感染性鼻炎かんせんせいびえん
感染性鼻炎は、いわゆる「鼻かぜ」で、ウイルスや細菌が鼻の粘膜に感染して起こる鼻炎です。くしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの違和感などが数日〜1週間ほど続き、多くは自然に良くなりますが、副鼻腔炎や中耳炎に進行することもあるため、長引く場合は耳鼻咽喉科での診察が大切です。
目次
⚫︎感染性鼻炎とは?
感染性鼻炎は、ウイルスや細菌などの病原体が鼻の粘膜に感染して起こる鼻炎で、「急性鼻炎」や「鼻かぜ」と呼ばれることもあります。
最も多いのはウイルスによるもので、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなど、いわゆる「風邪のウイルス」が原因となります。鼻だけでなく、のどの痛みや咳、だるさなどの症状を伴うことも多く、上気道感染症(じょうきどうかんせんしょう:鼻〜のど・気管支までの感染)の一部としてとらえられます。
通常は数日〜10日程度で自然に軽快しますが、炎症が周囲に広がると副鼻腔炎(ちくのう症)や中耳炎などを合併することがあり、注意が必要です。
⚫︎感染性鼻炎の原因
感染性鼻炎の主な原因は次のように整理できます。
ウイルス感染
→ 最も頻度が高く、多くの「鼻かぜ」はライノウイルスなどのウイルスが原因です。飛沫(くしゃみ・咳)や、手指を介して鼻・口・目にウイルスが入り込むことで感染します。
細菌感染
→ 初期はウイルス感染だけでも、経過中に細菌が二次的に増えて、膿(うみ)の混じった鼻水や発熱をきたすことがあります。副鼻腔炎や中耳炎の原因になることもあります。
環境要因
→ 寒さ・乾燥、急激な気温差、人が多く集まる場所(保育園・学校・職場・公共交通機関)などは、ウイルスの広がりやすい環境です。
体側の要因
→ 免疫力の低下(寝不足・疲労・ストレス・持病など)、喫煙、鼻の構造(鼻中隔弯曲症など)があると、感染性鼻炎が起こりやすく、長引きやすくなります。
⚫︎感染性鼻炎の症状は?
典型的には、ウイルスが体に入ってから1〜3日ほどの「潜伏期」のあと、次のような症状が出てきます。
- 鼻がむずむずする、乾いた感じ・違和感
- くしゃみ
- 水っぽい鼻水(さらさらした鼻水)
- 鼻づまり
経過とともに、鼻水は次のように変化することが多いです。
- 発症初期:さらさらした透明〜やや粘り気のある鼻水
- 数日後 :粘り気が増え、黄色〜緑色に見えることがある(炎症や死んだ白血球が含まれるため)
注意ポイント
- 黄色や緑色の鼻水が必ずしも「抗菌薬が必要な細菌感染」というわけではありません。ウイルス性でも色がつくことがあります。
- 強い顔面痛(ほほ・目の下の鈍い痛み)、高熱、強いのどの痛み、息苦しさなどを伴う場合は、副鼻腔炎や気管支炎・肺炎などを合併している可能性があり、早めの受診が必要です。
⚫︎受診の目安
感染性鼻炎は軽症であれば自然に良くなることが多いですが、次のような場合は耳鼻咽喉科や内科の受診をおすすめします。
- 鼻水・鼻づまり・くしゃみが1〜2週間以上続く
- 38℃以上の発熱が数日続く、全身のだるさが強い
- 顔の痛み・重さ、頭痛、匂いが分かりにくい症状が目立つ
- 耳の痛み・聞こえにくさ・耳閉感(耳がつまった感じ)がある
- 息苦しさ、ゼーゼーする咳が続く
何科に行くか迷った場合も、まず耳鼻咽喉科・一般内科で相談すれば、必要に応じて他科と連携してもらえることが多いです。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
診断は、問診と診察で症状の経過・周囲の流行状況・生活環境を確認し、鼻・のどの状態を観察することで行います。多くは、この段階で「感染性鼻炎(鼻かぜ)」と判断できます。
治療の中心は、
- 体を休めて自己治癒力を高めること
- 水分・栄養を保ちつつ、症状を和らげる対症療法
- 細菌感染や合併症が疑われる場合の適切な抗菌薬
であり、原因ウイルス自体を直接たたく薬がないことが多いため、「上手に付き合いながら回復を待つ」ことが基本になります。
▶︎感染性鼻炎の診断
1)問診・診察
- 発症のきっかけ(家族や職場・学校での風邪の流行など)
- 症状の種類と経過(鼻水の性状、のどの痛み、咳、発熱の有無)
- 既往歴(喘息、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など)
これらを確認し、鼻鏡や内視鏡で鼻の粘膜の腫れ、鼻水の状態、のどの様子を観察します。
2)必要に応じた検査
迅速検査
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症が疑われるときに、鼻や咽頭ぬぐい液で行う検査です。
血液検査
全身状態が悪い場合や、肺炎・重い細菌感染が疑われる場合に、炎症の程度(白血球数、CRPなど)を調べます。
画像検査
副鼻腔炎が疑われるときには、レントゲンやCTで副鼻腔内の状態(膿がたまっていないかなど)を確認します。
▶︎感染性鼻炎の治療
A. 初期対応(まずやること/基本方針)
- 安静・睡眠
→ 無理をせず、しっかり休むことが回復の近道です - 水分・栄養補給
→ スープや経口補水液など、飲みやすい形でこまめに摂取します。脱水を避けることが大切です - 加湿・保温
→ 部屋の湿度を保ち、のど・鼻の粘膜の乾燥を防ぐことで症状が楽になります
B. 症状を和らげる薬(対症療法)
医師の判断で、次のような薬が使われます。
- 解熱鎮痛薬
→ 発熱・頭痛・全身のだるさを軽くする薬です。アセトアミノフェンなどがよく使われます - 鎮咳薬・去痰薬
→ のどの痛みや咳が強い場合に使用します
C. 抗菌薬が必要になる場合
- 細菌による二次感染が疑われる場合(高熱が続く、膿性の鼻水・強い顔面痛など)には、抗菌薬(抗生物質)が検討されます
- 単なるウイルス性鼻炎に対しては、抗菌薬を使用しても回復が早くなるわけではなく、むしろ副作用や耐性菌(薬の効きにくい菌)の問題を増やす可能性があるため、安易な使用は避けます
⚫︎感染性鼻炎の予後
多くの感染性鼻炎は、
- 軽症:数日〜1週間
- 少し長引く場合でも:10〜14日ほど
で、自然に軽快することがほとんどです。
ただし、次のような場合には経過が長くなったり、重症化することがあります。
- 高齢者や基礎疾患(糖尿病、心疾患、慢性呼吸器疾患など)がある方
- 喫煙・栄養不良・強いストレスなどで免疫力が落ちている場合
- 副鼻腔炎や中耳炎の既往があり、構造的に炎症が残りやすい場合
「普通の鼻かぜ」と思っていても、症状が長く続くときは、合併症を早く見つけるためにも医療機関での確認が安心です。
⚫︎感染性鼻炎の予防
完全に防ぐことは難しいものの、次のような対策でリスクを減らすことができます。
手洗い・手指消毒
→ 外出後、食事前、トイレのあと、鼻をかんだあとなどに石けんと水でしっかり洗う。
咳エチケット・マスク
→ くしゃみや咳が出るときはマスクやティッシュで口と鼻を覆い、使ったティッシュはすぐに捨てます。
室内環境の整備
→ 換気、適度な湿度保持、こまめな清掃でウイルスや細菌がたまりにくい環境を保ちます。
生活習慣の見直し
→ 十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、禁煙は、感染症全般の予防に役立ちます。
インフルエンザや新型コロナウイルスなど、一部のウイルスに対してはワクチン接種が重症化の予防に有効です。
⚫︎感染性鼻炎に関連する病気や合併症
副鼻腔炎(急性・慢性)
→ 鼻の隣にある空洞(副鼻腔)に炎症が広がることで、顔の痛み・頭重感・膿性鼻汁・嗅覚障害などが出ます。
中耳炎・滲出性中耳炎
→ 特に子どもでよく見られます。鼻の奥と耳をつなぐ耳管がうまく働かなくなることで、鼓膜の奥に液がたまり、耳の痛みや聞こえにくさの原因になります。
気管支炎・肺炎
→ 下気道(気管支〜肺)まで炎症が及ぶと、強い咳・痰・息切れ・高熱を伴うことがあります。高齢者や持病のある方では重症化に注意が必要です。
アレルギー性鼻炎・非アレルギー性鼻炎との重なり
→ もともとアレルギー性鼻炎がある方では、感染性鼻炎をきっかけに症状が長引きやすく、「風邪をひくといつも鼻だけ治りにくい」と感じることがあります。
⚫︎まとめ
感染性鼻炎は、いわゆる「鼻かぜ」で、多くは数日〜1週間ほどで自然に良くなります。
一方で、副鼻腔炎や中耳炎などへの広がりが起こると、長引いたり、生活の質が大きく低下することがあります。
手洗い・マスク・十分な休養といった基本的な対策で、発症や重症化のリスクを減らすことができます。
鼻症状が長引いたり、痛みや高熱を伴うときは、早めに耳鼻咽喉科や内科に相談して安心できる診断と治療を受けましょう。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
- 病気がみえる vol.13 耳鼻咽喉科「鼻炎・感染性鼻炎・副鼻腔炎 ほか
(https://www.byomie.com/products/vol13/ byomie.com+1) - 済生会公式サイト 医療・病気の解説「アレルギー性鼻炎」「寒暖差アレルギーと風邪の違い」「副鼻腔炎」
(https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/allergic_rhinitis/)
■ この記事を監修した医師
岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック
大阪大学 医学部 卒
東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。
患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。
- 公開日:2026/03/31
- 更新日:2026/03/31
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