外耳奇形がいじきけい

外耳奇形は、生まれつき耳の形や大きさ、耳の穴(外耳道)のつくられ方に異常がある状態です。見た目の差だけでなく、聞こえにくさ(難聴)を伴うことも多く、成長や言葉の発達への影響を考えて、早期からの聴力評価と補聴・手術などの検討が大切です。

⚫︎外耳奇形とは?

外耳奇形は、生まれつき耳の外側(耳介:いわゆる耳たぶの部分)や耳の穴(外耳道:がいじどう)の形・大きさに異常がある状態の総称です。

  • 耳が少し小さい、形が崩れている程度の軽いもの
  • 耳介がかなり小さい「小耳症(しょうじしょう)」
  • 耳介がほとんどない「無耳症(むじしょう)」

など、幅広いタイプが含まれます。

片側だけのこともあれば、両側性のこともあります。見た目の問題だけでなく、外耳道や中耳(鼓膜の奥の音を伝える部分)の構造が一緒に異常を起こしていることが多く、伝音難聴(音が耳の奥までうまく伝わらないタイプの難聴)を伴うこともよくあります。

 

⚫︎外耳奇形の原因

原因としては次のようなものが推定されています。

  • 多くは原因不明(偶然の発生)
  • 体質や遺伝的な要因
  • 胎児期の血流や組織形成の一時的なトラブル
  • 一部では、他の先天性疾患(顎や顔の骨の形成異常、心臓の病気など)を伴う症候群の一部としてみられることもあります

ただし、ほとんどの場合は「親の育て方」や「妊娠中のちょっとした生活習慣」が直接の原因になるわけではなく、「たまたま発生の過程で起こった事情」と考えられます。

⚫︎外耳奇形の症状は?

症状は、見た目の変化と聞こえの問題に大きく分けられます。

見た目に関する症状

  • 耳が小さい、変形している
  • 耳の上部が折れたように見える、耳の位置が低い

聴力に関する症状

  • 片側または両側の聞こえが悪い
  • 音のする方向が分かりにくい
  • 周囲の声かけに反応しづらい、言葉の発達が遅い など

外耳奇形があっても、内耳(音を感じ取る部分)が保たれていることも多く、その場合は骨伝導補聴器(頭の骨を通して音を伝える補聴器)などで聞こえを補うことが期待できます。

⚫︎受診の目安

次のような場合には、早めに耳鼻咽喉科(特に小児耳鼻科)や小児科での相談をおすすめします。

  • 出生時から耳の形や大きさに明らかな左右差がある
  • 耳の穴が見えない、反対側に比べて極端に細い
  • 乳児期の聴力スクリーニングで「要再検」や「要精査」と言われた
  • 声かけへの反応が弱い、音に振り向かないなど、聞こえに不安がある
  • 保護者や本人が見た目のことで強い不安・悩みを抱えている

受診のタイミングとしては、
聴力や言葉の発達のためには「できるだけ早期」、耳の再建手術は、身長や肋軟骨の成長、本人の希望を見ながら「学童期以降」に検討することが多い
といった目安があります。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

外耳奇形では、

  • 耳の形(見た目)
  • 実際の聞こえの程度
  • 中耳・内耳の構造

などを総合的に評価し、長期的な見通しを立てることが大切です。

診断の段階では、視診と聴力検査、必要に応じてCTなどの画像検査を行い、耳の構造や難聴の程度を確認します。

治療は、

  • 聴力の確保(補聴器・骨導補聴器・手術など)
  • 耳の形の再建(肋軟骨を用いた耳介形成、人工耳介など)
  • 心理的サポート、学校生活での配慮

を組み合わせて検討します。

成長段階や本人の希望、他の病気の有無などによってベストな選択肢は変わるため、耳鼻咽喉科・形成外科・小児科などが連携し、長期的にフォローしていくことが多いです。

●外耳奇形の診断

1)問診・診察

  • 出生時からの耳の形の変化
  • 家族に似た症状を持つ方がいるかどうか
  • 新生児聴覚スクリーニングの結果

2)聴力検査

  • 新生児〜乳児では、睡眠中に音への反応をみる他覚的聴力検査
  • 幼児以降では、イヤホンを用いた聴力検査や、骨導(こつどう:頭の骨を振動させて内耳の反応を見る検査)による評価
    外耳・中耳の障害による「伝音難聴」か、内耳の障害を伴う「感音難聴」か、その混合かを見極めます。

3)画像検査

  • CT(コンピュータ断層撮影)で、中耳・内耳、顎関節、顔面骨などの構造を評価し、手術の可否や方法を検討します。

4)全身の評価

  • 必要に応じて、小児科・循環器科・整形外科などと連携し、心臓や腎臓、骨格など他の臓器の先天異常の有無を確認することがあります。

●外耳奇形の治療

A. 初期対応(まずやること/基本方針)

  • 生後早期〜乳児期には、まず「聞こえの評価」と「言葉の発達への影響を最低限にすること」が最優先になります。
  • 片側のみの軽い外耳奇形の場合、日常生活で大きな支障がないこともありますが、学校生活や安全面(車や自転車の音が聞こえにくいなど)を考え、左右の聞こえのバランスを意識した対応が必要です。

B. 聴力に対する治療

  • 骨導補聴器・骨固定型補聴器
     耳の後ろの骨に振動を伝え、内耳に直接音を届けるタイプの補聴器です。外耳道が閉鎖している場合でも、内耳が機能していれば聞こえの改善が期待できます。
  • 外耳道形成術・鼓室形成術
     適応があれば、耳の穴を新たに作る手術や、中耳の構造を整える手術を検討します。ただし、手術の難易度や再狭窄のリスクがあり、CT所見や年齢、本人の希望を慎重に考慮して決めます。

C. 耳介の形成(見た目の改善)

  • 肋軟骨(ろくなんこつ:胸のあばら骨の一部)を採取して、耳の形を作る「耳介形成術」
  • シリコンなどの人工材料を使う人工耳介
    などの方法があります。
    一般的には、胸の軟骨が十分に育った学童期以降に検討されることが多く、段階的に複数回の手術を行うこともあります。

⚫︎外耳奇形の予後

適切な時期に聴力を補い、言葉の発達をサポートし、必要に応じて耳介形成や心理的支援を受けることで、学校生活・社会生活を問題なく送っている方も多くいます。

予後は、

  • 難聴の程度と内耳の機能
  • 両側か片側か
  • 他の合併症の有無
  • 本人と家族がどのようなゴール(聞こえ・見た目・手術の有無)を希望するか

によって大きく変わるため、長期的なフォローアップが重要です。

⚫︎外耳奇形の予防

外耳奇形は、胎児期の早い段階の発生過程で起こるため、はっきりとした予防法は確立されていません。

一般的な妊娠中の注意として、

  • 過度な飲酒や喫煙を避ける
  • 医師の指示なく薬を自己判断で飲まない
  • バランスのよい食事と葉酸などの適切な栄養摂取
  • 感染症予防(風しんなど)

といったことが勧められますが、これらを守っていても外耳奇形が起こることはあり、「親のせい」ではありません。

予防よりも、「生まれてきたお子さんの耳の状態を受け止め、必要な医療・福祉的支援につなげていくこと」が大切です。

⚫︎外耳奇形に関連する病気や合併症

外耳奇形は、単独で起こることもあれば、他の病気と組み合わさって見つかることもあります。

  • 外耳道狭窄・閉鎖症
     外耳道が細い、または完全にふさがっている状態で、伝音難聴を引き起こします。
  • 中耳奇形
     耳小骨(じしょうこつ:音を伝える小さな骨)の形成異常などがあり、難聴の原因となります。
  • 難聴に伴う言語発達遅滞
     聞こえにくさが十分に補われないと、言葉の獲得や発音に影響が出ることがあります。

⚫︎まとめ

外耳奇形は、生まれつき耳の形や耳の穴のつくられ方に異常がある状態です。

見た目だけでなく、聞こえや言葉の発達に影響することもあるため、早期の評価と支援が大切です。

補聴器や手術、心理的サポートなどを組み合わせることで、多くの方が学校や社会生活を問題なく送っています。

気になることがあれば、一人で悩まず、耳鼻咽喉科や小児科に相談してみましょう。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック

大阪大学 医学部 卒

東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。

患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。

  • 公開日:2026/03/31
  • 更新日:2026/03/31

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