急性リンパ性白血病(ALL)きゅうせいりんぱはっけつびょう

ALLはリンパ系の未熟な白血球が急増する血液のがん。 発熱・倦怠感・貧血・出血や感染を来し、早期診断と化学療法が基本。

⚫︎急性リンパ性白血病(ALL)とは?

ALLは、骨髄(こつずい:血液をつくる工場)で「リンパ球」という白血球の仲間が未熟なまま異常に増え続ける病気です。正常な血液をつくるスペースが奪われるため、赤血球・血小板・成熟した白血球が不足し、貧血・出血しやすさ・感染にかかりやすさが起こります。

「急性」という言葉のとおり、数週間〜数か月のうちに症状が速く進行します。発症年齢は小児に多いものの、成人にも起こり得る病気です。適切な治療を早期に開始することで、
寛解(目に見えるがんの勢いがなくなる状態)を目指します。

⚫︎急性リンパ性白血病(ALL)の原因

多くの場合、はっきりした原因は特定できません。体内のリンパ球の設計図(遺伝子)に偶然の変化が生じ、がん化して増え続けると考えられています。

いくつか知られている関連要因はありますが、「これをしたから必ずALLになる」というものはありません。

  • 遺伝子の異常(染色体の組み換えや欠失など)
  • 強い放射線への曝露、特定の化学物質への長期曝露 ※一般的な日常生活レベルとは別の話です
  • まれに、他の病気の治療(化学療法・放射線治療)後に続発することもあります
  • 親の生活習慣や食事が直接の原因になるわけではありません。ご自身を責める必要はありません。

⚫︎急性リンパ性白血病(ALL)の症状は?

ALLでは「正常な血液細胞が足りないこと」と「白血病細胞が増えること」の両方が症状を生みます。以下は代表例です。

正常な血液が不足することで起こる症状

  • 貧血:息切れ、動悸、顔色が悪い、めまい、疲れやすい
  • 血小板減少:鼻血・歯ぐきからの出血、あざができやすい、月経が重くなる
  • 好中球(白血球の一種)減少:発熱、のどの痛み、咳、繰り返す感染症

白血病細胞が増えることで起こる症状

  • 発熱(感染がなくても出ることがあります)
  • リンパ節の腫れ(首・わき・足の付け根などのしこり)
  • 肝臓・脾臓が腫れる:お腹の張り、違和感
  • 骨や関節の痛み(特に小児で目立ちます)
  • まれに中枢神経(脳・脊髄)への広がりによる頭痛、吐き気、しびれ など

⚫︎受診の目安(まとめ)

急性リンパ性白血病(ALL)は進行が早いため、気になる症状がある場合は早めの受診がとても重要です。

  • 発熱や強い倦怠感、息切れが続く
  • 原因不明のあざ、鼻血、歯ぐきからの出血、月経過多がみられる
  • 健康診断などで血球減少を指摘された

こうした症状があるときは、早めに内科・血液内科を受診し、血液検査や必要に応じて骨髄検査を受けましょう。早期診断と適切な治療計画が、寛解の達成と再発予防につながります。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

  • 診断:血液検査で異常を見つけ、骨髄検査で確定します。細胞の性質や遺伝子の変化まで詳しく調べ、タイプ分け(リスク分類)を行います。これが治療法選択や予後の見通しに欠かせません。
  • 治療:基本は多剤併用化学療法です。寛解導入→地固め→維持療法という段階分けで行います。状況により分子標的薬(例:フィラデルフィア染色体陽性に対する薬)、中枢神経予防、造血幹細胞移植などを組み合わせます。
  • サポーティブケア:感染症対策、輸血、吐き気・痛み・栄養のサポートなど、
    つらさを減らしながら安全に治療を継続するための支援を徹底します。

以下で詳しく説明します。

●急性リンパ性白血病(ALL)の診断

1.問診・診察

  • 発熱・出血・だるさ・リンパ節の腫れなどを丁寧に確認。肝臓・脾臓の大きさも評価します

2.血液検査

  • 球数(赤血球・白血球・血小板)と血液塗抹(顕微鏡で形を見る)、炎症や臓器機能のチェックを行います。未熟な白血球が血液中に増えている(芽球の出現)とALLを疑います。

3.骨髄検査(骨髄穿刺・骨髄生検)

  • 局所麻酔で骨盤の骨から骨髄液を採取。白血病細胞の有無、割合、形の特徴を調べ、フローサイトメトリー(細胞の表面マーカー解析)でT系・B系などのタイプを判定します。

4.遺伝子・染色体検査

  • 予後や薬の効き方に直結するため非常に重要です。代表例として**フィラデルフィア染色体(BCR-ABL1)**の有無などを確認します

5.画像検査・髄液検査

  • 胸部X線や腹部エコーで臓器の腫れを確認。必要に応じて腰椎穿刺で髄液中の白血病細胞の有無を調べ、中枢神経浸潤の評価と治療計画に役立てます。

ポイント

  • 診断は「ALLかどうか」を決めるだけでなく、どのタイプのALLか、どの薬が有効そうか、移植の適応はどうかまで見通すためのプロセスです。

●急性リンパ性白血病(ALL)の治療

ALL治療は多段階です。施設によってレジメン(薬の組み合わせ・投与計画)は異なりますが、考え方は共通です。

A)寛解導入療法

目標は白血病細胞を急速に減らし、正常造血を回復させること。複数の抗がん薬を組み合わせて数週間かけて行います。副作用として、感染・出血・口内炎・吐き気・脱毛などが起こることがありますが、サポーティブケアで安全に乗り切れるよう支援します。

B)地固め療法(強化療法)

寛解が得られた後、目に見えないわずかな白血病細胞(微小残存病変:MRD)をさらに叩いて、再発リスクを下げます。寛解導入より強い治療になることが多く、入院期間が必要になることもあります。

C)維持療法

再発を防ぐための長期治療です。外来で内服中心に行うケースが多く、小児では2〜3年程度、成人でも長期間続けることがあります。仕事や学校と両立できるよう、生活の工夫と副作用対策を相談しながら進めます。

D)分子標的薬の併用

特定の遺伝子異常(例:BCR-ABL1陽性)が見つかった場合、分子標的薬を化学療法と組み合わせます。「がんの弱点」を狙い撃ちする薬で、治療成績の向上に寄与します。

E)中枢神経系(CNS)予防

ALLは脳や脊髄にも広がりやすい特徴があるため、腰椎穿刺による髄腔内投与や全身治療でCNS再発を予防します。症状がなくても実施される大切な工程です。

⚫︎急性リンパ性白血病(ALL)の予後

  • 年齢・病型・遺伝子異常・治療への反応(MRDの陰性化の早さ)などで将来の見通しは変わります。小児ALLでは治療成績が向上しており、成人でも分子標的薬や移植の適切な活用により改善が続いています。
  • 大切なのは、標準治療を継続しながら、感染予防や生活面の支えを受けて再発リスクを下げること。再発した場合でも、治療法の組み替え・新規薬剤・移植など次の選択肢があります。最新の治療選択については主治医と相談してください。

⚫︎急性リンパ性白血病(ALL)の予防

ALLは生活習慣病とは異なり、確実な予防法はありません。
とはいえ、治療中・治療後の再感染予防や体力維持は、合併症の減少や治療継続に役立ちます。

  • 手洗い・うがい・マスクなどの基本的な感染対策
  • 予防接種(主治医と相談のうえ、治療時期やワクチンの種類を調整)
  • 十分な睡眠・栄養・適度な運動
  • 口腔ケア(口内炎・歯周病の予防)
  • 人混みを避ける、発熱時は早めの連絡 など

⚫︎急性リンパ性白血病(ALL)に関連する病気や合併症

合併症(病気そのもの/治療に伴うもの)

  • 感染症:白血球が減るため、細菌・ウイルス・真菌にかかりやすく、重症化しやすいことがあります。
  • 出血:血小板減少により鼻血・歯ぐき出血・皮下出血、重症では消化管や脳出血など。
  • 貧血:だるさ・息切れ・めまいなど生活の質に影響。
  • 腫瘍崩壊症候群:治療でがん細胞が一気に壊れると、電解質バランスが乱れ、腎臓に負担がかかります。点滴や薬で予防・管理します。
  • 中枢神経浸潤:頭痛、吐き気、神経症状。CNS予防が重要です。
  • 薬剤関連の副作用:吐き気、口内炎、脱毛、末梢神経障害、心機能・肝腎機能への影響など。個々にモニタリングして早期対応します。

鑑別が必要な病気

  • 急性骨髄性白血病(AML):同じ急性白血病でも細胞の種類が異なります。
  • 感染症や自己免疫疾患:発熱やリンパ節腫脹など、似た症状を示すことがあります。
  • 再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病(ITP) など血液の病気全般

⚫︎まとめ

急性リンパ性白血病(ALL)は、リンパ球のもとになる細胞が急激に異常増殖し、正常な血液がつくれなくなる白血病です。発熱・倦怠感・貧血・出血しやすさ・感染症の頻発などの症状が短期間で進むことがあります。治療は多剤併用の化学療法が中心で、状態に応じて造血幹細胞移植を検討することもあります。
早期に適切な治療を始めることで、重い合併症を防ぎながら回復を目指すことができます。「熱が続く」「あざが増えた」「すぐ疲れる」など気になる症状が続くときは、早めに内科・血液内科で検査を受けることが大切です。不安なときは一人で抱え込まず、主治医と相談しながら治療方針を一緒に考えていきましょう。

 

 

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/02/24
  • 更新日:2026/02/24

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