全身性エリテマトーデス(SLE)ぜんしんせいえりてまとーです

全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫のバランスが崩れて自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患で、関節・皮膚・腎臓など全身に炎症を起こします。発熱・関節痛・蝶形紅斑・たんぱく尿など多彩な症状を示し、早期診断と継続的な治療が重要です。

⚫︎全身性エリテマトーデス(SLE)とは

全身性エリテマトーデス(SLE)は、膠原病(こうげんびょう)と呼ばれる自己免疫疾患の一つで、免疫が誤って自分の体(関節・皮膚・腎臓・血管・神経など)を攻撃してしまう病気です。
日本ではおよそ10万人に100人程度、全国で約6〜10万人がSLEを持つと推定されており、20〜40代の女性に多いのが特徴ですが、男性や高齢者にも起こり得ます。

⚫︎全身性エリテマトーデス(SLE)の原因

  • 自己免疫の異常
    本来、免疫はウイルスや細菌など「外敵」を攻撃しますが、SLEではDNAや細胞核の成分に対する自己抗体(抗核抗体など)が作られ、全身の臓器に炎症を起こすと考えられています。
  • 遺伝的要因
    家族内で発症が集まることや、特定のHLA、補体の異常などが関与するとされています。ただし「必ず遺伝する病気」というわけではありません。
  • 環境要因・ホルモン
    紫外線、ウイルス感染、喫煙、一部の薬剤などが発症や悪化のきっかけとなることがあります。また、女性ホルモンの影響から、妊娠可能年齢の女性に発症しやすいと考えられています。

⚫︎全身性エリテマトーデス(SLE)の症状は?

症状は人によって大きく異なり、「いろいろな病気が混ざったように見える」のがSLEの特徴です。

  • 全身症状
    発熱、強いだるさ、体重減少、リンパ節腫れなど。
  • 皮膚・粘膜
    ほほ〜鼻筋にかけて蝶のように広がる赤い発疹(蝶形紅斑)、日光で悪化する皮疹、脱毛、口内炎などがよくみられます。
  • 関節・筋肉
    手や手首、膝などの関節痛・関節の腫れ、朝のこわばり、筋肉痛など。関節リウマチに比べると、重い変形は少ないことが多いです。
  • 腎臓(ループス腎炎)
    たんぱく尿、血尿、足のむくみ、血圧上昇など。腎臓の障害は自覚症状が乏しい場合もあり、尿検査・血液検査が重要です。

⚫︎受診の目安

次のような症状が続く場合は、早めに内科・膠原病内科・リウマチ科・皮膚科などの受診を検討してください。

  • 発熱や強いだるさが長く続き、原因がはっきりしない
  • 顔のほほ〜鼻にかけて赤い発疹が出る、日光に当たると皮疹や体調不良が悪化する
  • 関節痛・関節の腫れが続き、朝のこわばりが強い
  • たんぱく尿やむくみを指摘された、尿が泡立つ
  • 原因不明の貧血・血小板減少・繰り返す流産や血栓(血の塊)を起こしたことがある

急な息苦しさ・胸痛・けいれん・意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、救急受診も含めて速やかな対応が必要です。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、「どの臓器にどのような症状が出ているか」と、「特徴的な自己抗体の有無」を組み合わせて総合的に行います。SLEだけに特有な一つの検査はないため、いくつかの所見を積み重ねて判断します。
治療の目的は、炎症を抑えて臓器障害を防ぎつつ、日常生活をできるだけ保つことです。ヒドロキシクロロキン(抗マラリア薬の一種)やステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤などを組み合わせ、症状や重症度に応じて治療方針を決めます。

⚫︎全身性エリテマトーデス(SLE)の診断

  1. 問診・診察
    発熱・関節痛・皮疹・脱毛・口内炎・光線過敏・胸痛・息切れ・頭痛などの有無
    症状が出たりおさまったりする周期、妊娠・薬剤・日光との関係
    家族に自己免疫疾患の方がいるかどうか
    を詳しく確認し、皮膚・関節・心肺・神経など全身を診察します。
  2. 血液検査・尿検査
    抗核抗体(ANA):ほとんどのSLEで陽性になる自己抗体のスクリーニング検査
    抗dsDNA抗体・抗Sm抗体・抗リン脂質抗体など:SLEに特徴的な自己抗
    補体(C3・C4)の低下:病気の活動性の指標になることがあります
    貧血・白血球減少・血小板減少の有無
    尿のたんぱく・血尿・腎機能(クレアチニン)など
    必要に応じて腎生検(腎臓の組織を少量とる検査)を行い、ループス腎炎のタイプと重症度を評価します。
  3. 画像検査・その他
    胸部X線・心エコー・頭部MRIなどで、肺・心臓・中枢神経系の炎症や血栓の有無を調べることがあります。感染症や悪性腫瘍との区別(鑑別診断)も重要です。
  4. 分類基準
    EULAR/ACR分類基準など国際的な基準を参考に、「SLEとして扱うべきかどうか」を判断し、治療方針の検討に役立てます。

⚫︎全身性エリテマトーデス(SLE)の治療

A. 基本方針

「今起きている炎症(活動性)」をしっかり抑え、臓器障害を防ぐ
症状が落ち着いたら、できるだけ少ない薬で再燃(ぶり返し)を防ぐ
副作用や感染症に注意しながら、長期的に病気と付き合っていく。

B. 薬物療法

  • ヒドロキシクロロキン
    多くのSLE患者さんで「ベースの薬」として使われ、再燃の予防や皮膚・関節症状の改善に役立つとされています。
  • ステロイド薬
    プレドニゾロンなどを使い、重症度に応じた量から始めて徐々に減量します。腎炎や中枢神経症状など重い病変では、高用量やパルス療法(短期間の大量投与)が行われることもあります。
  • 免疫抑制薬
    アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロホスファミド、タクロリムスなどが、腎炎や中枢神経症状、血液異常など強い臓器障害のコントロールに用いられます。
  • 生物学的製剤・分子標的薬
    ベリムマブ(B細胞を抑える薬)、アニフロルマブ(I型インターフェロン経路を抑える薬)など、新しい治療薬も登場しており、従来の治療で十分な効果が得られない場合に選択されます。

C. 生活上の工夫

  • 強い日光(紫外線)を避ける(帽子・日傘・日焼け止めの活用)
  • 感染予防(手洗い・うがい・ワクチン接種の相談など)
  • 十分な休養とストレスケア、過度の無理をしない
  • 妊娠・出産を希望する場合は、病状が安定している時期に主治医とよく相談する

⚫︎全身性エリテマトーデス(SLE)の予後

治療法の進歩により、現在ではSLEの生命予後(寿命の見通し)は大きく改善しており、10年生存率は90%以上とされています。

一方で、ループス腎炎・中枢神経ループス・心血管合併症(動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞)などは、今でも注意が必要です。病気そのものだけでなく、ステロイドや免疫抑制薬の副作用(感染症・骨粗鬆症・糖尿病など)にも目を配る必要があります。

定期的な通院・検査を続け、病状の変化や副作用を早期にキャッチすることで、より良い生活の質(QOL)を保ちやすくなります。

⚫︎全身性エリテマトーデス(SLE)の予防

発症を完全に防ぐ方法はありません。
遺伝的な体質や免疫の異常が関係しているため、「これをすれば絶対に発症しない」という方法は分かっていません。
再燃(ぶり返し)を防ぐために『日光の当たりすぎを避ける・感染症に気をつける・十分な睡眠と休養をとる・喫煙を控える』といった生活習慣の見直しが大切です。

また、症状が落ち着いていても自己判断で薬をやめず、医師の指示にしたがって減量・中止していきます。

⚫︎全身性エリテマトーデス(SLE)に関連する病気や合併症

  • ループス腎炎
    SLEに伴う腎炎で、たんぱく尿・血尿・むくみ・高血圧などの原因になります。腎生検の結果に応じて治療強度が決まります
  • 抗リン脂質抗体症候群(APS)
    血栓(血の塊)を作りやすくなり、深部静脈血栓症や肺塞栓症、脳梗塞、習慣流産などの原因になることがあります。
  • シェーグレン症候群
    目や口の乾きが強くなる自己免疫疾患で、SLEと合併することがあります。
  • 動脈硬化・心血管イベント
    SLEそのものの炎症やステロイド治療、喫煙などが重なり、一般の方より心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなるとされています。

⚫︎受診の目安(まとめ)

全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫の異常によって全身のさまざまな臓器に炎症を起こす自己免疫疾患です。
症状は、発熱・関節痛・皮疹から、腎炎や神経症状まで非常に多彩で、早期診断と適切な治療が将来の臓器障害を防ぐカギになります。
近年は治療薬の選択肢が増え、適切にコントロールできれば長期的な予後も大きく改善しています。
気になる症状が続くときは、一人で抱え込まず、早めに専門の医療機関へ相談していただくことをおすすめします。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/03/09
  • 更新日:2026/03/09

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