急性骨髄性白血病(AML)きゅうせいこつずいせいはっけつびょう

急性白血病は未熟な白血球が急増し、貧血・感染・出血を 招く疾患。進行が速く早期診断と化学療法、必要に応じ移植が重要。

⚫︎急性骨髄性白血病(AML)とは?

急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄で未熟な白血球(芽球)が異常増殖し、正常な血球(赤血球・白血球・血小板)の産生が急速に抑えられる病気です。

進行は「急性」という言葉の通り速く、貧血(息切れ・だるさ)、感染の繰り返し
(発熱)、出血(あざ・鼻血・歯ぐき出血)などが短期間で目立つようになります。
白血病は「血液のがん」の一種ですが、適切な時期に標準治療を開始し合併症を丁寧に管理することで寛解(病気の勢いを抑え込む状態)をめざせます。

 

⚫︎急性骨髄性白血病(AML)の原因

はっきりした単一の原因が特定できないことが多いものの、次の要因が関わります。

  • 遺伝子・染色体の変化:白血病細胞にはしばしばFLT3、NPM1、CEBPAなどの遺伝子変化、染色体の転座や欠失が見つかります。これらは治療方針や再発リスク
    (リスク層別化)の判断材料になります。
  • 前段階の病気:骨髄異形成症候群(MDS)や骨髄増殖性腫瘍(MPN)から
    二次性AMLとして移行することがあります。
  • 治療関連(t-AML):過去のがん治療(化学療法・放射線)を経て数年後に
    発症することがあります。年齢・生活歴:加齢とともに発症率が上がり、まれにベンゼンなどの化学物質曝露が関与することがあります。
    ※家族に白血病がいるから必ず発症する、という性質ではありません
  • まれに二次性(後天性)に食細胞機能が落ちることもありますが、臨床的には
    先天性免疫不全症の一群として扱われることが一般的です。

 

⚫︎急性骨髄性白血病(AML)の症状は?

正常血球が作れなくなることによる症状が中心です。

  • 貧血:だるさ、動悸、息切れ、顔色不良、めまい
  • 感染しやすい:発熱、のどの痛み、せき、尿路感染など(好中球減少)
  • 出血傾向:あざが増える、鼻血・歯ぐき出血、月経過多、点状出血(血小板減少)
  • 骨痛・関節痛、脾臓や肝臓の腫れがみられることも
  • 急性前骨髄球性白血病(APL)では、発症初期から出血・血栓の合併が目立つことがあり、特に緊急対応が必要です。

 

⚫︎受診の目安

  • 発熱・強い倦怠感・息切れが続く
  • 原因不明のあざ・鼻血・歯ぐき出血、月経過多
  • 検診で血球減少を指摘された

→ こうした場合は、内科・血液内科で血液検査と必要に応じ骨髄検査を
受けましょう。早期診断と適切な治療計画が、寛解と再発予防の鍵になります。

 

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は血液検査と骨髄検査が基本です。確定後は遺伝子・染色体検査で病型を詳しく分類し、治療強度や移植の適応を決めます。治療は大きく

1)寛解導入療法(まず白血病を叩く)

2)地固め療法/寛解後療法(残った細胞をさらに減らす)

3)再発予防・同種造血幹細胞移植の検討

で構成されます。高齢者や合併症のある方では、強度を調整した低強度療法や分子標的薬を中心に組み立てます。治療中は発熱・出血・栄養・感染予防などの支持療法が重要です。

 

●急性骨髄性白血病(AML)の診断

1)血液・骨髄検査:血液中や骨髄中の芽球の割合、血球減少の程度を確認します。骨髄標本で骨髄系(顆粒球系・単球系・赤芽球系)かどうかを染色やフローサイトメ
トリーで解析します。

2)遺伝子・染色体検査:核型解析、FLT3/NPM1/CEBPA などの分子異常を調べ
リスク分類(予後予測)や分子標的薬の適応を決めます。

3)画像・合併症評価:胸部画像、心機能、腎肝機能、感染の有無をチェックし
治療強度と支持療法の計画を立てます。

4)APLの除外/確認:APLが疑われるときは、PML-RARAの迅速検査を行い
全トランス型レチノイン酸(ATRA)などをただちに開始します(出血合併のリスクが高いため)

 

●急性骨髄性白血病(AML)の治療

A.寛解導入療法(はじめの一撃)

  • 従来の標準療法:アントラサイクリン系+シタラビン(いわゆる“7+3”など)
    多くの方で寛解が期待できます
  • 分子標的薬の併用:FLT3変異:ミダスタウリン、再発時はギルテリチニブなど。IDH1/2変異:IDH阻害薬を併用/再発時に使用することがあります
  • ATRA/ATO(APL):APLはATRA(ビタミンA誘導体)+亜ヒ酸が主軸で、他のAMLと別の治療戦略になります。

B.地固め療法/寛解後療法(再発を減らす)

  • 高用量シタラビンなどの化学療法を数コース行い、微小残存病変(MRD)を可能な範囲で陰性化へ。
  • 同種造血幹細胞移植(同種移植):
    リスク分類や年齢・合併症、ドナーの有無を踏まえて検討します。再発リスクが高い方では寛解期に移植を選ぶことがあります。

C.高齢者・合併症がある方の選択肢

  • 低強度療法:アザシチジン、デシタビンなどの低用量化学療法。
  • BCL-2阻害薬併用:ベネトクラクス+低強度療法は高齢者・非適応例で重要な選択肢となっています。
  • 外来中心の投与計画や在宅支援を組み合わせ、生活の質を保ちながら治療を続けます。

D.支持療法(合併症を防ぐ

  • 発熱時の迅速対応(広域抗菌薬の早期投与)、抗真菌薬・抗ウイルス薬の予防投与
  • 輸血(赤血球・血小板)、腫瘍崩壊症候群の予防、口腔ケア・皮膚ケア・栄養管理・運動リハ
  • 心理・社会的サポート:復職・学業支援、療養中の相談体制も重要です。

⚫︎急性骨髄性白血病(AML)の予後

予後は年齢、遺伝子・染色体異常、初回治療への反応、合併症で大きく変わります

  • 寛解率は若年者で高く、再発リスクの高い群では移植の検討が重要です。
  • 高齢者は合併症や化学療法耐容性の問題から治療強度を調整しますが、近年は低強度療法+分子標的薬の組み合わせで生存率と生活の質の向上が期待されています
  • MRD評価の活用により、再発の早期察知と治療強度の最適化が進んでいます。

⚫︎急性骨髄性白血病(AML)の予防

AMLを確実に予防する方法はありませんが、再発や合併症を減らすためにできることがあります。

  • 感染対策:手洗い・うがい・口腔ケア、必要に応じたワクチン(不活化)
  • 生活習慣:禁煙、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動(主治医の許可範囲で)
  • 治療計画の順守:外来受診・定期検査・処方薬の内服を守り、発熱や出血は早めに連絡
  • 職場・学校との連携:治療スケジュールと免疫低下時期の共有、無理のない復帰計画づくり

⚫︎急性骨髄性白血病(AML)に関連する病気や合併症

  • 骨髄異形成症候群(MDS)・骨髄増殖性腫瘍(MPN):AMLの前段階や移行元
  • 急性前骨髄球性白血病(APL):出血・血栓合併が多く、ATRA/亜ヒ酸中心の
    別治療
  • 感染症(細菌・真菌・ウイルス):好中球減少期の主要合併症
  • 出血・血栓症、心毒性(アントラサイクリン関連)、腫瘍崩壊症候群
  • 移植関連合併症:移植片対宿主病(GVHD)、感染、臓器障害
  • 二次がん:長期的なフォローでチェックします。

⚫︎まとめ

急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄で血液をつくる細胞が急激に異常増殖し、正常な血液がつくれなくなる病気です。貧血によるだるさや息切れ、出血しやすさ、感染症の繰り返しなどが急速に進むことがあります。治療は化学療法を中心に行い、必要に応じて造血幹細胞移植を検討します。
早期に診断し適切な治療を開始することで、合併症を防ぎながら回復を目指すことができます。「疲れやすい」「熱が続く」「あざが増えた」など気になる症状があるときは、早めに内科・血液内科を受診することが大切です。不安なときは一人で抱え込まず、主治医と相談しながら治療方針を一緒に決めていきましょう。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/02/24
  • 更新日:2026/02/24

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