マロリー・ワイス症候群とは?原因・症状・治療を医師監修で解説まろりー・わいずしょうこうぐん
吐いたあとに血が混じっていて、不安になったことはありませんか。 激しい嘔吐のあとに吐血がみられる場合、「マロリー・ワイス症候群」が原因となっていることがあります。マロリー・ワイス症候群は、食道と胃の境目の粘膜が裂けることで出血を起こす病気です。大量飲酒や胃腸炎、つわりなどによる激しい嘔吐をきっかけに発症することが多く、適切な治療を受けることで改善が期待できます。 一方で、吐血は胃潰瘍や食道静脈瘤、ブールハーフェ症候群など、緊急性の高い病気でもみられる症状です。自己判断せず、速やかに医療機関を受診することが大切です。 この記事では、マロリー・ワイス症候群の原因や症状、診断・治療方法、受診の目安、再発予防のポイントまで、わかりやすく解説します。
マロリー・ワイス症候群とは?
マロリー・ワイス症候群は、激しい嘔吐や強いいきみによって、食道と胃の境目(食道胃接合部)の粘膜が裂け、出血を起こす病気です。1929年にアメリカの医師であるマロリーとワイスによって報告されたことから、この名前が付けられました。
吐血をきっかけに発見されることが多く、飲酒後の嘔吐や胃腸炎、つわりなどが発症のきっかけとなるケースがよくみられます。出血量は軽度で自然に止まることもありますが、大量出血では内視鏡による止血治療が必要になる場合もあります。
吐血は命に関わる病気でもみられる症状のため、「一時的なものだろう」と自己判断せず、速やかに医療機関を受診することが大切です。
マロリー・ワイス症候群の特徴
マロリー・ワイス症候群の最大の特徴は、激しい嘔吐やえずいた直後に吐血することです。
吐血は鮮やかな赤色の血液であることが多く、胃の中にたまった血液が時間を経て黒っぽく見えることもあります。また、出血量によっては黒色便(タール便)がみられる場合もあります。
出血は粘膜の浅い裂傷によるものが多いため、適切な治療を受ければ比較的良好な経過をたどるケースがほとんどです。
一方で、吐血の原因には胃潰瘍や食道静脈瘤、ブールハーフェ症候群など緊急性の高い病気も含まれるため、原因を確認するためにも内視鏡検査が重要となります。
どのようにして起こる病気?
マロリー・ワイス症候群は、嘔吐などによって腹部の圧力(腹圧)が急激に上昇し、食道と胃の境目に強い力が加わることで発症します。
通常、この部分の粘膜は食べ物が通る程度の刺激には耐えられますが、何度も激しく吐いたり、えずいたりすると急激な圧力に耐えられず裂けてしまうことがあります。
特に、大量飲酒後の嘔吐は代表的な原因として知られていますが、胃腸炎や妊娠中のつわり、内視鏡検査後などでも起こることがあります。
食道と胃の境目に裂け目ができる仕組み
食道と胃の境目は、食べ物や飲み物が通過する重要な部分です。
嘔吐すると胃の内容物を押し出すために腹圧が急激に高まり、食道と胃の境目には強い負荷がかかります。この状態が繰り返されると、粘膜が縦方向に裂けて出血を起こします。
裂けるのは主に粘膜表面であり、食道全体に穴が開くわけではありません。そのため、多くの場合は適切な止血や安静によって改善が期待できます。
ただし、食道全層が破れるブールハーフェ症候群は命に関わる重篤な病気であり、マロリー・ワイス症候群とは治療方法や緊急性が大きく異なります。吐血や激しい胸の痛みがある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
マロリー・ワイス症候群の原因
マロリー・ワイス症候群は、食道と胃の境目に急激な圧力がかかることで発症します。特に激しい嘔吐が最も多い原因ですが、そのほかにも腹圧が大きく上昇するさまざまな場面で起こることがあります。
ここでは、代表的な原因について解説します。
激しい嘔吐
マロリー・ワイス症候群の最も多い原因は、激しい嘔吐です。
何度も嘔吐を繰り返すことで腹圧が急激に高まり、食道と胃の境目の粘膜が引き伸ばされて裂けることがあります。
胃腸炎や食中毒、薬剤の副作用など、嘔吐を伴う病気がきっかけとなることも少なくありません。
一度の嘔吐で発症する場合もありますが、短時間に何度も強くえずくことで発症リスクは高くなると考えられています。
大量飲酒
大量飲酒は、マロリー・ワイス症候群の代表的な原因の一つです。
アルコールは胃の粘膜を刺激して吐き気を起こしやすくするほか、一度に大量に飲酒すると激しい嘔吐につながることがあります。
また、飲酒によって胃や食道の粘膜が傷つきやすくなっていることもあり、少ない刺激でも裂傷が起こる場合があります。
飲酒後に吐血した場合は、「酔った影響だろう」と自己判断せず、医療機関を受診しましょう。
妊娠・つわり
妊娠初期のつわりによる激しい嘔吐でも、マロリー・ワイス症候群を発症することがあります。
特に、妊娠悪阻(にんしんおそ)のように嘔吐が繰り返される状態では、食道と胃の境目に大きな負荷がかかりやすくなります。
つわり中の吐血は少量でも注意が必要です。胃や食道からの出血以外の病気が隠れている可能性もあるため、早めに産婦人科や内科へ相談しましょう。
咳・しゃっくり・強いいきみ
嘔吐以外にも、腹圧が急激に高まることで発症する場合があります。
例えば、次のような場面がきっかけになることがあります。
- 激しい咳が長く続く
- 強いしゃっくりを繰り返す
- 排便時に強くいきむ
- 重いものを持ち上げる
これらによって腹圧が急激に上昇すると、食道と胃の境目の粘膜が裂けることがあります。
頻度は高くありませんが、嘔吐がない場合でも発症する可能性があることを知っておきましょう。
その他の原因
そのほかにも、次のようなケースで発症することがあります。
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)の刺激
- けいれん発作
- 外傷
- 強い腹部への衝撃
ただし、これらは比較的まれな原因です。
いずれの場合も、吐血や黒色便など消化管出血を疑う症状がみられた場合は、原因を調べるために医療機関で検査を受けることが大切です。
マロリー・ワイス症候群の症状
マロリー・ワイス症候群では、食道と胃の境目の粘膜が裂けて出血するため、吐血をはじめとした消化管出血の症状が現れます。出血量には個人差があり、少量で自然に止まることもあれば、大量出血によって緊急治療が必要になることもあります。
ここでは、代表的な症状について解説します。
吐血
マロリー・ワイス症候群で最も多くみられる症状が吐血です。
激しい嘔吐やえずいたあとに、鮮やかな赤色の血液やコーヒーかすのような黒褐色の血液を吐くことがあります。出血量は少量から大量までさまざまで、一度だけ吐血する場合もあれば、繰り返すこともあります。
吐血は胃潰瘍や食道静脈瘤、ブールハーフェ症候群など、緊急性の高い病気でもみられる症状です。少量であっても自己判断せず、速やかに医療機関を受診しましょう。
血便・黒色便
出血した血液が消化管を通過すると、黒色便(タール便)が現れることがあります。
黒色便は、血液が胃酸や消化液の影響を受けて黒く変色した便です。便全体が黒く、粘り気があり、独特のにおいを伴うことが特徴です。
一方で、出血量が多い場合には暗赤色の血便がみられることもあります。
黒色便や血便は消化管出血を示す重要なサインであり、早めの受診が必要です。
みぞおちや胸の痛み
吐血だけでなく、みぞおちや胸のあたりに痛みや違和感を覚えることがあります。
これは、粘膜が裂けた部分や、嘔吐による食道・胃への負担が原因と考えられています。
ただし、激しい胸の痛みや息苦しさを伴う場合は、食道全体が破れるブールハーフェ症候群や心疾患などの可能性もあるため、早急な対応が必要です。
貧血・めまい
出血量が多い場合には、貧血の症状が現れることがあります。
代表的な症状は次のとおりです。
- めまい
- 立ちくらみ
- 動悸
- 息切れ
- 顔色が悪くなる
- 強い倦怠感
これらの症状は、体内の血液量が減少しているサインかもしれません。吐血や黒色便とあわせて現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
ショック症状が現れることもある
大量出血では、出血性ショックを起こすことがあります。
出血性ショックでは、血圧が低下し、全身へ十分な血液が送られなくなるため、命に関わる状態になることがあります。
次のような症状がみられる場合は、救急車を呼ぶことを検討してください。
- 意識がぼんやりする
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 冷や汗が出る
- 顔面が蒼白になる
- 脈が速く弱い
- 血圧が低下する
これらは緊急性の高い症状であり、一刻も早い治療が必要です。
マロリー・ワイス症候群が疑われる場合の受診目安
吐血や黒色便は、マロリー・ワイス症候群だけでなく、胃潰瘍や食道静脈瘤、胃がんなどさまざまな病気でもみられる症状です。そのため、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診することが重要です。
特に大量の吐血や意識障害を伴う場合は、命に関わることもあるため、速やかな対応が必要になります。
吐血したら早めに受診する
嘔吐したあとに血が混じっていた場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
少量の出血で自然に止まることもありますが、出血が続いていたり、見た目以上に出血していたりする可能性もあります。また、吐血の原因はマロリー・ワイス症候群とは限らず、ほかの病気が隠れていることも少なくありません。
受診する際は、次のような情報を医師へ伝えると診断の参考になります。
- 吐血した量や色(鮮血・黒っぽい血液など)
- 吐血した回数
- 吐血する前に嘔吐があったか
- 飲酒や胃腸炎など思い当たるきっかけ
- 黒色便や腹痛など、ほかの症状の有無
症状が落ち着いていても、一度は医療機関で原因を確認することが大切です。
救急受診が必要な症状
次のような症状がある場合は、夜間や休日であっても救急外来の受診や救急車の利用を検討してください。
- 大量に吐血した
- 吐血が何度も続く
- 黒色便が続いている
- 激しい腹痛や胸の痛みがある
- めまいや立ちくらみが強い
- 冷や汗が出る
- 意識がもうろうとしている
- 呼吸が苦しい
これらの症状は、大量出血やブールハーフェ症候群など、緊急性の高い病気が原因となっている可能性があります。
何科を受診すればよい?
マロリー・ワイス症候群が疑われる場合は、消化器内科または消化器外科を受診するのが一般的です。
内視鏡検査(胃カメラ)を行うことで、出血部位や出血量を確認し、必要に応じてそのまま止血治療を行える場合があります。
一方で、近くに消化器内科がない場合や大量の吐血がある場合は、救急外来を受診してください。
吐血は放置してよい症状ではありません。「少しだから大丈夫」と考えず、早めに医療機関へ相談しましょう。
マロリー・ワイス症候群の診断方法と治療方法
マロリー・ワイス症候群が疑われる場合は、出血の原因や程度を確認するために検査を行います。吐血の原因には胃潰瘍や食道静脈瘤、ブールハーフェ症候群など緊急性の高い病気もあるため、正確な診断が重要です。
出血が自然に止まるケースも少なくありませんが、出血量が多い場合は内視鏡による止血治療などが必要になることがあります。
診断(胃カメラ・内視鏡検査)
マロリー・ワイス症候群の診断では、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が最も重要な検査です。
胃カメラでは、口や鼻から細い内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸を直接観察します。食道と胃の境目に粘膜の裂傷があるか、現在も出血しているかなどを確認できるため、診断だけでなく治療にも役立ちます。
また、吐血の原因が胃潰瘍や胃がん、食道静脈瘤などほかの病気ではないかを調べることも可能です。
必要に応じて、次のような検査を行うことがあります。
- 血液検査(貧血や炎症の有無を確認)
- 血圧・脈拍・酸素飽和度などの全身状態の確認
- CT検査(ほかの病気が疑われる場合)
保存的治療
出血が少なく自然に止まっている場合は、保存的治療が選択されることが多くあります。
保存的治療では、胃や食道への負担を減らし、裂けた粘膜が自然に治癒するのを待ちます。
主な治療内容は次のとおりです。
- 安静に過ごす
- 一時的な絶食や食事制限
- 点滴による水分・栄養補給
- 胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬など)の投与
- 吐き気止めの使用
症状や全身状態によっては入院して経過を観察することもあります。
内視鏡による止血治療
出血が続いている場合や、自然止血が難しい場合は、内視鏡による止血治療を行います。
胃カメラを用いて出血部位を確認しながら止血するため、開腹手術を行わずに治療できることがほとんどです。
止血方法には、次のようなものがあります。
- 止血クリップで裂傷部を閉じる
- 止血剤を注射する
- 高周波などを用いて出血部を凝固する
多くの患者さんは内視鏡治療によって止血が可能であり、良好な経過をたどります。
輸血や手術が必要になるケース
大量出血によって貧血が進行した場合には、輸血が必要になることがあります。
また、内視鏡による止血が困難な場合や、出血が止まらず全身状態が悪化している場合には、血管内治療(カテーテル治療)や外科手術が検討されることもあります。
ただし、このようなケースは比較的まれです。
早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることで、多くは重症化を防ぐことができます。
マロリー・ワイス症候群の予後
マロリー・ワイス症候群は、適切な治療を受ければ予後が良好な病気です。出血が自然に止まるケースも多く、内視鏡による止血治療が必要となった場合でも、多くの患者さんは回復が期待できます。
ただし、大量出血や基礎疾患がある場合は重症化することもあるため、医師の指示に従って経過をみることが大切です。
自然に治ることが多い
マロリー・ワイス症候群では、裂けた粘膜からの出血が自然に止まり、そのまま治癒するケースが少なくありません。
出血が軽度で全身状態が安定していれば、安静や薬物療法などの保存的治療で改善することが多く、数日から1週間程度で回復することが一般的です。
ただし、吐血があった場合は自己判断で「自然に治るだろう」と様子を見るのは危険です。吐血の原因にはほかの重篤な病気もあるため、必ず医療機関で診察を受けましょう。
再発することはある?
一度治癒しても、原因となる状況が繰り返されると再発する可能性があります。
例えば、次のような場合は再発リスクが高くなると考えられています。
- 大量飲酒を繰り返す
- 激しい嘔吐を伴う病気になる
- 妊娠悪阻(重いつわり)が続く
- 慢性的な咳や頻繁な嘔吐がある
再発を防ぐためには、原因となる生活習慣や病気の治療を行うことが重要です。
治療期間の目安
治療期間は、出血量や治療内容によって異なります。
軽症で自然に止血した場合は、数日から1週間程度で症状が改善することが多く、日常生活へ戻れるケースがほとんどです。
一方、内視鏡による止血治療や入院が必要となった場合は、数日から1週間程度の経過観察を行うことがあります。大量出血や基礎疾患がある場合は、さらに治療期間が長くなることもあります。
症状が改善したあとも、飲酒や暴飲暴食を避け、胃や食道への負担を減らす生活を心がけましょう。
マロリー・ワイス症候群の予防
マロリー・ワイス症候群は、すべてを予防できるわけではありませんが、原因となる激しい嘔吐や腹圧の急激な上昇をできるだけ避けることで、発症や再発のリスクを減らせます。
特に、一度発症したことがある方は、生活習慣を見直すことが再発予防につながります。
飲酒量を見直す
大量飲酒は、マロリー・ワイス症候群の代表的な原因です。
一度に多量のアルコールを摂取すると、胃の粘膜が刺激されて吐き気や嘔吐を起こしやすくなります。
飲酒する場合は適量を守り、空腹時の飲酒や短時間での一気飲みは避けましょう。
嘔吐を繰り返さない工夫
嘔吐を繰り返すと、食道と胃の境目に大きな負担がかかります。
胃腸炎や食中毒などで嘔吐が続く場合は、無理に我慢せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
また、吐き気が強い場合には、医師の判断で吐き気止めなどが処方されることもあります。
胃腸炎などの早期治療
胃腸炎や妊娠悪阻など、激しい嘔吐を伴う病気は早めに治療することが重要です。
症状が悪化すると嘔吐を繰り返し、マロリー・ワイス症候群を発症するリスクが高まります。
吐き気や嘔吐が長く続く場合や、水分も十分に摂れない場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。
マロリー・ワイス症候群と間違えやすい病気
吐血はマロリー・ワイス症候群だけでなく、さまざまな病気でみられる症状です。なかには緊急性が高く、早急な治療が必要な病気もあります。
吐血したからといって原因を自己判断することは難しいため、医療機関で適切な検査を受けることが重要です。
ブールハーフェ症候群との違い
ブールハーフェ症候群は、激しい嘔吐をきっかけに食道全体が破れる病気です。
マロリー・ワイス症候群では、食道と胃の境目の粘膜だけが裂けるのに対し、ブールハーフェ症候群では食道の壁全層が破れるため、より重篤な状態となります。
両者の主な違いは以下のとおりです。
|
項目 |
マロリー・ワイス症候群 |
ブールハーフェ症候群 |
|
損傷部位 |
食道と胃の境目の粘膜 |
食道全層 |
|
主な症状 |
吐血、黒色便 |
激しい胸痛、背部痛、呼吸困難、吐血 |
|
緊急性 |
多くは保存的治療で改善 |
緊急手術が必要になることが多い |
嘔吐後に激しい胸の痛みや呼吸困難が現れた場合は、ブールハーフェ症候群の可能性もあるため、速やかに救急医療機関を受診してください。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍でも吐血や黒色便がみられることがあります。
胃酸などによって胃や十二指腸の粘膜が深く傷つく病気で、ピロリ菌感染や鎮痛薬(NSAIDs)の使用などが主な原因です。
マロリー・ワイス症候群との違いは、嘔吐をきっかけとしないことが多い点です。また、みぞおちの痛みや食後の腹痛などが続く場合は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が疑われます。
食道静脈瘤
食道静脈瘤は、肝硬変などによって食道の静脈がこぶのように膨らむ病気です。
静脈瘤が破裂すると、大量の吐血を起こすことがあり、命に関わることもあります。
特に、肝硬変や慢性肝疾患のある方が突然大量に吐血した場合は、食道静脈瘤からの出血も考えられるため、緊急の治療が必要です。
吐血の原因は見た目だけでは判断できません。原因を特定するためにも、速やかに医療機関で検査を受けましょう。
マロリー・ワイス症候群についてのよくある質問
マロリー・ワイス症候群は自然に治りますか?
出血が少なく自然に止まる場合は、保存的治療で改善することが多くあります。
ただし、吐血の原因はマロリー・ワイス症候群とは限らず、重篤な病気が隠れている可能性もあります。吐血した場合は、症状が軽くても一度は医療機関を受診しましょう。
吐血したら必ず胃カメラを受ける必要がありますか?
吐血の原因を調べるため、多くの場合は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が行われます。
胃カメラでは出血部位を直接確認できるだけでなく、必要に応じてその場で止血治療を行えることもあります。
アルコールが原因になるのはなぜですか?
大量飲酒は胃の粘膜を刺激し、吐き気や嘔吐を引き起こしやすくします。
激しい嘔吐によって食道と胃の境目に強い圧力がかかるため、粘膜が裂けて出血することがあります。
再発を防ぐ方法はありますか?
再発を防ぐには、原因となる激しい嘔吐をできるだけ避けることが大切です。
大量飲酒を控えるほか、胃腸炎やつわりなど嘔吐を伴う病気は早めに治療し、症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。
マロリー・ワイス症候群は早めに受診しよう
マロリー・ワイス症候群は、激しい嘔吐などによって食道と胃の境目の粘膜が裂け、吐血を引き起こす病気です。適切な治療によって改善することが多く、予後は比較的良好とされています。
しかし、吐血は胃潰瘍や食道静脈瘤、ブールハーフェ症候群など、緊急性の高い病気でもみられる症状です。出血量が少なくても自己判断せず、医療機関で原因を確認することが重要です。
特に、大量の吐血や黒色便、激しい胸の痛み、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、速やかに救急医療機関を受診してください。早期に適切な診断・治療を受けることが、重症化を防ぐための大切なポイントです。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
日本消化器病学会「上部消化管出血診療ガイドライン」(https://www.jsge.or.jp/)
厚生労働省e-ヘルスネット「吐血」(https://kennet.mhlw.go.jp/home)
国立国際医療研究センター「マロリー・ワイス症候群」(https://www.ncgm.go.jp/)
順天堂医院 消化器内科「上部消化管出血について」(https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/shokaki/)
■ この記事を監修した医師
赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック
近畿大学 医学部 卒
近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。
「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。
医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。
医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。
- 公開日:2025/06/25
- 更新日:2026/08/10
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