アスペルギルス症あすぺるぎるすしょう

アスペルギルス症は、カビの一種「アスペルギルス」による感染やアレルギー反応で起こる病気です。咳や痰、血痰、発熱、息切れなどがみられ、喘息や慢性の肺病気、免疫力が低い方では重症化することがあります。早めに呼吸器内科などでの評価が大切です。

⚫︎アスペルギルス症とは?

アスペルギルス症は、土やほこりの中にごく普通に存在する「アスペルギルス」というカビ(真菌)を吸い込むことで起こる病気の総称です。健康な人では多くの場合問題になりませんが、もともと肺に病気がある方や、免疫力が落ちている方では、肺の中で増えてしまい、感染症やアレルギー反応を起こすことがあります。
慢性型は、結核のあとやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などで傷んだ肺にカビが住みつき、長期間かけてじわじわ進行するタイプです。

⚫︎アスペルギルス症の原因

原因となるカビ

アスペルギルスは、土・枯れ葉・ほこり・建築現場の粉じんなど、身のまわりの環境にごく普通にいるカビです。そのため、誰もが日常的に少量を吸い込んでいますが、健康な人では体の免疫が処理してくれるため、ふつう病気にはなりません。

発症しやすい背景

次のような方は、アスペルギルスが肺に住みつきやすくなったり、強いアレルギー反応を起こしやすくなったりします。

環境要因

高湿度の室内、換気の悪い浴室やカビの多い場所、土いじりやコンポスト作業、解体工事など粉じんの多い環境では、アスペルギルスを吸い込む量が増える可能性があります。免疫が弱っている方はマスク着用などの対策が勧められることがあります。

⚫︎アスペルギルス症の症状は?

アスペルギルス症の症状はタイプによって少しずつ違いますが、共通して多いのは次のような症状です。

  • 長引く咳、痰(ドロッとした痰・膿のような痰)
  • 血痰や喀血(血の混じった痰〜口いっぱいに出る出血)
  • 発熱、微熱が続く
  • 息切れ、階段や坂で苦しい

「以前治療した結核のあとに影があると言われた」「慢性の肺の病気がある」方で、咳や痰・血痰がだんだん増えている場合は、慢性肺アスペルギルス症の可能性も含めて評価が必要です。

少量でも血痰が何度も出る、あるいは一度に大量の出血(喀血)があった場合は、救急受診を含め早急な医療機関受診が必要です。

⚫︎受診の目安

次のような場合には、早めに医療機関の受診を検討してください。

  • 咳や痰が数週間以上続く
  • 血の混じった痰が出る、あるいは一度でも口いっぱいの出血があった
  • 熱や微熱が長く続き、体重が減ってきた
  • 喘息があり、最近ゼーゼー・ヒューヒューが悪化している

受診先としては、呼吸器内科が中心となります。まずは一般内科で相談し、必要に応じて呼吸器内科や専門医へ紹介されることも多いです。副鼻腔炎(ちくのう症)のような症状が強い場合には、耳鼻咽喉科での評価が行われることもあります。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、症状やこれまでの病歴(結核・喘息・基礎疾患・治療中のがんなど)を詳しくうかがい、胸部X線・CTなどの画像検査、血液検査、痰や気管支洗浄液の検査などを組み合わせて行います。慢性型かアレルギー型か、侵襲性で全身に広がるタイプかを見きわめることがとても大切です。

治療は

  • 抗真菌薬(カビに効く薬)の内服や点滴
  • アレルギー型ではステロイド薬+抗真菌薬の併用
  • 出血が強い場合のカテーテルによる止血(血管塞栓術)や外科手術

などを、患者さんの全身状態にあわせて組み合わせて行います。

⚫︎アスペルギルス症の診断

1)問診・診察

  • 咳・痰・血痰・息切れ・発熱・体重減少の有無や経過
  • 結核やCOPD、気管支拡張症、間質性肺炎などの既往
  • 喘息の有無、アレルギー歴

2)画像検査

胸部X線、胸部CTで、空洞(穴)、塊状の影、すりガラス影などの特徴的な所見を確認します。慢性型・アレルギー型・侵襲性型で影の出方が異なることがあります。

3)血液検査

  • 炎症の程度(白血球、CRPなど)や、肝腎機能を評価
  • β-Dグルカンやアスペルギルス抗原、アスペルギルスIgG抗体など、真菌感染の目印になる検査を行うことがあります

4)痰・気管支洗浄液・組織検査

  • 痰や気管支鏡で採取した検体を培養してアスペルギルスを確認したり、遺伝子検査(PCR)を行うことがあります
  • 必要に応じて、肺の一部の組織を採取し、顕微鏡でカビの侵入の程度を確認することもあります。侵襲性が強いほど、早期の治療が重要です

⚫︎アスペルギルス症の治療

A. 基本となる治療

抗真菌薬

ボリコナゾールやイトラコナゾールなどの抗真菌薬を内服や点滴で使用します。病型や重症度によって薬の種類や期間が変わります。

アレルギー型(ABPA)

気道の炎症を抑えるため、ステロイド薬を用いることが一般的です。再発を防ぐ目的で、抗真菌薬を併用することもあります。

B. 症状や合併症への対応

喀血(血を吐くこと)が強い場合

放射線科と連携して、カテーテルを使い出血している血管を塞ぐ「血管塞栓術」で止血を図ることがあります。

呼吸不全(酸素が足りない状態)

酸素吸入や人工呼吸器管理が必要になることもあり、集中治療室(ICU)での管理となる場合があります。

C. 外科手術が検討される場合

限られた部位に大きなアスペルギルスの塊(アスペルギローマ)があり、喀血をくり返す場合には、外科的に切除することが検討されます。

D. 基礎疾患・生活へのアドバイス

  • 喘息やCOPDなどのコントロールを整え、禁煙を徹底することが重要です
  • ステロイド薬・免疫抑制薬は、主治医の指示のもと、できるだけ必要最小限の量に調整します

⚫︎アスペルギルス症の予後

アスペルギルス症の経過(予後)は

  • どのタイプか(アレルギー型・慢性型・侵襲性型)
  • もともとの肺の状態
  • 免疫力の程度
  • 治療開始までの速さ

によって大きく異なります。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)

適切なステロイド・抗真菌薬治療と喘息のコントロールにより、多くは改善が見込めますが、治療を中断すると再燃(ぶり返し)しやすい病気です。

慢性肺アスペルギルス症

数年単位でゆっくり進行することが多く、長期にわたる薬物治療や定期的な画像検査が必要になる場合があります。重症化すると、呼吸不全や喀血のリスクが高まります。

⚫︎アスペルギルス症の予防

完全に防ぐことは難しいですが、次のような工夫でリスクを下げられる可能性があります。

日常生活

  • 室内のカビ対策(換気・除湿・浴室やエアコンフィルターの清掃)
  • 土いじりやガーデニング、コンポスト作業などの際には、免疫力が低い方はマスク・手袋の使用を検討する
  • 建築現場や解体工事など粉じんが多い場所への出入りはなるべく避けるか、防塵マスクを使う
  • 基礎疾患の管理
  • 喘息やCOPD、間質性肺炎などの治療を継続し、急な悪化を放置しない

⚫︎アスペルギルス症に関連する病気や合併症

アスペルギルス症に関連して、次のような病気や合併症がみられることがあります。

喀血(かっけつ)

慢性肺アスペルギルス症やアスペルギローマで、周囲の血管が傷み、大量出血につながることがあります。

気管支拡張症・慢性呼吸不全

長期の炎症で気管支が広がり、痰がたまりやすくなり、息切れや感染をくり返す原因になります。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)

重い喘息発作をくり返し、放置すると気管支拡張症や肺線維症に進むことがあります。

⚫︎まとめ

アスペルギルス症は、環境中に遍在する真菌(アスペルギルス属)による感染症です。主に慢性肺疾患の既往がある方や、免疫不全状態にある方が発症リスクを有します。

遷延する咳嗽や喀痰、血痰、呼吸困難、原因不明の発熱や体重減少などの症状を認める場合は、速やかな専門医への受診が必要です。 診断には画像検査や血液検査が用いられ、抗真菌薬療法を中心に、必要に応じてステロイド投与や外科的治療(カテーテル治療・手術)が検討されます。早期発見と基礎疾患の適切な管理が、予後を左右する重要な要素となります。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/03/10
  • 更新日:2026/03/10

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