慢性扁桃炎/反復性扁桃炎まんせいへんとうえん/はんぷくせいへんとうえん
慢性扁桃炎/反復性扁桃炎は、のどの扁桃の炎症が長く続いたり、年に何度も扁桃炎をくり返す状態です。発熱やのどの痛みで日常生活に支障が出るほか、腎臓・皮膚など全身の病気と関わることもあり、場合によっては扁桃摘出術が検討されます。
目次
⚫︎慢性扁桃炎/反復性扁桃炎とは?
扁桃(口蓋扁桃)は、のどの奥(口を大きく開けたときに左右に見える「扁桃腺」)にあるリンパ組織で、口や鼻から入ってくる細菌やウイルスと戦う役割があります。ここに炎症が起きたものが「扁桃炎」です。
- 慢性扁桃炎
一般的には、扁桃の炎症が3か月以上続く、あるいは長期間にわたりくり返している状態を指します。のどの違和感や軽い痛み、だるさが持続したり、たびたび悪化して急性扁桃炎のような強い症状が出ることもあります。 - 反復性扁桃炎(習慣性扁桃炎)
「年に数回以上、扁桃炎をくり返す」タイプです。明確な基準として、1年に7〜8回、または2〜3年連続で年に4〜5回以上など、頻繁に高熱とのどの痛みをくり返す場合に、手術(扁桃摘出術)を含めた治療が検討されます。
また、扁桃自体の症状は軽くても、扁桃が「病巣(びょうそう)」となって腎臓(IgA腎症)や皮膚(掌蹠膿疱症など)、関節など別の臓器の病気を引き起こす「扁桃病巣感染症(扁桃病巣疾患)」という特殊なタイプも、広い意味で慢性扁桃炎に含められます。
⚫︎慢性扁桃炎/反復性扁桃炎の原因
- 急性扁桃炎のくり返し
風邪や細菌感染による急性扁桃炎を何度もくり返すことで、扁桃の構造が変化し、炎症が長引きやすくなります。 - 細菌やウイルスによる持続的な刺激
溶連菌(溶血性レンサ球菌)をはじめとする細菌や、各種ウイルスが扁桃にとどまり、軽い炎症をくすぶらせることで慢性化すると考えられています。 - 扁桃の構造(くぼみ)
扁桃表面には「陰窩(いんか)」という細かい穴やくぼみがあり、ここに食べかす・細菌・膿のかたまり(膿栓、扁桃結石)がたまりやすく、炎症の温床になります。炎症をくり返すと穴が深くなり、さらに炎症が起こりやすくなります。 - 免疫バランスや体質
疲労・睡眠不足・ストレス・栄養の偏り・喫煙・基礎疾患(糖尿病など)による免疫力の低下は、扁桃炎のくり返しや慢性化の要因となります。
慢性扁桃炎/反復性扁桃炎を起こしやすく、再発もしやすいとされています。
⚫︎慢性扁桃炎/反復性扁桃炎の症状は?
典型的には、次のような症状が目立ちます。
- のどの痛みや違和感を何度もくり返す(風邪のたびに悪化しやすい)
- 発熱(ときに高熱)・悪寒・だるさが、年に何度も起こる
- 扁桃が赤く腫れたり、白い膿やかすが付着する
- 飲みこむときにのどがしみる、痛む
- 扁桃結石や膿栓による口臭
- 首のリンパ節の腫れや痛み
扁桃病巣感染症のタイプでは、のどの症状は軽くても、
- 尿検査で血尿・蛋白尿を指摘される(IgA腎症など)
- 手のひらや足の裏に膿をもった発疹(掌蹠膿疱症)
- 関節痛、発熱、皮膚の発疹
など全身症状が前面に出ることがあります。
⚫︎受診の目安
次のような場合には、耳鼻咽喉科(近くになければ一般内科)を受診してください。
- 1年に何度も扁桃炎(のどの痛みと発熱)をくり返している
- のどの痛みや違和感が数か月続いている
- 口臭や扁桃の白いかす(膿栓・扁桃結石)が気になる
- 扁桃炎のたびに学校や仕事を休まざるを得ない
- 血尿や蛋白尿、原因不明の皮膚症状・関節痛などがあり、「扁桃が関係しているかもしれない」と言われた
特に、
- 「毎月のように高熱とのどの痛みをくり返す」
- 「2年以上、年に4〜5回以上扁桃炎で受診している」
場合は、扁桃摘出術を含めて治療方針を相談することがおすすめです。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
診断は、
- いつから、どのくらいの頻度で扁桃炎をくり返しているか
- のどの症状がどの程度続いているか
- 全身(腎臓・皮膚・関節など)の症状がないか
を丁寧に聞き取り、のどの診察(扁桃の腫れ方・くぼみ・膿栓の有無など)を確認することから始まります。必要に応じて血液検査や尿検査で全身への影響を調べ、他の病気との関連を評価します。
治療は、
- 急性増悪時の対症療法(抗菌薬・解熱鎮痛薬など)
- 生活習慣の見直しや口腔ケアによる再発予防
- 再発頻度が高い・病巣感染が疑われる場合の扁桃摘出術
を組み合わせて行います。
⚫︎慢性扁桃炎/反復性扁桃炎の診断
1)問診・診察
- いつから扁桃炎をくり返しているか(回数や期間)
- 発熱の程度・のどの痛み・口臭・膿栓の有無
- 腎臓や皮膚・関節など全身の症状の有無
を確認します。口を大きく開けてもらい、扁桃の大きさ、表面のくぼみや白い付着物、周囲の粘膜の状態などを観察します。
2)血液検査
- 炎症の程度(白血球数、CRP など)
- 溶連菌感染の影響や自己免疫的な変化のチェック
- 腎機能、肝機能 など
3)尿検査
血尿や蛋白尿がないかを確認し、IgA腎症など腎臓の病気が隠れていないか評価します。
4)画像検査(必要に応じて)
扁桃の大きさや周囲の状態をCTなどで確認することがあります。睡眠時無呼吸症候群(いびき・無呼吸など)を伴う場合は、睡眠検査が行われることもあります。
⚫︎慢性扁桃炎/反復性扁桃炎の治療
A. 急性増悪時の治療
- 安静・水分・栄養補給:脱水を避け、食べやすい形態で少量ずつ補給します。
- 解熱鎮痛薬:アセトアミノフェンなどで発熱・のどの痛みを和らげます。
- 抗菌薬:細菌性扁桃炎が疑われる場合に、ペニシリン系やセフェム系などの抗菌薬を使用します。
症状が強く食事や水分がとれない場合は、点滴治療が必要になることもあります。
B. 慢性期の治療と生活上の工夫
- うがい・手洗い・マスクなどで上気道感染を予防する
- 禁煙・減煙、十分な睡眠とバランスのよい食事
- 口腔ケア(歯みがき・歯科受診)で口の中を清潔に保つ
C. 口蓋扁桃摘出術(扁桃摘出)
次のような場合、全身麻酔で扁桃を摘出する手術が検討されます。
- 1年に7〜8回、または2年以上連続で年に4〜5回以上、急性扁桃炎をくり返す
- 高熱やのどの痛みで学校・仕事に大きな支障が出ている
- 扁桃周囲膿瘍をくり返す
手術時間は通常1時間前後、入院期間はおおむね1週間〜10日前後とされることが多く、術後はのどの痛みが数日続きますが、長期的には扁桃炎の再発が大きく減り、病巣感染症のコントロールにも役立ちます。
⚫︎慢性扁桃炎/反復性扁桃炎の予後
適切な治療と生活習慣の見直しにより、多くの方で扁桃炎の頻度や重さは軽減できます。
扁桃摘出術を行うと、扁桃炎の再発はほぼなくなり、熱を出す回数が減る方が多いとされています。病巣感染症が背景にある場合も、手術で全身症状が改善する例が報告されています。
一方で、手術には出血・麻酔のリスクがあるため、メリットとデメリットを主治医とよく相談し、全身状態や生活への影響をふまえて決めていくことが大切です。
⚫︎慢性扁桃炎/反復性扁桃炎の予防
完全に防ぐことは難しいものの、次のような工夫でリスクを下げることができます。
- のど風邪や扁桃炎を軽くみず、強いのどの痛みや高熱があれば早めに受診する
- うがい・手洗いを習慣にし、感染症の流行期にはマスクや咳エチケットを意識する
- 十分な睡眠、バランスのよい食事、適度な運動で体力と免疫力を保つ
- 禁煙・減煙を心がける
- 歯みがき、歯科受診などで口の中を清潔に保つ
扁桃炎を何度もくり返す方は、自己判断で市販薬だけに頼らず、耳鼻咽喉科で「再発予防も含めた治療計画」を相談しておくと安心です。
⚫︎慢性扁桃炎/反復性扁桃炎に関連する病気や合併症
- 扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍
扁桃の周囲に炎症や膿が広がり、強いのどの痛みや口が開かない症状を起こす病気です。重症化すると呼吸が苦しくなることもあります。 - IgA腎症
尿に血液や蛋白が出る腎臓の病気で、扁桃との関連が知られています。扁桃摘出術と薬物療法を組み合わせた治療が行われることがあります。 - 掌蹠膿疱症
手のひらや足の裏に膿をもった発疹が出る皮膚病で、扁桃病巣疾患として扁桃摘出が有効なことがあります。 - PFAPA症候群などの周期性発熱症候群
周期的な発熱・口内炎・咽頭炎などをくり返す病気で、扁桃摘出術により症状が改善するケースが報告されています。
⚫︎まとめ
慢性扁桃炎/反復性扁桃炎は、「扁桃炎が長引く」「年に何度も扁桃炎になる」状態の総称で、生活の質を下げるだけでなく、腎臓や皮膚など全身の病気とも関わることがあります。
急性期の痛みや熱を抑える治療に加えて、生活習慣の見直しや再発予防、必要に応じた扁桃摘出術を組み合わせることが大切です。
「また扁桃炎かも」「毎年同じ時期に高熱とのどの痛みをくり返す」と感じたら、早めに耳鼻咽喉科で相談しておきましょう。
早期に適切な対応をすることで、つらい症状のくり返しや全身の合併症を防ぐことが期待できます。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「慢性扁桃炎」
(https://www.jibika.or.jp/modules/disease_kids/index.php?content_id=21) - 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「口腔・咽頭の病気」
(https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=22)
■ この記事を監修した医師
岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック
大阪大学 医学部 卒
東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。
患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。
- 公開日:2026/03/31
- 更新日:2026/03/31
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