マラリアまらりあ

マラリアは「マラリアマラリア」という寄生虫が、ハマダラカという蚊に刺されることでうつる病気です。熱帯・亜熱帯の地域で多く、日本でも海外から持ち込まれる例があります。悪寒を伴う高熱や貧血が特徴で、重症になると命にかかわりますが、早期に診断して適切な薬を使えば多くは治療が可能です。

⚫︎マラリアとは?

マラリアは、マラリアマラリア(Plasmodiumというマラリアの仲間)が赤血球の中に入り込んで増えることで起こる感染症です。

主にアフリカ、東南アジア、南アジア、中南米などの熱帯・亜熱帯地域に多い病気です。
日本では常に存在する病気ではありませんが、仕事や旅行・留学などで流行地域に行ったあとに発症する「輸入マラリア」が毎年報告されています。

マラリアマラリアにはいくつか種類があります。

  • 熱帯熱マラリア(もっとも重症化しやすいタイプ)
  • 三日熱マラリア、卵形マラリア(いったん良くなっても、しばらくして再発することがあります)
  • 四日熱マラリア、二日熱マラリア など

感染してから発症するまでの「潜伏期間」は、ふつう1〜4週間ほどですが、種類によっては数か月以上たってから症状が出ることもあります。

 

⚫︎マラリアの原因

マラリアの原因とうつり方は次のようなものです。

原因となる病原体

  • 病原体はマラリアマラリアという「マラリア(げんちゅう:1個の細胞から成る小さな寄生生物)」です
  • マラリアが人の赤血球の中で増えることで、発熱や貧血などの症状を起こします

主な感染経路

  • マラリアマラリアを持った「ハマダラカ」という蚊に刺されることで感染します
  • 人から人へ、空気感染・飛沫感染(くしゃみや咳)でうつることはありません

まれな感染経路

  • 輸血や、汚染された注射針を介した感染
  • 妊娠中に母体から胎児へ感染(先天性感染)

これらは日常生活では非常にまれですが、医療現場や流行地で問題になることがあります。

 

⚫︎マラリアの症状は?

典型的には、蚊に刺されてから1〜4週間ほどの潜伏期間のあと、次のような症状があらわれます。

全身症状

  • 悪寒(寒気)と震えを伴う急な高熱
  • 大量の汗をかいたあと、いったん熱が下がる

血液・臓器の症状

  • 赤血球がこわされることによる貧血(息切れ・動悸・顔色不良)
  • 脾臓(ひぞう:お腹の左上にある臓器)が腫れ、左上腹部の重さや痛み

重症化した場合の症状(特に熱帯熱マラリア)

  • 意識がもうろうとする、けいれん
  • 呼吸が苦しい、速く浅い呼吸になる

「熱が出たり下がったりをくり返す」「海外から戻って数日〜数週間後に高熱と強いだるさ」という場合は、マラリアを疑うサインになります。風邪やインフルエンザと似ている時期もあるため、渡航歴が重要な手がかりになります。

 

⚫︎受診の目安

次のような場合には、早めに医療機関を受診してください。

  • 過去1か月〜数か月以内に、アフリカ・東南アジア・南アジア・中南米などマラリアがある地域に渡航したことがある
  • 帰国後または滞在中に、38度以上の発熱や悪寒、強いだるさが出ている
  • 熱がいったん下がっても、数日おきに高熱と悪寒をくり返している
  • 息切れ、強い頭痛、意識がぼんやりする、尿が出にくいなどの症状がある
  • 妊娠中、あるいは小さな子ども・高齢の方で、海外渡航後に発熱している

 

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

マラリアの診断は、「渡航歴・症状の聞き取り(問診)」と「血液検査」を組み合わせて行います。確定診断には、血液中のマラリアマラリアを直接確認する検査が必須です。

治療は、マラリアマラリアの種類や重症度、患者さんの年齢・妊娠の有無・持病の状況などに合わせた「抗マラリア薬(マラリアマラリアを退治する薬)」が中心です。重症例では入院して点滴や集中治療が必要になります。

 

▶︎マラリアの診断

1)問診・診察

  • 最近の海外渡航歴(国名・都市・滞在期間)
  • 発熱の始まった時期と経過(何日おきに繰り返すかなど)
  • 予防薬(抗マラリア薬)の有無、蚊に刺された覚え
  • 頭痛・呼吸困難・尿量減少・意識の変化などの有無を詳しくうかがい、全身状態や脾腫・黄疸の有無を診察します

2)血液検査(一般検査)

  • 貧血の程度、白血球や血小板の数
  • 肝機能・腎機能、炎症の程度などを確認し、重症度や合併症の有無を評価します

3)マラリア特有の検査

血液塗抹標本検査

  • 採血した血液をスライドガラスに広げ、染色して顕微鏡で観察し、赤血球内のマラリアマラリアを確認します。マラリアの形から、種類(熱帯熱・三日熱など)や量(重症度)の目安もわかります

 

▶︎マラリアの治療

A. 初期対応(まずやること/基本方針)

  • 重症度の評価:意識状態、呼吸・血圧、尿量などを評価し、緊急性を判断します
  • 入院の検討:重症例、妊娠中、小児、高齢者、基礎疾患がある方では、早めの入院管理が必要になることが多いです

B. 抗マラリア薬による治療

  • 内服薬または点滴の抗マラリア薬を、マラリアの種類・耐性(薬が効きにくいタイプかどうか)・流行地域の情報などを参考に選択します
  • 代表的な薬として、アトバコン・プログアニル、メフロキン、アルテミシニン系薬などが使われます(薬の組み合わせや期間は個々に異なります)
  • 薬は自己判断で中断せず、指示された期間しっかり飲み切ることが大切です

C. 支持療法(症状を整える治療)

  • 高熱に対して解熱薬を使用し、水分・電解質の補給を行います
  • 重い貧血や臓器障害がある場合には、輸血や集中治療が必要になることもあります

 

⚫︎マラリアの予後

早期に診断して適切な抗マラリア薬で治療を開始できれば、多くの例で回復が期待できます。

しかし、特に熱帯熱マラリアでは重症化しやすく、治療が遅れると脳症、急性呼吸不全、腎不全などを起こし、致命的となることがあります。

小児、妊婦、高齢者、基礎疾患のある方では、とくに重症化しやすいとされています。

治療後もしばらくは倦怠感が続くことがありますが、多くの場合、時間とともに改善します。再発や合併症がないか確認するためにも、医師の指示どおり外来通院を続けることが大切です。

 

⚫︎マラリアの予防

マラリアは「蚊に刺されないこと」と「必要に応じて予防薬を使うこと」が予防の基本です。

蚊に刺されない工夫

  • ハマダラカは夕方から明け方に活動が活発になります
  • 長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を減らす
  • 虫よけスプレーや虫よけローションをこまめに使用する
  • 窓やドアに網戸をつける、蚊帳を利用する

予防薬(抗マラリア薬)の内服

  • 流行地域に渡航する場合、滞在地域・期間・体調などに応じて、予防的に抗マラリア薬を飲むことが勧められるケースがあります
  • 日本で承認されている予防薬として、アトバコン・プログアニル合剤やメフロキンなどがあります

 

⚫︎マラリアに関連する病気や合併症

マラリアが重症化した場合、次のような合併症が起こることがあります。

  • 重度の貧血
  • 脳症(けいれん、意識障害など)
  • 急性呼吸窮迫症候群(ARDS:重い呼吸不全)
  • 急性腎障害(尿が出なくなる、腎不全)
  • 肝障害、黄疸
  • 低血糖、ショック、多臓器不全

また、マラリアと同じく蚊が媒介する感染症として、デング熱、ジカウイルス感染症、日本脳炎なども知られています。これらも同時に流行している地域が多く、総合的な「防蚊対策」が重要です。

 

⚫︎まとめ

マラリアは、蚊が運ぶマラリア原虫によって起こる、世界的に重要な感染症です。

熱帯・亜熱帯への旅行や出張が増えた今、日本でも「海外から持ち込まれる病気」として注意が必要です。

高熱や悪寒、強いだるさが渡航後に出た場合は、早めに医療機関を受診することが命を守ることにつながります。

渡航前の予防薬と、現地・帰国後の体調管理を意識して、安心して海外生活・旅行を楽しみましょう。

 

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/03/06
  • 更新日:2026/03/06

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