先天性風疹症候群せんてんせいふうしんしょうこうぐん

先天性風疹症候群は、妊娠中に風疹にかかったことで胎児に感染が起こり、難聴や白内障、心臓の病気などの先天異常を生じる状態です。妊娠前の免疫確認とワクチンで予防が可能です。

⚫︎先天性風疹症候群とは?

先天性風疹症候群は、妊婦さんが風疹(ふうしん)ウイルスに感染し、その影響が胎児に及ぶことで、生まれてくる赤ちゃんにさまざまな先天異常が起こる状態です。風疹自体は、発熱・発疹・リンパ節の腫れなどで比較的軽く経過することもありますが、妊娠初期の感染は赤ちゃんに大きな影響を与える可能性があります。
妊娠初期に感染すると、流産や死産の原因になったり、生まれてくる赤ちゃんに重い障害が残ったりすることがあります。海外の報告では、妊娠早期の感染で赤ちゃんに影響が出る割合が高いとされます。
「すべての症状がそろう」とは限らず、出生直後に分かるものもあれば、成長してから見つかるもの(難聴など)もあります。

⚫︎先天性風疹症候群の原因

風疹ウイルスの胎内感染

妊婦さんが風疹にかかると、胎盤を通して胎児にウイルスが感染し、臓器が作られる時期に障害が起こりやすくなります。

感染経路は飛沫(ひまつ)

咳やくしゃみのしぶきでうつります。身近な人からの感染も起こり得ます。

妊娠中(特に妊娠初期)の感染が重要

母体が風疹にかかると、胎児に影響が出やすくなります。

妊娠週数との関係

一般に妊娠初期ほど赤ちゃんへの影響が大きく、同じ風疹でも感染時期によってリスクや起こりやすい障害が変わります。妊娠の後半になるほど、先天異常の頻度は下がると考えられています。

母体に免疫がない/弱い

過去に風疹にかかったことがない、またはワクチン接種歴がない(不明)場合は感染リスクが上がります。

⚫︎先天性風疹症候群の症状は?

先天性風疹症候群では、耳・目・心臓を中心に、次のような症状がみられます。
なお、妊婦さんの風疹は軽症または症状が目立たないこともあります。発疹や発熱がはっきりしないまま感染している場合もあるため、「妊娠中に風疹が流行していた」「身近に風疹の人がいた」などの状況があるときは、症状が軽くても早めに相談することが大切です。

難聴

片耳だけ、軽い〜重いなど幅があり、乳児期は気づきにくいことがあります。

目の異常(白内障、緑内障、網膜の異常 など)

目が白く見える、光をまぶしがる、視線が合いにくいなどが手がかりになります。

先天性心疾患

息切れ、哺乳力低下、体重増加が悪い、心雑音(健診で指摘)などで見つかることがあります。

発育不良・低出生体重

出生時から体が小さい、体重が増えにくいなど。

皮膚の紫斑(しはん)

皮下出血のような赤紫の斑点が出ることがあります。

⚫︎受診の目安

次の場合は、早めに医療機関へ相談してください。

妊婦さん

  • 発疹、発熱、リンパ節の腫れがあり、風疹の可能性がある
  • 風疹患者と接触した/流行地域での滞在があった
  • 妊娠前に風疹の免疫があるか不明で不安

→ まずは産婦人科に連絡し、受診のタイミングや検査の必要性を相談しましょう。

赤ちゃん

  • 健診で心雑音、白内障、聴こえの疑いなどを指摘された
  • 哺乳が弱い、呼吸が苦しそう、体重が増えない
  • 皮膚に紫斑がある、黄疸が強い

→ 小児科で評価し、必要に応じて耳鼻咽喉科・眼科・循環器などへつなぎます。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、妊娠中に母体の感染を確認する検査と、出生後に赤ちゃんの感染や障害を評価する検査を組み合わせて行います。妊娠中に感染が疑われる場合は、妊娠週数に応じて胎児超音波検査などで赤ちゃんの状態を確認し、必要に応じて専門医と連携して方針を検討します。治療は「ウイルスを直接やっつける薬」よりも、起こっている障害(難聴、眼の異常、心疾患など)に対する早期の治療・支援が中心です。赤ちゃんは一定期間ウイルスを排出することがあるため、周囲への感染対策も重要になります。

⚫︎先天性風疹症候群の診断

1)問診

  • 妊娠中の発疹・発熱の有無、風疹との接触歴、ワクチン接種歴、抗体検査歴
  • 渡航歴や流行状況、家族内の発疹の有無

2)母体の検査(妊婦さん)

  • 血液検査:風疹の抗体検査(IgM/IgG)などで感染時期を推定します。
  • 必要に応じて追加検査:医師の判断で、より詳しい検査を組み合わせます。

3)赤ちゃんの検査

  •  血液検査:風疹に対する抗体(IgMなど)を調べます。
  • ウイルス検査:のどや尿などからウイルスを確認する検査を行うことがあります。
  • 臓器評価:心エコー、聴力検査、眼科検査、発達評価など。

4)感染対策の評価

赤ちゃんがウイルスを排出している可能性がある期間は、周囲への配慮や保育施設での対応が必要になることがあります。

⚫︎先天性風疹症候群の治療

A. 基本方針

  • 特効薬はなく、症状や合併症に合わせた治療(対症療法)と、早期支援が中心です
  • 赤ちゃんが風疹ウイルスを排出している可能性がある間は、妊婦さんとの接触を避けるなど、周囲への感染対策が必要になることがあります。
  • 複数科で連携して、赤ちゃんの成長発達を長期的に見守ります

B. 症状別の主な対応

  • 難聴:聴力検査を定期的に行い、補聴器や人工内耳、言語訓練などを検討します
  • 白内障など眼の異常:視機能の評価を行い、必要に応じて手術や治療を行います
  • 先天性心疾患:心機能の評価を行い、薬やカテーテル治療、手術などを検討します
  • 紫斑や血小板減少:出血リスクを評価し、必要に応じて治療します
  • 発達の遅れ:早期からリハビリや療育(発達を支える支援)につなげます

C. 家庭でのケア

  • 哺乳や体重増加、呼吸の様子を観察し、気になる変化は早めに相談します
  • 定期健診や専門外来を継続し、聴力・視力・発達をこまめに確認します

⚫︎先天性風疹症候群の予後

  • 障害の種類や程度は個人差が大きく、軽い難聴のみのこともあれば、複数の障害が組み合わさることもあります
  • 適切な治療(心疾患や白内障の治療など)と、早期からの支援(聴覚・言語、発達支援)により、生活の質を高められる可能性があります
  • 赤ちゃんが一定期間ウイルスを排出することがあるため、家族内や周囲の妊婦さんへの配慮が必要です。保育施設の利用や外出の範囲については、主治医の指示に沿って調整しましょう

⚫︎先天性風疹症候群の予防

先天性風疹症候群は、予防がとても重要な病気です。

妊娠前に免疫を確認する

抗体検査で風疹の免疫が十分か確認できます。妊娠を希望する方は、早めに確認しておくと計画が立てやすくなります。

妊娠前にワクチン接種を済ませる

風疹を含むワクチン(MRワクチンなど)で予防できます。妊娠中は原則として生ワクチン接種はできないため、妊娠前の準備が大切です。接種後は医療機関の案内に従い、一定期間は妊娠を避けるよう説明されることがあります。

家族や周囲もワクチンで守る

同居家族や職場など、身近な人が免疫を持つことで、妊婦さんへの感染持ち込みを減らせます。特に大人は「子どもの頃に接種機会がなかった世代」もあるため、接種歴があいまいな場合は確認をおすすめします。

妊娠中に風疹が疑われたら早めに相談

自己判断で様子を見るのではなく、産婦人科に連絡して検査や対応を確認しましょう。

産後のワクチン接種

妊娠中に免疫が不十分と分かった場合は、産後にワクチン接種を行うことで次の妊娠に備えられます。

⚫︎先天性風疹症候群に関連する病気や合併症

  • 風疹(母体の急性感染)
  • 先天性心疾患(動脈管開存、肺動脈狭窄など)
  • 難聴
  • 白内障、緑内障、網膜症などの眼の合併症
  • 発達の遅れ、学習面の困難
  • 血小板減少や紫斑、肝炎など
  • 鑑別が必要な先天性感染症

⚫︎まとめ

先天性風疹症候群は、妊娠中に母親が風疹に感染することで、赤ちゃんに影響が及び、難聴や目の異常、先天性の心臓病などを起こす状態です。妊娠初期ほど影響が大きいとされ、出生直後には目立たなくても、成長してから症状が分かることもあります。
治療は特効薬で治すというより、心臓・耳・目などの障害を早く見つけて適切に治療し、必要に応じて長期的に支援していくことが中心になります。
予防として最も確実なのは、妊娠前に風疹への免疫があるか確認し、必要に応じてワクチン接種を受けておくことです。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/03/10
  • 更新日:2026/03/10

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