新型コロナウイルス感染症しんがたころなういるすかんせんしょう

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ウイルス性の急性感染症で、軽症から重症まで多様な経過をたどります。ワクチン接種と日常的な感染対策が予防と重症化防止の鍵を握ります。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、コロナウイルスの一種であるSARS-CoV-2に感染することで発症する呼吸器感染症です。2019年末に中国で初めて確認され、以降、世界中に感染が拡大し、パンデミックを引き起こしました。

このウイルスは主に飛沫感染や接触感染により広がり、症状は軽い風邪程度から重症肺炎まで幅広く、多くの人が無症状や軽症で回復しますが、一部の患者では重篤な呼吸不全、多臓器不全に至ることもあります。

特に高齢者や糖尿病・高血圧・心疾患・呼吸器疾患といった基礎疾患を有する人では重症化しやすく、注意が必要です。変異株の登場により感染力や重症度が変化する場合があり、流行の状況や予防策も年々変化しています。感染者の多くは1週間程度で回復しますが、後遺症が長引く例も報告されています。

原因

原因は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)というRNAウイルスで、コロナウイルス属に分類されます。このウイルスは人の喉や肺の細胞に存在するACE2受容体に結合し、細胞内に侵入して増殖します。

感染経路は飛沫感染と接触感染が中心で、感染者の咳やくしゃみによる飛沫や、ウイルスの付着した物品に触れた手を介して感染が広がります。換気の悪い密閉空間や近距離での会話が感染リスクを高める要因です。

また、デルタ株やオミクロン株などの変異株は従来株よりも感染力が強く、ワクチンを接種していても感染する「ブレイクスルー感染」が確認されています。これにより、集団内での広がりが加速しやすくなっています。

症状

新型コロナウイルス感染症の症状は多岐にわたり、感染しても無症状の人から重篤な肺炎や呼吸困難を呈する人まで幅があります。初期症状としては発熱、倦怠感、咳、喉の痛みが典型的であり、風邪やインフルエンザに似ています。

一部では頭痛、筋肉痛、下痢、吐き気、関節痛、嗅覚・味覚異常などの症状も見られます。特に嗅覚や味覚の変化は新型コロナに特徴的で、他の呼吸器感染症ではあまり見られない症状です。これらはウイルスが神経細胞に影響を与えるためと考えられています。

重症化すると呼吸困難、低酸素血症、肺炎、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)などに至り、集中治療を要することもあります。特に高齢者や基礎疾患がある方は重症化のリスクが高く、初期症状が軽くても急速に悪化することがあるため注意が必要です。

また、回復後も長期間にわたり倦怠感、息切れ、集中力低下、記憶障害などの「後遺症」が残るケースがあり、これを「Long COVID(ロングコロナ)」と呼びます。

診断方法と治療方法

診断

診断にはPCR検査、抗原検査、抗体検査などが用いられます。PCR検査はウイルスの遺伝子を増幅して検出する方法で、精度が高く、鼻咽頭ぬぐい液や唾液を用いて行います。抗原検査はウイルスのたんぱく質を検出し、短時間で結果が得られるため、簡易検査やスクリーニングに適しています。

治療

治療法は症状の重症度によって異なります。軽症の場合は自宅療養が基本で、解熱剤や鎮咳薬などの対症療法が中心となります。重症化リスクがある場合は、抗ウイルス薬(例:レムデシビル)や経口治療薬(例:モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビル)の使用が検討されます。

また、酸素投与、ステロイド(デキサメタゾン)などが中等症~重症例では必要になることがあります。集中治療室(ICU)での管理や人工呼吸管理が必要になることもあり、重症化を防ぐための早期対応が重要です。

濃厚接触者の追跡や検査、隔離対応も感染拡大防止の観点から欠かせません。ワクチン接種状況や基礎疾患の有無によって治療選択肢は変化するため、医師の判断に基づいた適切な対応が求められます。

予後

新型コロナウイルス感染症の予後は、感染者の年齢や健康状態によって大きく異なります。若年層では多くが軽症または無症状で回復しますが、高齢者や基礎疾患のある人では入院や集中治療が必要になるケースがあり、死亡リスクも高くなります。

近年ではオミクロン株が主流となり、重症化率はやや低下傾向にありますが、感染者数の増加に伴い医療体制が逼迫するリスクは依然として存在します。

また、急性期を乗り越えても、嗅覚・味覚異常、長期の疲労感、呼吸苦、ブレインフォグなどが数か月続く「後遺症」が社会的課題となっています。再感染や複数回のワクチン接種後の罹患も報告されており、感染との共存を見据えた長期的対応が求められます。

予防

予防には、マスクの着用、手洗い、うがい、換気の徹底、密を避けるといった基本的な感染対策が有効です。特に人混みや換気の悪い場所では感染リスクが高まるため、注意が必要です。

ワクチン接種は重症化予防に最も効果的な手段です。mRNAワクチン(ファイザー、モデルナなど)や、組換えタンパクワクチン(ノババックスなど)が使用されており、初回接種に加えて定期的な追加接種(ブースター接種)が推奨されています。

また、高齢者や基礎疾患を持つ方、医療従事者などは特に優先接種の対象とされています。ワクチンは発症を完全に防ぐものではありませんが、重症化率や死亡率を大きく下げる効果があります。

今後も変異株への対応が続くことが予測される中、個人の対策に加え、社会全体での感染拡大防止策の継続が求められています。

関連する病気や合併症

新型コロナウイルス感染症により引き起こされる合併症には、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、血栓症、心筋炎、脳梗塞などがあります。特に高齢者では肺炎や心不全が悪化する例が多く報告されています。

また、若年層においても、川崎病様症状を示す多系統炎症性症候群(MIS-C)が発症することがあり、注意が必要です。これは免疫反応の過剰によって全身に強い炎症を引き起こす病態です。

血栓症も深刻な合併症のひとつで、脳卒中や肺塞栓を引き起こす可能性があり、入院患者では予防的な抗凝固療法が行われることがあります。さらに、長期間の入院による筋力低下や精神的ストレスも合併症の一つとされます。

感染の直接的影響だけでなく、持病の悪化や医療アクセスの制限による健康被害にも注意が必要です。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

内科の診療を受ける

クラウドドクターは24時間365日対応。 風邪・腹痛・喉の痛み・吐き気などの急な体調不良に。

現在の待ち時間

3

クラウドドクターの
オンライン診療

クラウドドクターのオンライン診療

クラウドドクターでは、問診内容を元に全国から適したドクターがマッチングされ、あなたの診療を行います。診療からお薬の処方までビデオ通話で受けられるため、お忙しい方にもおすすめです。

  • 24時間365日
    いつでも診療OK
  • 保険診療が
    ご利用可能
  • お近くの薬局やご自宅で
    お薬の受取り可能

■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

石井 誠剛医師 イシイ内科クリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒後、済生会茨木病院で研修を行い、日本生命病院で救急診療科、総合内科勤務。
その後、近畿中央呼吸器センターで勤務後、西宮市立中央病院呼吸器内科で副医長として勤務。
イシイ内科クリニックを開設し、地域に密着し、 患者様の気持ちに寄り添った医療を提供。

日本生命病院では総合内科医として様々な内科診療に携わり、近畿中央呼吸器センターでは呼吸器の専門的な治療に従事し、 西宮市立中央病院では呼吸器内科副医長として、地域医療に貢献。
抗加齢学会専門医として、アンチエイジングだけを推し進めるのではなく、適切な生活指導と内科的治療でウェルエイジングを提供していくことを目指している。

  • 公開日:2025/07/16
  • 更新日:2025/07/16

即時、あなたに適した
ドクターをマッチング

現在の待ち時間

3