

カンピロバクター感染症の特徴

カンピロバクター感染症は、食中毒の一種です。多くの場合は数日から1週間程度で改善しますが、下痢やおう吐によって脱水症状を起こすことがあります。
また、まれに感染後しばらくしてから手足のしびれや筋力低下が現れるギラン・バレー症候群などの合併症を起こすこともあります。

日本で最も多い細菌性食中毒のひとつ

カンピロバクターは、国内で発生する細菌性食中毒の主な原因菌のひとつです。特に、加熱が不十分な鶏肉や鶏レバー、生肉に触れた調理器具からの二次汚染などによって感染するケースがみられます。
家庭での調理だけでなく、焼肉店やバーベキューなど、生肉を扱う場面でも注意が必要です。

どのような人がかかりやすい?

カンピロバクター感染症は、年齢を問わず誰でもかかる可能性があります。
特に、乳幼児や高齢者、妊娠中の人、基礎疾患がある人、免疫機能が低下している人は、脱水や症状の悪化に注意が必要です。症状が強い場合や長引く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

カンピロバクター感染症の潜伏期間と症状

カンピロバクター感染症は、原因となる食品や水を口にしてからすぐに症状が出るとは限りません。数日たってから発症することが多いため、直前に食べたものだけでなく、数日前の食事も原因として考える必要があります。

潜伏期間は1〜7日程度

潜伏期間は一般的に1〜7日程度で、多くは2〜5日ほどで症状が現れます。
感染した菌の量や体調によって発症までの期間には差があります。そのため、症状が出た時点では、原因となった食事を思い出しにくい場合もあります。

下痢

下痢は代表的な症状のひとつです。水のような便が何度も出ることがあり、腹痛を伴うケースもみられます。
下痢が続くと脱水症状につながるため、少量ずつこまめに水分をとることが大切です。

腹痛

腹痛は、差し込むような痛みや強いけいれん性の痛みとして現れることがあります。
痛みが強い場合や、時間がたっても改善しない場合は、他の病気の可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。

発熱・悪寒

発熱や悪寒がみられることもあります。
熱の程度には個人差がありますが、高熱が続く場合やぐったりしている場合は、早めの受診が必要です。

吐き気・おう吐

吐き気やおう吐が起こることもあります。
水分を飲んでもすぐに吐いてしまう場合は、脱水のリスクが高まります。特に乳幼児や高齢者は注意が必要です。

頭痛・倦怠感

頭痛や全身のだるさ、食欲低下など、風邪に似た症状が出ることもあります。
消化器症状だけでなく、全身症状がみられる点もカンピロバクター感染症の特徴です。

血便が出ることもある

腸の粘膜に炎症が起こると、便に血が混じることがあります。
血便が続く場合や、強い腹痛、発熱を伴う場合は、自己判断で様子を見ずに医療機関へ相談しましょう。

カンピロバクター感染症の原因と感染経路

カンピロバクター感染症の原因と感染経路

カンピロバクター感染症は、菌に汚染された食品や水を口にすることで起こります。特に加熱が不十分な鶏肉が原因となるケースが多く、調理器具や手を介した二次汚染にも注意が必要です。

加熱不十分な鶏肉・鶏レバー

カンピロバクターは、鶏の腸管内に存在することが多い細菌です。そのため、生や加熱不十分な鶏肉、鶏レバーを食べることで感染する可能性があります。
表面だけでなく、中心部まで十分に加熱することが大切です。

調理器具からの二次汚染

生の鶏肉を切った包丁やまな板、トングなどに菌が付着し、そのままサラダや調理済み食品に触れることで感染することがあります。
生肉用と調理済み食品用の器具を分け、使用後は十分に洗浄・消毒しましょう。

汚染された水や未殺菌乳

井戸水や沢水など、カンピロバクターに汚染された水を飲むことで感染する場合があります。
また、未殺菌の牛乳や乳製品が原因になることもあるため、加熱や殺菌が確認されたものを選ぶことが大切です。

ペットや家畜との接触

犬や猫、家畜などがカンピロバクターを保有していることがあります。
動物に触れたあとや、ふんを処理したあとは、石けんと流水で丁寧に手を洗いましょう。

人から人へうつることはある?

カンピロバクター感染症は、通常は食品や水を介して感染しますが、便に含まれる菌が手を介して口に入ることで、人から人へうつる可能性もあります。
特に、おむつ交換やトイレの介助をする際は注意が必要です。処理後は手洗いを徹底し、タオルの共用は避けましょう。

カンピロバクター感染症は何日で治る?

カンピロバクター感染症の多くは、適切に水分を補給しながら安静に過ごすことで回復します。ただし、治るまでの期間には、症状の程度や年齢、基礎疾患の有無などによって個人差があります。

症状の経過の目安

発症すると、下痢や腹痛、発熱などの症状が数日間続きます。多くの場合、症状は次第に軽くなり、1週間ほどで改善します。
下痢やおう吐がある間は脱水を防ぐため、少量ずつこまめに水分をとりましょう。

自然に治るケースが多い

症状が軽い場合は、抗菌薬を使用しなくても自然に回復することが多いとされています。
ただし、自己判断で受診せずに済ませてよいとは限りません。水分がとれない場合や症状が強い場合は、早めに医療機関へ相談してください。

症状が長引く場合

下痢やおう吐が続く場合、血便や高熱がみられる場合、腹痛が強くなっている場合は受診を検討しましょう。
乳幼児や高齢者、妊娠中の人、基礎疾患がある人は重症化しやすいため、症状が軽くても早めに相談することが大切です。

仕事や学校はいつから復帰できる?

仕事や学校へ復帰できる時期は、症状や職場・学校の規定によって異なります。少なくとも下痢やおう吐が続いている間は、無理に出勤・登校せず、自宅で休養しましょう。
症状が治まり、食事や水分を普段どおりとれるようになってから復帰を検討します。食品を扱う仕事や、乳幼児・高齢者と接する仕事をしている場合は、勤務先や医師に復帰時期を確認してください。

カンピロバクター感染症で受診すべき症状

カンピロバクター感染症は自然に改善することもありますが、症状が強い場合や脱水が疑われる場合は、早めの受診が必要です。特に乳幼児や高齢者、基礎疾患がある人は、重症化に注意しましょう。

早めの受診を検討したいケース

下痢や腹痛、発熱が続く場合や、症状が徐々に悪化している場合は受診を検討してください。
また、血便が出る、水分が十分にとれない、食事がほとんどとれない、尿の量が減っているといった症状がある場合も、早めに医療機関へ相談しましょう。

救急受診を考える目安

意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍い、激しい腹痛が続く、何度もおう吐して水分がとれない場合は、救急受診を検討してください。
また、手足に力が入りにくい、しびれが広がる、歩きにくい、息苦しさがあるといった症状がみられる場合は、ギラン・バレー症候群などの合併症の可能性もあるため、速やかな受診が必要です。

小児・高齢者で注意したい症状

小児や高齢者は脱水になりやすく、短時間で状態が悪化することがあります。
ぐったりしている、泣いても涙が出ない、口の中が乾いている、半日以上尿が出ていない、顔色が悪いなどの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。

カンピロバクター感染症の検査と診断

カンピロバクター感染症の診断では、症状や食事歴を確認したうえで、必要に応じて便検査や血液検査を行います。
症状だけではほかの感染性胃腸炎や食中毒と区別しにくいため、経過や重症度を踏まえて総合的に判断します。

問診・診察

問診では、下痢や腹痛、発熱、おう吐などの症状がいつから始まったかを確認します。
あわせて、数日前に加熱不十分な鶏肉を食べていないか、同じ食事をした人にも症状が出ていないか、ペットや家畜との接触がなかったかなども確認します。

便検査

便検査では、便の中にカンピロバクターが含まれているかを調べます。
培養検査や遺伝子検査などが行われることがあり、原因菌を特定するために有用です。ただし、結果が出るまでに時間がかかる場合があります。

血液検査

血液検査では、炎症の程度や脱水の有無、腎機能、電解質の乱れなどを確認します。
高熱が続いている場合や、全身状態が悪い場合、重症化が疑われる場合に行われることがあります。

その他の検査

強い腹痛や血便がある場合は、ほかの病気を除外するために画像検査などを行うことがあります。
また、手足のしびれや筋力低下がみられる場合は、ギラン・バレー症候群などの合併症を疑い、神経学的な検査が必要になることもあります。

カンピロバクター感染症の治療法

カンピロバクター感染症の治療では、脱水を防ぎながら体を休めることが基本です。症状の程度によっては、抗菌薬などを使用する場合もあります。

まずは水分補給が重要

下痢やおう吐が続くと、体内の水分や塩分が失われます。一度に多く飲むと吐き気が強くなることがあるため、少量ずつこまめに補給しましょう。

経口補水液

下痢やおう吐で水分と電解質が失われている場合は、経口補水液が役立つことがあります。
スポーツドリンクは糖分が多いものもあるため、脱水が疑われる場合は経口補水液を選ぶとよいでしょう。

脱水予防

口の中が乾く、尿の量が減る、立ちくらみがする、ぐったりするといった症状は、脱水のサインである可能性があります。
水分をとれない場合や脱水症状がみられる場合は、点滴が必要になることもあるため、医療機関へ相談してください。

食事のポイント

食欲がないときは無理に食べる必要はありません。水分をとれるようになり、吐き気が落ち着いてから、消化しやすいものを少量ずつ再開しましょう。

消化の良い食事

おかゆ、やわらかく煮たうどん、スープ、豆腐など、脂肪分が少なく消化しやすい食品が適しています。
一度に多く食べず、体調を見ながら少量ずつ摂取してください。

避けた方がよい食べ物

脂っこい料理、香辛料の多い食品、アルコール、カフェインを多く含む飲み物は、胃腸への負担となることがあります。
また、症状がある間は生ものを避け、十分に加熱した食品を選びましょう。

抗菌薬が必要になる場合

多くは自然に改善しますが、高熱や血便がある場合、症状が重い場合、基礎疾患がある場合などには、医師の判断で抗菌薬を使用することがあります。
抗菌薬が処方された場合は、自己判断で中断せず、指示された期間と用量を守って服用してください。

下痢止めは自己判断で使わない

下痢止めの種類によっては、腸の動きを抑えることで菌や毒素の排出を妨げる可能性があります。
市販薬を自己判断で使用せず、血便や発熱を伴う場合は特に、医師や薬剤師へ相談してください。

カンピロバクター感染症の合併症・後遺症

カンピロバクター感染症の多くは回復しますが、まれに感染後しばらくしてから合併症が現れることがあります。
下痢や腹痛が治まったあとでも、手足のしびれや関節痛などの症状が出た場合は、早めに医療機関へ相談してください。

ギラン・バレー症候群

ギラン・バレー症候群は、手足のしびれや筋力低下が現れる神経の病気です。
カンピロバクター感染症のあとに発症することがあり、症状が進むと歩きにくさや呼吸のしづらさにつながる場合もあります。

反応性関節炎

反応性関節炎は、感染後に関節の痛みや腫れが現れる病気です。
膝や足首などに症状が出ることがあり、感染症の症状が改善したあとに発症する場合もあります。

菌血症

菌血症は、カンピロバクターが血液中に入り込んだ状態です。
発熱が続く、悪寒が強い、全身状態が悪いといった症状がみられることがあり、特に高齢者や免疫機能が低下している人では注意が必要です。

どのような症状があれば注意が必要?

手足のしびれ、力が入りにくい、歩きにくい、息苦しい、関節の強い痛みや腫れ、高熱が続くといった症状がある場合は注意が必要です。
これらの症状がみられた場合は、カンピロバクター感染症との関連がある可能性もあるため、早めに医療機関を受診してください。

カンピロバクター感染症を予防する方法

カンピロバクター感染症を予防するには、鶏肉を十分に加熱し、生肉からほかの食品への二次汚染を防ぐことが重要です。家庭での調理だけでなく、バーベキューや焼肉でも衛生管理を徹底しましょう。

鶏肉は中心部まで十分加熱する

鶏肉や鶏レバーは、生や加熱不十分な状態で食べないようにしましょう。
表面だけでなく、中心部までしっかり火を通すことが大切です。肉の色だけでは判断しにくいため、厚みのある部分まで加熱できているか確認してください。

生肉用と調理済み食品の器具を分ける

生肉を扱った包丁やまな板、トングを、そのままサラダや加熱後の食品に使うと、菌が付着する可能性があります。
生肉用と調理済み食品用で器具を分け、使用後は洗剤で十分に洗浄し、必要に応じて消毒しましょう。

手洗いを徹底する

生肉に触れたあとは、石けんと流水で丁寧に手を洗いましょう。
調理前後だけでなく、トイレのあとやおむつ交換後も手洗いを行い、家庭内での感染を防ぐことが大切です。

ペットとの接触後は手を洗う

犬や猫などのペットがカンピロバクターを保有していることがあります。
動物に触れたあとや、ふんを処理したあとは、必ず手を洗いましょう。ペットに口元をなめさせることも避けた方が安心です。

バーベキューや焼肉で注意したいポイント

バーベキューや焼肉では、生肉用のトングや箸と、食べるときの箸を分けましょう。
また、鶏肉は中心部まで十分に加熱し、焼いた肉を生肉の入っていた皿に戻さないことが大切です。屋外では手洗い設備が限られることもあるため、衛生用品を準備しておきましょう。

カンピロバクター感染症に関するよくある質問

家族にうつりますか?

カンピロバクター感染症は、主に汚染された食品や水を介して感染します。ただし、便に含まれる菌が手を介して口に入ることで、家族にうつる可能性もあります。
トイレのあとやおむつ交換後は手洗いを徹底し、タオルの共用を避けましょう。

アルコール消毒は有効ですか?

アルコール消毒だけに頼らず、石けんと流水による手洗いを基本としましょう。
特に、便やおう吐物を処理したあと、生肉に触れたあとは、手指に汚れが残っている可能性があるため、丁寧な手洗いが重要です。

市販薬で治せますか?

症状によっては市販薬を使える場合もありますが、自己判断で下痢止めを使用すると、菌や毒素の排出を妨げる可能性があります。
血便や高熱、強い腹痛がある場合や、症状が長引く場合は、市販薬だけで対処せず医療機関を受診してください。

何日休めばよいですか?

休む期間は症状や勤務先・学校の規定によって異なります。少なくとも、下痢やおう吐が続いている間は、出勤や登校を控えましょう。
食品を扱う仕事や、乳幼児・高齢者と接する仕事をしている場合は、復帰前に医師や勤務先へ確認してください。

再感染することはありますか?

一度感染しても、再びカンピロバクターに感染する可能性があります。
回復後も、鶏肉の十分な加熱や調理器具の使い分け、手洗いなどの予防を続けることが大切です。

カンピロバクター感染症まとめ

カンピロバクター感染症は、主に加熱不十分な鶏肉や二次汚染された食品などを通じて起こる食中毒です。感染後は1〜7日程度の潜伏期間を経て、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの症状が現れることがあります。

多くは水分補給と安静によって改善しますが、血便や高熱、強い腹痛、水分がとれない状態が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

また、感染後に手足のしびれや筋力低下、関節の痛みなどが現れた場合は、合併症の可能性もあります。症状が治まったあとも体調の変化に注意してください。

予防には、鶏肉を中心部まで十分に加熱すること、生肉用と調理済み食品用の器具を分けること、手洗いを徹底することが重要です。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/03/05
  • 更新日:2026/08/03

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