メニエール病めにえーるびょう
メニエール病は、内耳のむくみ(内リンパ水腫)が原因と考えられる病気で、繰り返す激しい回転性めまいと、片耳の耳鳴り・難聴・耳が詰まる感じが主な症状です。発作は数十分〜数時間続き、生活に大きな影響を与えますが、薬や生活調整でコントロールできることも多い病気です。
目次
⚫︎メニエール病とは?
メニエール病は、「ぐるぐる回るようなめまい(回転性めまい)」に、耳鳴り・難聴・耳が詰まる感じ(耳閉感)といった耳の症状がくり返し起こる内耳の病気です。
内耳には「内リンパ液」という液体が流れていて、音を感じる働き(蝸牛)と、体のバランスを保つ働き(三半規管・前庭)を支えています。この内リンパ液が必要以上にたまり、内耳がむくんだ状態を「内リンパ水腫(ないりんぱすいしゅ)」と呼び、メニエール病の主な原因と考えられています。
通常、めまいは数十分〜数時間続き、その間に耳鳴りや難聴も強くなります。発作が治まるとある程度症状は軽くなりますが、発作をくり返すうちに、徐々に難聴が残っていくことがあります。
⚫︎メニエール病の原因
メニエール病のはっきりした原因は、まだ完全には分かっていません。ただし、次のような要因が関わっていると考えられています。
内リンパ水腫(内耳のむくみ)
内リンパ液が作られる量と吸収される量のバランスが崩れ、内耳の中に過剰にたまることで、むくんだ状態になります。この「内リンパ水腫」が、めまいや難聴の背景と考えられています。
ストレスや疲労
精神的なストレス、睡眠不足、過労などが発作のきっかけになることがあります。几帳面で真面目な性格の方に多いとも言われています。
生活習慣
塩分の多い食事、アルコールの飲みすぎ、カフェインの摂りすぎ、喫煙などが、発作を誘発しやすくする可能性が指摘されています。
⚫︎メニエール病の症状は?
メニエール病では、次のような症状が特徴的です。
回転性めまい
- 「自分や周りがぐるぐる回る」感覚
- 立っていられない、歩けないほど強いこともある
- 数十分〜数時間(多くは20分以上)続き、吐き気・嘔吐を伴うこともある
難聴(主に片耳)
- はじめは片耳だけに起こることが多く、低い音から聞こえにくくなることがよくある
- 発作のたびに聞こえ方が変動し、くり返すうちに常に聞こえにくくなっていくこともある
耳鳴り・耳閉感
- 「ブーン」「ゴー」といった低めの耳鳴りや、「耳が詰まった」「水が入った感じ」といった耳閉感を伴う
- めまい発作の前触れとして耳鳴りや耳閉感が強くなる方もいる
発作と発作の間は、ほぼ普通に生活できる「間欠期」がありますが、人によってはふらつきや耳鳴りが持続することもあります。
⚫︎受診の目安
次のような場合は、早めに耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
- ぐるぐる回るめまいが20分以上続く
- めまいと同時に、片耳の耳鳴り・聞こえにくさ・耳の詰まり感がある
- 同じようなめまい発作がくり返し起こる
- めまいで立てない、歩けない、吐き気が強く水分も取りにくい
- 仕事や家事、学校生活に支障が出ている
また、次のような症状がある場合は、脳卒中など別の重い病気の可能性もあるため、救急受診を含め早急な対応が必要です。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
メニエール病は、問診と検査を組み合わせて診断します。
診断では、主に次のような点を確認します。
- 診断では、主に次のような点を確認します。
- どのくらい続くか、どのくらいの頻度か
- 耳鳴り、難聴、耳の詰まり感が一緒に起きるか
- 発作の前後で聞こえ方が変わるか
そのうえで、
- 聴力検査
- 平衡機能検査
- 必要に応じた画像検査(MRIなど)
を行い、良性発作性頭位めまい症、突発性難聴、脳の病気など、ほかの病気との区別を進めます。
治療は、主に次のような方法が中心です。
- 発作時のめまいを抑える薬
- 発作を繰り返さないようにする予防薬
- 生活習慣の見直し(塩分やストレスの調整など)
症状が強く、薬だけでコントロールが難しい場合には、耳への注射や手術などを行うこともあります。
▶︎メニエール病の診断
1)問診・診察
- めまいの性質(回転性か、ふらつきか)
- 発作の持続時間・頻度
- 耳鳴りや難聴、耳の詰まり感の有無とタイミング
などを詳しくお聞きします。耳の中(外耳道・鼓膜)を観察し、中耳炎など他の原因がないかも確認します。
2)聴力検査
- 純音聴力検査で、どの高さの音がどの程度聞こえにくいかを調べます
- メニエール病では、初期には低音域の難聴が特徴的とされ、症状の変動に合わせて聴力も変動することがあります
3)平衡機能検査
- 眼振(がんしん:めまいのときに起こる眼球の揺れ)を観察する検査
- 温度刺激検査などで左右の平衡機能の差を調べる検査
これらによって、内耳のバランス機能の状態を評価します。
4)画像検査・血液検査など
- 頭部MRIなどで脳や聴神経の病気(脳梗塞、脳腫瘍、聴神経腫瘍など)がないかを確認します
- 必要に応じて、他の病気との鑑別のために血液検査なども行います
以上を総合して、診断基準に沿って「メニエール病」と判断します。
▶︎メニエール病の治療
A. 発作時の治療(急性期)
安静
発作時は、安全な場所で横になり、できれば頭を動かさず静かに休むことが大切です。
- めまい止め(抗めまい薬)
- 吐き気止め
を内服や点滴で用いて、つらい症状を和らげます。
点滴治療
脱水を防ぎ、薬を効率よく投与するために点滴を行うこともあります。
B. 発作をくり返さないための治療(予防)
内服薬
- 内リンパ水腫を軽くする目的で、利尿薬(体の余分な水分を出す薬)や血流改善薬が使われることがあります
- 自律神経のバランスを整える薬、抗不安薬などが併用されることもあります
生活習慣の見直し
- 減塩(塩分を控えめにする)
- 規則正しい睡眠・休養
- ストレスをためすぎない工夫
C. 難治例に対する治療
鼓室内ステロイド注入
鼓膜から内耳の近くにステロイド薬を注入し、内耳の炎症やむくみを和らげる治療です。
平衡機能を抑える治療
どうしても発作がコントロールできず、生活に深刻な支障がある場合には、内耳のバランス機能を部分的に抑える治療(薬剤や手術)が検討されることもありますが、聴力への影響などを十分に検討した上で行われます。
⚫︎メニエール病の予後
症状の経過
発症後数年で発作が落ち着いてくる方もいれば、長期間めまい発作が続く方もいます。治療や生活調整を行うことで、発作の頻度や強さを減らせることが多いです。
聴力への影響
発作をくり返すうちに、耳の聞こえにくさが固定し、常に難聴が残ることがあります。早めに治療を開始し、発作の回数を減らすことが、聴力を守るうえでも大切です。
生活への影響
仕事や家事、運転などに制限が出ることがあり、不安や落ち込みを抱える方も少なくありません。主治医と相談しながら、無理のない働き方や生活スタイルを一緒に考えていくことが大切です。
⚫︎メニエール病の予防
メニエール病そのものを完全に防ぐことは難しいですが、発作の頻度を減らすために、次のような工夫が役立ちます。
睡眠と休養をしっかりとる
夜更かしや不規則な生活リズムは、自律神経の乱れにつながり、発作のきっかけになることがあります。
ストレスとの付き合い方を見直す
仕事・家庭・人間関係のストレスをゼロにすることはできませんが、趣味やリラックス法(散歩、深呼吸、ストレッチなど)を取り入れ、ストレスをため込みすぎないようにしましょう。
塩分を控えめにする
塩分を摂りすぎると体内の水分バランスが崩れやすいため、できる範囲で減塩を心がけます。外食や加工食品に含まれる「見えない塩分」にも注意が必要です。
アルコール・カフェイン・喫煙を見直す
個人差はありますが、これらが発作のきっかけになる方もいます。症状との関係を意識しながら、量を減らしたり、控えたりすることが大切です。
⚫︎メニエール病に関連する病気や合併症
遅発性内リンパ水腫
同じく内リンパ水腫が関わる病気で、突発性難聴のあとなどに時間をおいてめまいが出るタイプです。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
頭の位置を変えたときに数秒〜数十秒の短い回転性めまいが起こる病気で、メニエール病と区別が必要です。
突発性難聴
ある日突然、片耳が聞こえにくくなる病気で、めまいを伴うこともありますが、メニエール病のように発作をくり返さない点が異なります。
精神的な不調
めまいや耳鳴りが長く続くことで、不安や抑うつ(気分の落ち込み)、睡眠障害を伴うことがあります。つらい場合は心療内科や精神科と連携して治療を行うこともあります。
⚫︎まとめ
メニエール病は、内耳のむくみにより、ぐるぐる回るめまいと耳鳴り・難聴・耳の詰まり感がくり返し起こる病気です。
早めに耳鼻咽喉科を受診し、症状や生活背景を含めて評価することで、薬物治療や生活調整のプランを立てることができます。
発作をゼロにするのは難しくても、適切な対策で「うまく付き合っていく」ことは十分に可能です。
不安なときは我慢せず、症状や心配事を医師と共有しながら、一緒に最適な治療法を探していきましょう。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
- BYOMIE JOURNAL vol.1
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(https://ubie.app/byoki_qa)
■ この記事を監修した医師
岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック
大阪大学 医学部 卒
東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。
患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。
- 公開日:2026/03/31
- 更新日:2026/03/31
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