免疫不全めんえきふぜん
免疫不全とは、本来体を守るはずの「免疫」の働きが弱くなり、感染症にかかりやすい・重症化しやすい状態の総称です。生まれつきの「原発性免疫不全」と、病気や薬の影響による「続発性免疫不全」があり、原因に応じた検査・治療と感染予防が重要です。
目次
⚫︎免疫不全とは?
「免疫」が十分に働かない状態の総称です。
細菌やウイルスなどの病原体をうまく排除できず、感染症にかかりやすくなります。
感染が重症化しやすい/なかなか治らない/同じような感染を何度もくり返すことが特徴です。
一般的に
- 生まれつき免疫の仕組みに異常がある「原発性(先天性)免疫不全」
- 他の病気や薬、栄養状態などの影響で後から免疫が低下する「続発性(後天性)免疫不全」
に分けて考えます。原発性は比較的まれですが、続発性は高齢者や持病のある方などでよくみられます。
⚫︎免疫不全の原因
原発性(先天性)免疫不全
免疫を担う細胞(T細胞・B細胞・好中球など)や補体に生まれつきの異常がある病気の総称です。
200種類以上のタイプがあり、乳幼児期から重い感染症をくり返すことが多いです。
続発性(後天性)免疫不全
次のような原因で、もともと正常だった免疫が後から低下します。
- 血液のがん(白血病・悪性リンパ腫など)
- がんや膠原病に対する抗がん剤・ステロイド薬・免疫抑制薬
- HIV感染症(エイズ)など特定のウイルスによる免疫低下
- 糖尿病、腎不全、栄養不良、高齢、臓器移植後 など
一時的な「免疫力低下」との違い、疲労や睡眠不足でも一時的に体調を崩しやすくなりますが、医学的な「免疫不全」は、生活を整えるだけでは改善しない、病気としての免疫機能の低下を指します。
⚫︎免疫不全の症状は?
免疫不全そのものの症状というより、「感染症のなり方」に特徴が出ます。
感染症にかかりやすい/同じ感染を何度もくり返す
- 1年に何度も肺炎・中耳炎・副鼻腔炎をくり返す
- 重い細菌感染(髄膜炎・骨髄炎・敗血症など)を繰り返したことがある
普通より重症化しやすい/長引きやすい
- 通常なら数日で良くなるはずの感染が何週間も続く
- 抗菌薬を飲んでもなかなか治らない
珍しい病原体による感染(日和見感染)
- 口の中や食道のカビ(カンジダ)、肺炎球菌以外の変わった菌による肺炎
- 健康な人にはめったに見られないウイルスや寄生虫の感染
乳幼児・小児でみられやすいサイン
- 繰り返す肺炎や下痢で体重が増えない、発育が遅い
- しつこい口内炎や鵞口瘡(がこうそう:口の中のカビ)などが続く
⚫︎受診の目安
次のような場合は、一度専門医への相談をおすすめします。
- 1年に2回以上、肺炎や重い気管支炎をくり返す
- 1年に4回以上、中耳炎や副鼻腔炎をくり返す
- 通常の抗菌薬治療でも2か月以上なおらない感染症がある
- 珍しい感染症(日和見感染)と言われたことがある
- 乳幼児で、感染症をくり返し、体重がなかなか増えない
まずは一般内科・小児科で相談し、必要に応じて免疫専門医(小児科・膠原病内科・感染症内科など)に紹介されることが多いです。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
診断は「どのタイプの免疫不全か」を見極めることから始まります。
- 感染の経過(いつから・どんな感染を・どのくらい繰り返しているか)
- 家族歴(似た症状の家族がいないか)
- 基礎疾患(がん・膠原病・糖尿病など)や使用薬剤(抗がん剤・ステロイドなど)
を確認し、血液検査で免疫細胞や免疫グロブリン(IgGなど)の量と働きを調べます。必要に応じて、遺伝子検査や骨髄検査が行われることもあります。
治療は、
- 原因となる病気や薬の調整(続発性免疫不全)
- 免疫グロブリン補充療法や造血幹細胞移植(原発性免疫不全)
- 感染症の早期治療・予防(予防的抗菌薬、ワクチンなど)
を組み合わせて行います。
⚫︎免疫不全の診断
問診・診察
- これまでの感染症歴(回数・重症度・入院の有無)
- 既往歴(がん・自己免疫疾患・手術歴など)
- 服薬歴(ステロイド・免疫抑制薬・抗がん剤など)
- 家族に似た症状や原発性免疫不全と診断された人がいるか
などを詳しく聞き取ります。
血液検査
- 白血球数・リンパ球数・好中球数
- 免疫グロブリン(IgG・IgA・IgMなど)の量
- ウイルス(HIVなど)、膠原病のマーカー など
を調べ、どの系統の免疫が弱っているかを推測します。
専門的な検査
- リンパ球サブセット(T細胞・B細胞・NK細胞の割合)
- 好中球や補体の機能検査
- 必要に応じて遺伝子検査や骨髄検査
を行い、原発性か続発性か、どのタイプの免疫不全かを詳しく診断します。
⚫︎免疫不全の治療
A. 原因に対する治療・調整
続発性免疫不全では、
- ステロイド・免疫抑制薬の減量や切り替え
- 抗がん剤の量やスケジュール調整
- 血液のがんや基礎疾患そのものへの治療
などで、可能な範囲で免疫の負担を減らします。
B. 免疫そのものを補う治療
- 免疫グロブリン補充療法
抗体(免疫グロブリン)が不足している場合に、点滴や皮下注射で補う治療です。
重い感染をくり返す原発性・続発性免疫不全の一部で行われます。
造血幹細胞移植・重症の原発性免疫不全では、骨髄移植などで正常な免疫細胞を作れるようにする治療が検討されることがあります。
C. 感染症への対策
感染を早期に見つけ、適切な抗菌薬・抗ウイルス薬などで治療する。
状況により、予防的に抗菌薬・抗真菌薬などを服用する。
一部のワクチンは有効ですが、生ワクチンは控える必要がある場合もあり、必ず主治医と相談します。
⚫︎免疫不全の予後
- 原発性免疫不全
タイプや重症度によって大きく異なります。
早期に診断され、適切な免疫グロブリン補充や感染予防、場合によっては造血幹細胞移植が行われれば、日常生活を送りやすくなるケースも増えています。
- 続発性免疫不全
原因となる病気や薬剤の調整がうまくいくかどうかで変わります。
がんや自己免疫疾患の治療とバランスをとりながら、感染症を繰り返さないよう注意深いフォローが必要です。
いずれの場合も、「感染症を早期に見つけて治療する」「無理をせず体調の変化に気づく」ことが、予後を左右する大切なポイントです。
定期的に出血を起こす治療や周期管理が予後の面でも大切です。
⚫︎免疫不全の予防
- 続発性免疫不全を防ぐ/悪化させないために持病(糖尿病・腎臓病など)をきちんと治療する
- 主治医の指示通りに薬を使い、自己判断で増減しない
- 栄養・睡眠・ストレスケアなど、基本的な体調管理を整える
- 手洗い・うがい・アルコール手指衛生
- 人混みでのマスク着用(流行期など)
⚫︎免疫不全に関連する病気や合併症
- 原発性免疫不全症候群
生まれつきの免疫の異常による病気の総称で、多くのタイプがあります。 - 後天性免疫不全症候群(AIDS)
HIV感染によって免疫が低下し、さまざまな感染症や悪性腫瘍を合併しやすくなる病気です。 - 悪性リンパ腫・白血病などの血液がん
病気そのものと、治療(抗がん剤・ステロイド)によって免疫不全をきたしやすくなります。 - 慢性肺疾患・気管支拡張症
繰り返す肺炎の結果、気管支が広がって痰がたまりやすくなり、さらに感染症をくり返す悪循環に陥ることがあります。
⚫︎受診の目安(まとめ)
免疫不全は、「感染に弱くなる状態」の総称で、生まれつきの場合と後から起こる場合があります。
感染症をくり返す・重くなりやすい・なかなか治らないときには、免疫の異常が隠れていることがあります。
原因やタイプに応じて、免疫を補う治療や感染予防を組み合わせることが大切です。
「おかしいな」と思う感染のしかたが続くときは、早めに医療機関で相談しましょう。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
- 難病情報センター「原発性免疫不全症候群(指定難病65)」(https://www.nanbyou.or.jp/entry/254)
- 熊本大学病院「原発性免疫不全症候群 疾患概説書」(https://kumamoto.hosp.go.jp/files/000209242.pdf)
■ この記事を監修した医師
赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック
近畿大学 医学部 卒
近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。
「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。
医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。
医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。
- 公開日:2026/03/09
- 更新日:2026/03/09
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