鼻茸(鼻ポリープ)はなたけ

鼻茸は、鼻の粘膜がきのこ(ポリープ)のようにふくらんだ良性のしこりで、多くは慢性副鼻腔炎などの長引く炎症が原因です。鼻づまり・匂いを感じにくい・いびきなどの症状を起こし、薬やスプレーで改善しない場合は内視鏡手術での摘出を検討します。

⚫︎鼻茸とは?

鼻茸(はなたけ)は、鼻やその周囲の空洞(副鼻腔)の粘膜が、慢性的な炎症によって柔らかくふくらみ、きのこやぶどうの房のように垂れ下がった「良性のポリープ(できもの)」です。がんではありません。

大きさや数はさまざまで、

  • 小さいうちは自覚症状がほとんどない
  • 大きくなると、鼻の空気の通り道をふさいで鼻づまりや嗅覚障害(匂いが分かりにくい)を起こす

といった経過をとることが多いです。

多くは両側の鼻に複数でき、慢性副鼻腔炎、とくに好酸球性副鼻腔炎と呼ばれるタイプで目立ちます。片側だけの大きな鼻茸では、まれに腫瘍との区別が必要になることもあります。

⚫︎鼻茸の原因

鼻茸は「粘膜の慢性的な炎症」が長く続くことで生じると考えられています。原因としては、次のようなものが挙げられます。

慢性副鼻腔炎

細菌やカビ(真菌)による副鼻腔炎が長引くと、粘膜がむくんでポリープ状にふくらみやすくなります。

好酸球性副鼻腔炎

白血球の一種である好酸球が関わるタイプの副鼻腔炎で、両側に多発する鼻茸が特徴です。手術後も再発しやすい「難治性」の副鼻腔炎として知られています。

アレルギー(アレルギー性鼻炎・気管支喘息など)

アレルギー体質の方では、鼻の粘膜が長いあいだ炎症を起こしやすく、鼻茸のリスクが高くなると考えられています。

薬物・体質など

アスピリンなど一部の鎮痛解熱薬に対する過敏症(アスピリン喘息)や、免疫のしくみのくるいなどが関与することもあります。

⚫︎鼻茸の症状は?

鼻茸そのものと、その原因である副鼻腔炎の両方が症状に関係します。代表的な症状は次のとおりです。

鼻づまり

片側または両側の鼻がいつも詰まった感じになり、口呼吸が増えます。

嗅覚障害(においを感じにくい)

空気が嗅覚のセンサー(嗅上皮)に届きにくくなるため、匂いが分かりにくくなったり、ほとんど分からなくなったりします。

鼻水・後鼻漏(こうびろう)

ねばっとした鼻水が出たり、鼻水がのどに垂れてくる感じ(後鼻漏)があります。

いびき・睡眠の質の低下

鼻づまりが強いといびきや無呼吸が出やすくなり、熟睡できない・日中の眠気が増えるなどの影響が出ることがあります。

⚫︎受診の目安

次のような状態が続く場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

  • 数週間〜数か月、片側または両側の鼻づまりが続いている
  • 匂いが分かりにくい、匂いがほとんど分からない
  • 黄色〜緑色の鼻水や、鼻水がのどに垂れる感じが長く続く
  • いびきが強くなった、家族から「息が止まっているようだ」と言われる
  • 副鼻腔炎を何度も繰り返している

鼻の中が自分で見えて「白っぽい半透明のブヨブヨしたものが見える」場合などは、鼻茸の可能性がありますが、腫瘍との区別も必要になるため、必ず専門医の診察を受けてください。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、問診・診察で症状や経過を確認したうえで、鼻の中を詳しく観察し、必要に応じて画像検査(副鼻腔CTなど)を行います。

治療は、

  • 鼻や副鼻腔の炎症をおさえる薬物療法
  • 鼻洗浄やネブライザーなどによる局所ケア
  • 薬での改善が乏しい場合の、内視鏡下での鼻茸・副鼻腔炎手術

を組み合わせて行います。好酸球性副鼻腔炎のような難治性の場合には、生物学的製剤(新しいタイプの注射薬)を用いることもあります。

▶︎鼻茸の診断

1)問診・視診

  • いつからどのような鼻づまりや嗅覚障害があるか
  • 副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、喘息などの有無
  • いびきや睡眠の状態

などを確認し、鼻の入り口から見える範囲を観察します。

2)内視鏡検査

細い内視鏡(カメラ)を鼻から入れて、奥の方まで観察します。

  • ポリープの有無・大きさ・場所
  • 鼻汁(鼻水)の状態、副鼻腔の出口まわりの炎症

などが詳しく分かり、診断と治療方針の決定にとても役立ちます。

3)画像検査(CTなど)

副鼻腔CTで、

  • どの副鼻腔に炎症があるか
  • ポリープがどの程度広がっているか
  • 骨の形や、副鼻腔の構造上の問題

を確認します。手術を検討する際にはほぼ必須の検査です。

4)必要に応じた検査

  • アレルギー検査(血液検査など)
  • 血液中の好酸球の数のチェック
  • 片側のみの大きな病変や、見た目が典型的でない場合には、組織検査(生検)で腫瘍との区別を行うこともあります

▶︎鼻茸の治療

A. 薬物療法・保存的治療

ステロイド点鼻薬

鼻の粘膜の炎症を抑え、鼻茸や副鼻腔炎の腫れを小さくする目的で使用します。全身への影響が少ないのが利点です。

内服薬

急性の炎症が強いときには、短期間のステロイド内服が検討されることがあります。また、細菌感染が疑われる場合には抗菌薬、アレルギーが強い場合には抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などを併用します。

B. 手術療法(内視鏡下副鼻腔手術:ESS など)

  • 薬物治療で十分な改善が得られない
  • 鼻茸が大きく、鼻の中をほとんどふさいでいる
  • 副鼻腔炎の炎症が広範囲に残っている

といった場合には、内視鏡を用いた手術が検討されます。

  • 手術では、鼻から内視鏡と細い器具を入れ、鼻茸を切除するとともに、副鼻腔と鼻の通り道を広げて、空気と鼻汁の流れを改善します
  • 従来の「外から切る手術」と比べて、顔の傷が残りにくく、術後の回復も比較的早いのが特徴です

ただし、好酸球性副鼻腔炎に合併した鼻茸では、手術後も再発しやすく、術後も点鼻薬・鼻洗浄・生物学的製剤などを組み合わせた長期的な管理が必要になります。

C. 再発予防と通院

  • 手術後や薬物治療で症状が落ち着いたあとも、慢性副鼻腔炎やアレルギーのコントロール、定期的な鼻処置・鼻洗浄が再発予防には重要です
  • 医師の指示に従いながら、症状が軽いうちからこまめに相談していくことが、長い目で見た鼻の健康につながります

⚫︎鼻茸の予後

鼻茸自体は良性で、きちんと診断・治療を行えば生命に関わることはほとんどありません。

一方で、

  • 慢性副鼻腔炎が背景にある
  • 好酸球性副鼻腔炎や喘息など、体質的な問題を抱えている

場合には、手術をしても再発しやすく、長期的な通院や治療が必要になることがあります。

嗅覚障害は、早期に治療を開始すれば回復するケースもありますが、長期間続くと完全には戻らないこともあり、「早めに気づいて治療すること」が予後を左右する大きなポイントです。

⚫︎鼻茸の予防

鼻茸そのものを完全に防ぐ方法は分かっていませんが、次のような工夫でリスクを下げたり、再発を予防したりできる可能性があります。

  • かぜや副鼻腔炎を放置せず、必要に応じて耳鼻咽喉科で治療する
  • アレルギー性鼻炎や喘息をしっかりコントロールする
  • 指示された点鼻薬や鼻洗浄を、自己判断で中断せず継続する
  • たばこの煙や強いにおいなど、鼻の粘膜を刺激する環境を避ける
  • 十分な睡眠やバランスの良い食事で、全身状態を整える

再発しやすいタイプの鼻茸(好酸球性副鼻腔炎など)の場合は、医師と相談しながら「長くうまく付き合う」スタンスで治療とセルフケアを続けていくことが大切です。

⚫︎鼻茸に関連する病気や合併症

慢性副鼻腔炎

ほとんどの鼻茸は、慢性副鼻腔炎に伴って生じます。鼻茸の治療と同時に、副鼻腔炎のコントロールが不可欠です。

好酸球性副鼻腔炎

両側に多発する鼻茸と、強い嗅覚障害・再発を繰り返す経過が特徴の、難治性副鼻腔炎です。指定難病にも含まれます。

アレルギー性鼻炎・気管支喘息

アレルギー体質の方では、鼻茸・副鼻腔炎と喘息が一緒にみられることが多く、「鼻と気管支を一つの気道としてまとめて管理する」ことが重要です。

中耳炎・好酸球性中耳炎

鼻と耳をつなぐ管(耳管)の働きが悪くなり、耳の詰まった感じや難聴を起こすことがあります。好酸球性副鼻腔炎では、難治性の中耳炎を合併することも知られています。

⚫︎まとめ

鼻茸は、鼻の粘膜がきのこ状にふくらんだ良性のポリープで、多くは慢性副鼻腔炎など長引く炎症が背景にあります。

鼻づまりや嗅覚障害、いびきなど、生活の質を下げる症状の原因になる一方、適切な診断と治療によりコントロール可能な病気です。

薬物療法・鼻洗浄・内視鏡手術・生物学的製剤など、選択肢は増えており、体質や病状に合わせたオーダーメイドの治療が行われています。

「なんとなく鼻が詰まる」「匂いが分かりにくい」が長引くときは、我慢せず耳鼻咽喉科で早めにご相談ください。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック

大阪大学 医学部 卒

東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。

患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。

  • 公開日:2026/03/31
  • 更新日:2026/03/31

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