急性扁桃炎きゅうせいへんとうえん
急性扁桃炎は、のどの奥にある扁桃(口蓋扁桃)がウイルスや細菌に感染して急に炎症を起こす病気です。高熱とのどの強い痛みが特徴で、細菌(特に溶連菌)が原因のときは抗菌薬が必要になります。放置すると扁桃周囲膿瘍など重い合併症につながることもあるため、早めの受診と適切な治療が大切です。
目次
⚫︎急性扁桃炎とは?
急性扁桃炎は、のどの奥・口蓋垂(こうがいつい:いわゆる「のどちんこ」)の左右にある「扁桃(口蓋扁桃)」に、ウイルスや細菌が急に感染して炎症を起こした状態をいいます。
かぜの一種として起こることもあれば、インフルエンザや新型コロナウイルス、溶連菌(ようれんきん:A群β溶血性レンサ球菌)などが原因になることもあります。子ども〜若い成人に多い病気ですが、どの年齢でも起こり得ます。
適切に治療すれば1週間前後で回復することが多い一方、重い扁桃炎を放置すると、扁桃の周囲に膿がたまる「扁桃周囲膿瘍」や、まれに腎炎・リウマチ熱などの合併症につながることがあるため注意が必要です。
⚫︎急性扁桃炎の原因
急性扁桃炎の原因は大きく「ウイルス」と「細菌」に分けられます。
ウイルス感染
かぜウイルス(ライノウイルス・コロナウイルスなど)、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが原因になります。この場合は、のどだけでなく鼻水や咳、全身のだるさなど「かぜ様症状」を伴うことが多く、自然に治ることもあります。
細菌感染(溶連菌など)
A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)が代表的で、高熱・強いのどの痛み・扁桃に白い膿(うみ)の付着をみとめることが多いです。他に、ブドウ球菌、肺炎球菌、嫌気性菌などが原因になることもあります。
からだの抵抗力が落ちているとき
疲労・寝不足・ストレス・かぜの後、糖尿病などの持病、ステロイドや抗がん剤などで免疫が落ちているときは、ふだんなら防げる菌にも負けて扁桃炎を起こしやすくなります。
けが・外傷など、患者さん自身の行動が直接の原因になる病気ではありません。
⚫︎急性扁桃炎の症状は?
急性扁桃炎の主な症状は次のとおりです。
- のどの強い痛み
飲み込むときの痛み(嚥下痛)が特徴的で、水を飲むのもつらい・つばを飲み込むだけでも痛いことがあります。 - 発熱
38〜40℃の高熱になることが多く、悪寒(寒気)や関節痛、全身のだるさを伴います。 - 扁桃の腫れ・白い付着物
のどをのぞくと、左右の扁桃が赤く腫れ、白い点状・べったりとした膿(白苔)が付いていることがあります。 - 首のリンパ節の腫れ・痛み
あごの下や首の側面のリンパ節が腫れて押すと痛むことが多いです。
⚫︎受診の目安
次のような場合は、早めに耳鼻咽喉科や内科・小児科の受診を検討してください。
- 38℃以上の発熱とのどの強い痛みがある
- つばを飲み込むのもつらい、食事や水分がほとんどとれない
- 扁桃が大きく腫れている、白い膿がべったり付いている
- 首のリンパ節が腫れて痛い
特に、
- 口が開けにくい
- 片側だけののどの激痛・耳まで響くような痛み
- だれが多く出てうまく飲み込めない
- 息苦しさ、仰向けでの呼吸困難
などがある場合は、扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎など、窒息につながる重い病気が隠れている可能性もあるため、至急の受診が必要です。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
急性扁桃炎の診断は、
- 症状(のどの痛み・発熱など)の聞き取り
- 口の中とのどの診察
- 必要に応じた検査
を組み合わせて行います。
治療の基本は「安静・水分・栄養」と「痛みや熱を和らげる対症療法」で、細菌感染(特に溶連菌)が疑われる場合は抗菌薬(抗生物質)を追加します。重症例では入院して点滴・抗菌薬投与を行うこともあります。
⚫︎急性扁桃炎の診断
- 問診・診察
いつからどのような症状があるか(のどの痛みの程度・発熱・咳や鼻水の有無・食事や水分がとれるか)、周囲の流行状況、持病や服薬状況などを確認します。
口を開けてのどを観察し、扁桃の腫れ・赤さ・白い膿の有無、のどの奥全体の炎症の広がりを確認します。同時に、首のリンパ節の腫れや圧痛も触って調べます。 - 迅速検査・咽頭ぬぐい検査
溶連菌が疑われる場合は、綿棒で扁桃や咽頭をこすって検体を採取し、その場で結果が出る迅速検査を行うことがあります。これにより、必要な抗菌薬の選択や、合併症予防の方針が立てやすくなります。 - 血液検査
高熱が続く場合や重症感が強い場合には、血液検査で炎症の程度(白血球・CRPなど)を確認し、脱水や臓器への影響の有無を評価します。伝染性単核症(EBウイルスによる扁桃炎様の病気)が疑われる場合は、特徴的な血液所見やウイルス抗体検査を行うこともあります。
⚫︎急性扁桃炎の治療
A. 初期対応(まずやること/基本方針)
- 安静と十分な水分・栄養
発熱や痛みで体力を消耗しやすいため、無理をせず休養をとり、可能な範囲で水分と柔らかく食べやすいもの(おかゆ・スープ・ゼリーなど)をとります。 - 解熱鎮痛薬
アセトアミノフェンなどで熱や痛みを和らげます。市販薬を自己判断で長く飲み続けるのではなく、症状が強い・長引く場合は医療機関で処方を受けてください。 - うがい・口腔ケア
水やうがい薬でのうがい、口腔内の清潔保持は、のどの不快感軽減と二次感染予防に役立ちます。
B. 抗菌薬(抗生物質)
細菌性、特に溶連菌による急性扁桃炎と判断された場合は、ペニシリン系などの抗菌薬を内服します。
飲み始めて数日で熱や痛みが改善しても、処方された日数は飲み切ることが大切です(一般的には10〜14日間など)。途中でやめてしまうと、再燃やリウマチ熱・急性糸球体腎炎などの合併症リスクが高まるとされています。
水分や食事がとれない、飲み薬が難しい場合は、点滴で抗菌薬・補液を行うこともあります。
C. 入院治療が必要になる場合
- 高熱と強い痛みで経口摂取がほぼできない
- 呼吸が苦しそう、よだれが多く飲み込めない
- 扁桃周囲膿瘍が疑われる(片側ののどの強い痛み・口が開きにくい・耳への放散痛)
このような場合は、入院して点滴・抗菌薬投与・膿の排膿処置などを行います。
⚫︎急性扁桃炎の予後
適切な治療を行えば、多くの急性扁桃炎は1週間前後で解熱し、のどの痛みも徐々に軽快します。
一方で、
- 抗菌薬を飲み切らない
- 重症でも受診が遅れる
- 繰り返し扁桃炎を起こす
といった場合には、扁桃周囲膿瘍・深頸部膿瘍などの重い感染症や、溶連菌感染後のリウマチ熱・急性糸球体腎炎などの合併症リスクが高まります。
そのため、「一度よくなったように見えても、医師の指示通りに薬を続ける」「治療後数週間の尿の異常やむくみに注意する」といったフォローも大切です。
⚫︎急性扁桃炎の予防
- 日常の体調管理
十分な睡眠・バランスの良い食事・適度な運動で免疫力を保つことが、かぜや扁桃炎の予防につながります。 - 手洗い・うがい・マスク
かぜやインフルエンザと同じく、手洗い・うがい・人混みでのマスク着用は、原因となるウイルスや細菌の感染予防に役立ちます。 - 喫煙を控える
たばこの煙はのどの粘膜を傷つけ、防御力を弱めます。禁煙や受動喫煙の回避も重要です。 - のどを乾燥させない
室内の加湿、こまめな水分摂取で、のどの乾燥を防ぐことも有効です。
⚫︎急性扁桃炎に関連する病気や合併症
- 扁桃周囲膿瘍
扁桃炎が悪化し、扁桃の周りに膿がたまった状態です。片側ののどの激痛、口が開きにくい、耳への放散痛、高熱が特徴で、切開・排膿や入院治療が必要です。 - 溶連菌関連の合併症
リウマチ熱・急性糸球体腎炎・心内膜炎など。扁桃炎が治ったあと2〜4週間してから、むくみ・血尿・関節痛・息切れなどの症状で気づかれることがあります。 - 伝染性単核症(EBウイルス感染症)
一見急性扁桃炎に似た強い扁桃炎を起こしますが、ウイルスが原因のため抗生物質は効きません。長引く発熱・全身のリンパ節腫脹・肝脾腫などを伴い、診断・治療方針が異なります。 - 急性喉頭蓋炎
のどぼとけ付近の「喉頭蓋」が急激に腫れて、息が苦しくなる病気です。発熱・のどの痛み・含み声・仰向けで悪化する呼吸困難などがあり、窒息の危険があるため救急対応が必要です。
⚫︎まとめ
急性扁桃炎は、のどの奥の扁桃に急に炎症が起こり、高熱とのどの強い痛みをきたす身近な感染症です。適切な治療を行えば多くは1週間ほどで回復しますが、放置すると扁桃周囲膿瘍や腎炎などの合併症につながることがあります。
「つばを飲むのも痛い」「高熱が続く」といったサインがあるときは、早めに医療機関を受診し、必要に応じて抗菌薬や点滴などの治療を受けることが大切です。
日頃の体調管理と手洗い・うがいを心がけつつ、気になる症状が続くときは一人で抱え込まずに専門家に相談しましょう。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「口腔・咽頭の病気(急性扁桃炎)」
(https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=22) - 日本感染症学会・日本臨床微生物学会「急性咽頭・扁桃炎診療の抗菌薬適正使用におけるA群β溶血性連鎖球菌核酸検査の有効活用に向けた提言」
(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/youketuseirensakyukin_0913.pdf)
■ この記事を監修した医師
岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック
大阪大学 医学部 卒
東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。
患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。
- 公開日:2026/03/31
- 更新日:2026/03/31
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