伝染性紅斑(リンゴ病)でんせんせいこうはん(りんごびょう)
伝染性紅斑(リンゴ病)は、ヒトパルボウイルスB19による感染症で、両頬がリンゴのように赤くなる発疹が特徴です。多くは子どもにみられ、自然に治ることがほとんどですが、妊婦さんや重い貧血がある方では注意が必要です。
目次
⚫︎伝染性紅斑(リンゴ病)とは?
伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスが原因で起こる感染症で、「リンゴ病」という別名でも知られています。両方のほおが平手打ちされたように真っ赤になることが特徴的で、その後、腕や足、体にレース状・網目状の発疹が広がります。
主に幼児〜学童期のこどもに多い病気ですが、大人がかかることもあります。一般的には軽症で済み、発疹が出るころには熱などのつらい症状は落ち着いてくることが多いです。
ただし、妊娠中の方や、もともと重い貧血がある方(溶血性貧血など)、免疫がおちている方では、特別な注意や追加の検査・治療が必要になることがあります。
⚫︎伝染性紅斑(リンゴ病)の原因
原因ウイルス
ヒトパルボウイルスB19というDNAウイルスによる感染症です。このウイルスは、赤血球をつくる細胞に感染し、その働きを一時的に弱めることがあります。
感染経路
主な感染経路
- 咳やくしゃみなどによる飛沫感染
- 鼻水やよだれなどがついた手すり・おもちゃなどからの接触感染
家庭や保育園・学校など、身近な生活の場でうつることが多い病気です。
感染しやすい時期
ウイルスは、発疹が出る「前」つまり軽い風邪症状が出ている時期に最もたくさん排出されます。発疹が出るころには、すでにウイルスはほとんど出ておらず、周囲への感染力もかなり弱くなっています。
流行しやすい季節
日本では、春〜初夏(おおむね4〜7月ごろ)に流行のピークを迎えやすいとされています。ただし、年によって流行の時期や規模は変動します。
⚫︎伝染性紅斑(リンゴ病)の症状は?
潜伏期間(ウイルスに感染してから症状が出るまで)はおよそ4〜20日(多くは10〜20日)とされています。
1)前ぶれとしての「かぜ症状」
発疹が出る1週間ほど前から、次のような軽い症状が出ることがあります。
- 微熱
- 鼻水やのどの痛みなど、かぜに似た症状
- だるさ、食欲低下
この時期にウイルスの排出量が多く、もっとも人にうつしやすい時期です。
2)特徴的な発疹
その後、次のような発疹が現れます。
両頬
- 境界がはっきりした、平手でたたかれたような真っ赤な発疹
- ほかの部分に比べて特に目立ちます
腕・足・体(体幹)
- レースや網目のように見える赤い発疹
- 左右対称に広がることが多い
3)大人で目立ちやすい症状
大人が感染した場合、こどもとは少し違う症状が目立つことがあります。
- 手足の関節の痛み・腫れ(関節炎)
- 手足のむくみ
- 頭痛や強い倦怠感
特に女性では関節痛が前面に出て、歩きにくくなるほど強い痛みが数日〜数週間続くことがあります。
⚫︎受診の目安
次のような場合は、早めに医療機関の受診を検討してください。
こども
- 頬や体の発疹に加えて、高熱が続く、ぐったりしている
- 顔色が悪い、息切れが強い、動くとすぐ疲れる
- 発疹が紫っぽい、出血斑のように見える
大人
- 強い関節痛やむくみで、歩く・手を動かすのがつらい
- 高熱や全身倦怠感が強く、仕事や家事ができない
妊娠中、あるいは妊娠の可能性がある方
- 家族や職場・保育園などでリンゴ病が流行している
- 自分にも発疹や軽いかぜ症状が出てきた
→ 産婦人科での相談・検査が推奨されます。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
診断は、特徴的な発疹の様子や、流行状況、年齢、経過などから総合的に判断します。必要に応じて血液検査やウイルスの抗体検査を行い、パルボウイルスB19への感染を確認します。
治療は、多くの場合「対症療法」といって、発熱やかゆみ、関節痛などの症状を和らげる治療が中心です。通常は数日〜1週間程度で自然に改善し、特別な抗ウイルス薬は不要です。
妊娠中の方や、重い貧血・免疫不全がある方では、血液検査や超音波検査を含め、より慎重な経過観察や専門的な治療が必要になることがあります。
⚫︎伝染性紅斑(リンゴ病)の診断
1)問診・診察
- いつからどのような発疹が出たか
- 家族や保育園・学校などで同じような発疹の人がいないか
- 妊娠中かどうか、基礎疾患(特に血液の病気や免疫不全)がないか
などを確認します。
2)身体所見
- 両頬の「リンゴのような」紅斑
- 手足・体幹のレース状・網目状の発疹
- 関節の腫れや痛みの有無
3)血液検査
- 貧血の有無、血小板数、白血球数など
- 必要に応じて、パルボウイルスB19の抗体(IgM・IgG)やウイルスDNA検査を行うことがあります。IgMは「最近感染したサイン」、IgGは「過去にかかったことがあるサイン」を示します。
4)妊婦さんやハイリスクの方での追加検査
- 妊娠中の方:胎児の状態をみるための超音波検査(胎児水腫や心不全の有無など
- 溶血性貧血や免疫不全がある方:貧血の程度をくわしく評価し、一時的な「赤血球がつくられない状態(無形成発作)」が起きていないか確認します。
⚫︎伝染性紅斑(リンゴ病)の治療
A. 一般的な治療(多くの方の場合)
- 安静と十分な水分・栄養
- 発熱や痛みに対して、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)を使用
- かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬や外用薬(保湿剤など)が処方されることがあります
B. 妊娠中の方への対応
妊娠中にパルボウイルスB19に感染した場合、胎児にウイルスがうつり、強い貧血や胎児水腫を起こすことがあります。ただし、感染した妊婦さん全員で重い合併症が起きるわけではなく、多くは問題なく経過します。
C. 基礎疾患や免疫不全がある方
- 溶血性貧血、鎌状赤血球症などの血液疾患
- 免疫不全状態(免疫抑制薬使用中、造血幹細胞移植後など)では、重い貧血や長引くウイルス感染を起こすことがあり、入院での管理や免疫グロブリン製剤の投与などが検討されます。
⚫︎伝染性紅斑(リンゴ病)の予後
- こどもや健康な大人では、多くが2〜3週間程度で自然に軽快します。
- 発疹は一度薄くなっても、しばらくは日光・運動・入浴・発熱・ストレスなどをきっかけに、一時的に再び濃くなることがありますが、次第に消えていきます。
- 一度感染すると、多くの人は長期間(事実上、一生)ウイルスに対する免疫を獲得し、再び同じ病気として発症することはまれとされています。
一方で、妊娠中の感染や、重い血液疾患・免疫不全がある方での感染では、胎児水腫や重い貧血などの合併症が起こる可能性があり、慎重なフォローが必要です。
⚫︎伝染性紅斑(リンゴ病)の予防
完璧に防ぐことは難しいものの、日常生活の工夫でリスクを下げることができます。
基本的な感染対策
- こまめな手洗い(特にトイレの後、食事の前、外から帰った後)
- 咳エチケット(マスクの着用、咳やくしゃみをするときに口と鼻をおさえる)
- 鼻水やよだれがついたティッシュ・ハンカチ・おもちゃは清潔に保つ
家庭・集団生活での注意
- コップ・食器・タオルなどの共用をできるだけ避ける
- こどもがかぜ症状のときは、無理に登園・登校させない
妊娠中・妊娠を希望している方
保育園や学校、職場などでリンゴ病が流行している場合には、体調不良の子どもとの濃厚な接触を減らす工夫も一案です。
⚫︎伝染性紅斑(リンゴ病)に関連する病気や合併症
妊娠中の初感染では、胎児貧血や胎児水腫、流産・死産のリスクが上がることが知られています。特に妊娠初期〜中期でリスクが高いとされます。一方で、感染しても多くの場合は問題なく出産まで経過します。
血液疾患のある方の合併症
溶血性貧血(赤血球が壊れやすい病気)や鎌状赤血球症などがあると、一時的に赤血球がほとんど作られなくなる「無形成発作(aplastic crisis)」を起こし、重い貧血になることがあります。
免疫不全のある方の合併症
免疫が弱い状態(先天性免疫不全、造血幹細胞移植後、強い免疫抑制薬使用中など)では、ウイルスが体内からなかなか排除できず、重く長引く貧血の原因となることがあります。
⚫︎まとめ
伝染性紅斑、通称「リンゴ病」は、小児期に多く見られるウイルス性の感染症です。多くの場合、予後は良好で自然に治癒しますが、一部の方には特別な配慮が必要です。
特に、妊娠中の方や血液疾患・免疫不全を抱えている方が感染した場合には、合併症のリスクを考慮し、慎重な経過観察が求められます。
特徴的な発疹のほかに、関節痛や全身の倦怠感などの症状が現れた際は、速やかに医療機関へ相談してください。正しい知識を身につけ、過度な不安を避けながら冷静に対応していくことが肝要です。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
■ この記事を監修した医師
赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック
近畿大学 医学部 卒
近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。
「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。
医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。
医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。
- 公開日:2026/03/10
- 更新日:2026/03/10
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