アレルギー性鼻炎あれるぎーせいびえん
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに反応して鼻に炎症が起きる病気です。くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状で、日常生活に支障をきたすこともあります。薬物療法や生活環境の改善によって、症状を軽減できます。

アレルギー性鼻炎とは?
アレルギー性鼻炎は、アレルゲンと呼ばれる物質に対して過剰な免疫反応が起こり、鼻の粘膜に炎症が生じる疾患です。くしゃみや鼻水、鼻づまりを主な症状とし、花粉やハウスダスト、ダニ、カビ、動物の毛などが原因となります。
この疾患は大きく「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症など)」と「通年性アレルギー性鼻炎(ダニやホコリなど)」の2つに分けられます。いずれもアレルゲンとの接触により症状が出現しますが、発症時期や持続期間に違いがあります。
生活の質(QOL)を低下させるだけでなく、集中力や睡眠の質にも影響を及ぼすことがあり、子どもから大人まで幅広くみられる病気です。
原因
アレルギー性鼻炎は、特定のアレルゲン(抗原)に対して免疫システムが過敏に反応し、炎症性物質を放出することで鼻粘膜に症状を引き起こします。
【主な原因アレルゲン】
- 花粉:スギ、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギなど(季節性)
- ダニ:特にチリダニ類(通年性)
- ハウスダスト:室内の埃、繊維片、フケなど
- 動物の毛や皮膚:ペットの犬や猫など
- カビ(真菌):梅雨や湿気の多い場所に多い
- ゴキブリの死骸やフン
アレルゲンが鼻粘膜に付着すると、IgE抗体が反応し、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されることで症状が出現します。発症には遺伝的素因や生活環境も関係しています。
症状
アレルギー性鼻炎の三大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。症状はアレルゲンとの接触状況によって強弱があり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
【代表的な症状】
- くしゃみ:連発性で突然始まることが多く、止まらないこともあります
- 鼻水:透明でさらさらしており、水のように出続けるのが特徴です
- 鼻づまり:片側または両側がつまって呼吸しづらくなります
- 鼻のかゆみ:内部がむずむずして強く鼻をこすりたくなります
- 目のかゆみ・涙目:目と鼻はつながっているため、同時に現れることがあります
- 嗅覚の低下:長期の鼻づまりでにおいがわかりにくくなることがあります
- 頭重感、集中力低下、睡眠障害:QOLの低下を引き起こします
症状の程度や現れる時間帯、季節により個人差があります。
診断方法と治療方法
診断
- 問診:症状の内容や発症時期、生活環境、家族歴などを確認します
- 視診と鼻鏡検査:鼻粘膜の腫れや分泌物の状態を確認します
- 血液検査:特異的IgE抗体(RAST法)によるアレルゲンの特定します
- 皮膚テスト:アレルゲンに対する皮膚の反応をみます
- 鼻汁好酸球検査:アレルギー性かどうかを区別する補助検査です
治療
- 薬物療法
- 抗ヒスタミン薬:くしゃみ・鼻水を抑えます
- 鼻噴霧用ステロイド薬:鼻づまりに有効で長期使用が可能です
- ロイコトリエン受容体拮抗薬:鼻づまりや夜間症状に効果的です - アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法):根治を目指す治療法です
- 生活環境の整備:アレルゲンとの接触を減らす努力が重要です
症状の型や重症度に応じて治療法を選択します。
予後
アレルギー性鼻炎は命に関わる病気ではありませんが、放置すると生活の質が著しく低下し、学業や仕事、睡眠に影響を与える可能性があります。治療や生活管理を継続すれば、ほとんどの人が症状をコントロールできます。
【予後が良好なケース】
- 軽症で、薬物療法や生活環境の改善が奏功した場合
- アレルゲンが明確で、それを避けることができる環境にある場合
- 免疫療法が奏功し、症状が大幅に軽減または消失した場合
【注意が必要なケース】
- アレルゲンが回避できない場合(職場環境や住環境)
- 長期間鼻づまりが続き、副鼻腔炎や中耳炎を併発する場合
- 薬物への反応が乏しく、生活に支障をきたす重症例
長期的な視点で治療を続けることが予後改善の鍵となります。
予防
アレルギー性鼻炎の予防には、アレルゲンとの接触をできるだけ減らすことが基本です。日常生活の中で環境整備を行い、体調管理を徹底することで発症や悪化を防ぐことができます。
【予防のポイント】
- こまめに掃除を行い、ホコリやダニの温床を減らす
- 布団や枕、カーテンなどを定期的に洗濯する
- 空気清浄機や除湿機を活用する
- ペットとの接触を避けるか、飼育環境を工夫する
- 花粉の飛散が多い時期は、外出を控えたりマスク・眼鏡を使用する
- 帰宅時には衣類をはたき、うがいや洗顔を行う
- 適度な運動と十分な睡眠で免疫バランスを整える
アレルゲンを完全に排除することは難しくても、接触機会を減らす工夫が症状予防には効果的です。
関連する病気や合併症
アレルギー性鼻炎は鼻の病気にとどまらず、周囲の器官や全身の健康にも影響を与えることがあります。慢性化や重症化により、さまざまな合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。
【代表的な関連疾患や合併症】
- 副鼻腔炎(蓄膿症):慢性の鼻づまりが続くと副鼻腔に炎症が波及します
- 中耳炎:耳管が閉塞しやすくなり、特に小児で起こりやすいです
- 気管支喘息:アレルギー性疾患としての関連が深く、両者が合併することも多いです
- アトピー性皮膚炎:アレルギー体質の一環として併存しやすいです
- 睡眠障害、日中の眠気:鼻づまりによるいびきや口呼吸が影響します
- 学業や仕事の能率低下、集中力が低下する可能性があります
全身的な視点でアレルギーを管理することが、合併症の予防とQOLの維持に有効です。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
厚生労働省 e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/)
日本アレルギー学会「アレルギー性鼻炎ガイドライン」(https://www.jsaweb.jp/)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(https://www.jibika.or.jp/)
国立国際医療研究センター「アレルギー疾患の解説」(https://www.ncgm.go.jp/)
■ この記事を監修した医師

岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック
大阪大学 医学部 卒
東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。
患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。
- 公開日:2025/06/26
- 更新日:2025/06/26
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