レンメル症候群れんめるしょうこうぐん

レンメル症候群(レンメル症)は、頸部リンパ節の腫れや発熱、筋肉痛、関節痛、咽頭痛などを特徴とする症候群で、しばしばEBウイルス感染などに続発します。自己免疫性の反応が関与すると考えられていますが、はっきりとした原因は不明で、基本的には自然軽快する予後良好な疾患です。

レンメル症候群とは?

レンメル症候群(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema)は、主に若年から中年の成人に発症する原因不明の症候群で、発熱、頸部リンパ節腫脹、筋肉痛、関節痛などの全身症状を主とします。名前としては古典的な「レンメル症候群」と、関節リウマチとの関連が議論される「RS3PE症候群(高齢者に多い)」が混同されることがありますが、ここでは感染症後に発症するレンメル症候群として解説します。

この疾患は、自己免疫反応やウイルス感染後の免疫異常によって引き起こされるとされ、特にEBウイルスやサイトメガロウイルスなどの感染が引き金になるケースが知られています。症状は急性に発症するものの、時間の経過とともに自然に改善することが多く、重篤な合併症を起こすことはまれです。

原因

レンメル症候群の正確な原因は明らかになっていませんが、以下のような要因が発症に関与していると考えられています。

ウイルス感染

  • EBウイルス(Epstein-Barr Virus)
  • サイトメガロウイルス(CMV)
  • ヒトヘルペスウイルス(HHV)など

ウイルス感染後の免疫応答が過剰になった結果、リンパ節や関節、筋肉に炎症が波及し、発熱や痛みなどの症状を引き起こすとされています。特にEBウイルスとの関連が強く、感染後数週間以内に症状が出現することが多いです。

自己免疫反応

感染をきっかけに自己免疫の異常が誘導され、自己の細胞を攻撃する免疫反応が症状の持続に関係すると考えられています。ただし、特定の自己抗体が認められるわけではなく、「セロネガティブ(抗体陰性)」であることが特徴です。

遺伝的素因

体質的に免疫反応が過敏な人では、ウイルス感染後に過剰な炎症反応が起きやすく、レンメル症候群を発症しやすい可能性があります。

症状

レンメル症候群の症状は急性に発症し、全身症状を伴うことが多いです。以下が代表的な症状です。

  • 発熱:38℃以上の持続する発熱
  • 頸部リンパ節腫脹:特に側頸部にみられ、圧痛を伴うこともある
  • 筋肉痛・関節痛:全身性の痛みを感じることが多い
  • 咽頭痛:ウイルス感染に起因している場合にしばしばみられる
  • 倦怠感:全身の強いだるさ
  • 皮疹:まれにウイルス感染による発疹が見られる
  • 肝腫大・脾腫:軽度の腫大が認められることがある
  • 肝機能障害:一時的にAST、ALTの上昇が見られる
  • 食欲不振、体重減少:長引く場合にみられることもある

症状は数日から数週間持続し、治療を行わなくても自然に軽快することが多いのが特徴です。ただし、まれに慢性化したり、他の自己免疫疾患の前駆症状であることもあり、経過観察が重要です。

診断方法と治療方法

診断

レンメル症候群の診断には、特徴的な症状と経過、他の病気を除外することが必要です。以下のような検査が行われます。

  • 問診と身体診察:発熱の期間、リンパ節腫脹の部位、痛みの性状など
  • 血液検査:白血球数、CRP、肝機能(AST、ALT、LDH)などの炎症マーカー
  • ウイルス抗体検査:EBウイルス、CMV、HHVなどの感染歴の確認
  • 自己抗体検査:ANA(抗核抗体)、RF(リウマトイド因子)などの除外診断
  • 画像検査:超音波やCTでリンパ節腫脹、肝腫大、脾腫を確認

診断は主に除外診断によって行われ、他の感染症、悪性疾患、自己免疫疾患(SLEや成人スティル病など)を否定した上で、レンメル症候群とされます。

治療

  • 基本的に対症療法(安静、水分補給、解熱鎮痛薬など)
  • 重症例では一時的にステロイドを使用することもあるが、ほとんどの場合不要
  • 肝機能障害がある場合は肝保護剤を使用

自然経過で軽快する例が多く、特別な治療が不要なことが多いです。

予後

レンメル症候群は基本的に予後良好な疾患であり、ほとんどの症例で治療を行わなくても自然に回復します。発熱や痛みなどの症状は1〜2週間で軽快し、後遺症を残すことはまれです。

ただし、発熱やリンパ節腫脹が長引く場合や、肝機能障害が持続する場合には、他の疾患(成人スティル病、悪性リンパ腫、自己免疫性肝炎など)の可能性を再評価する必要があります。

また、再発することは少ないものの、免疫機能が低下している状態やウイルス感染を繰り返した場合に、類似症状が再燃することも報告されています。

患者の不安を軽減するためにも、明確な診断と経過観察、必要に応じた血液検査や画像検査の継続が望まれます。

予防

レンメル症候群そのものの明確な予防法は確立されていませんが、ウイルス感染後に発症することが多いため、一般的な感染症予防策が間接的に発症リスクを下げると考えられます。

  • 手洗い・うがいの徹底(EBウイルスやCMVなどは唾液・接触で感染)
  • 疲労やストレスをためない(免疫機能を保つ)
  • バランスの取れた食事と十分な睡眠
  • 必要に応じたマスク着用や人混みの回避
  • 持病がある場合は定期的な医療チェック

また、過去にレンメル症候群を発症したことがある人は、再感染や再発の可能性に備えて、体調変化に敏感になっておくことが大切です。

ウイルス感染の予防が、結果的に本症の発症を抑える重要な手段といえます。

関連する病気や合併症

レンメル症候群は単独で完結することが多い一方、以下のような疾患と症状が類似しており、鑑別や経過観察が必要です。

鑑別すべき疾患

  • 感染性単核球症(EBウイルス、CMV感染)
  • 成人スティル病(高熱、関節痛、肝機能障害を伴う)
  • SLE(全身性エリテマトーデス):自己免疫疾患
  • リンパ腫や白血病などの悪性疾患
  • 伝染性膿痂疹やトキソプラズマ感染症などの全身感染症

合併症として起こり得るもの

  • 一時的な肝障害や肝腫大
  • 脾腫による破裂リスク(まれ)
  • 慢性疲労症候群への移行(報告例あり)

症状が軽快した後も、定期的な血液検査や超音波検査などで、関連疾患の早期発見に努めることが推奨されます。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

日本感染症学会「ウイルス感染後症候群と鑑別すべき疾患」(https://www.kansensho.or.jp/)

国立国際医療研究センター「感染性単核球症とその周辺疾患」(https://www.ncgm.go.jp/)

厚生労働省e-ヘルスネット「自己免疫疾患」(https://kennet.mhlw.go.jp/home)

難病情報センター「成人スティル病」(https://www.nanbyou.or.jp/)

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2025/07/16
  • 更新日:2025/07/16

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