鼻出血びしゅっけつ

鼻出血は、鼻の粘膜から血が出る状態の総称です。多くは鼻の入口近くの血管(キーゼルバッハ部位)からの出血で、正しい止血で自然におさまりますが、長く続く・量が多い・何度も繰り返す場合は、耳鼻咽喉科などの受診が必要です。

⚫︎鼻出血とは?

鼻出血(鼻血・はなぢ)は、鼻の中の粘膜にある血管が破れて起こる出血をまとめた呼び方です。
多くは鼻の前方、鼻の穴のすぐ奥にある「キーゼルバッハ部位」という、血管が集まっている場所からの出血です。ここは粘膜が薄く、指でほじる、かぜや花粉症でこする、空気の乾燥などで傷つきやすい部位です。

子どもの鼻血は、鼻をいじる癖やアレルギー性鼻炎、湿疹などで粘膜が弱くなっているときに起こりやすく、大人では高血圧や動脈硬化、血液をサラサラにする薬の影響、鼻の腫瘍などが原因になることもあります。

多くの鼻出血は命に関わらない軽いものですが、出血量が多い・なかなか止まらない・全身の病気が隠れている場合など、しっかり検査や治療が必要になることもあります。

⚫︎鼻出血の原因

主な原因は次のように分けられます(複数が重なることもあります)。

鼻の局所の刺激・外傷

鼻を指でほじる・強くかむ・ぶつける・スポーツでの接触などで、鼻粘膜が直接傷ついて出血します。子どもで最も多いタイプです。

乾燥・炎症(かぜ・花粉症・アレルギー性鼻炎など)

かぜや花粉症、慢性鼻炎で粘膜が腫れてもろくなっていると、軽い刺激でも出血しやすくなります。冬場の乾燥した空気も鼻血の原因になります。

全身の病気や薬の影響

高血圧、動脈硬化、血液の病気(血小板が少ない病気・白血病など)、肝臓の病気、血が固まりにくくなる薬(ワルファリン・アスピリンなど)によって、血管が切れやすい/血が止まりにくい状態になると鼻血が起こりやすくなります。

鼻や副鼻腔の病気

鼻の中のポリープや腫瘍、副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻中隔の変形などが原因で、同じ場所から何度も出血することがあります。

⚫︎鼻出血の症状は?

典型的な症状は、片方または両方の鼻から鮮やかな赤い血が流れてくることです。少量でティッシュに少し付く程度のこともあれば、ポタポタ垂れる・コップにたまるほど出る場合もあります。

鼻の前の方からの出血では、鼻の穴や鼻の下が血で汚れることが多く、後ろの方(後鼻出血)から出る場合は、血がのどの方へ流れ込み、口から血が出たり、血を飲み込んで黒っぽい便(タール便)として出てくることもあります。

出血が続くと、

  • めまい・立ちくらみ
  • 動悸(どうき)・息切れ
  • 顔色が悪い、だるい

といった貧血(ひんけつ)の症状が出ることもあります。高齢の方や持病のある方では、少ない出血でも症状が出やすいので注意が必要です。

⚫︎受診の目安

次のような場合は、「様子を見る」だけでなく、耳鼻咽喉科や救急外来の受診を検討しましょう。

  • 正しい止血(鼻の入口をつまむ姿勢)を10〜15分続けても止まらない
  • 1週間のうちに何度も鼻血を繰り返す
  • 滝のように流れるほど量が多い、のどへ大量に流れ込む
  • 顔を強くぶつけたあとに鼻血が止まらない・鼻が変形している
  • 鼻血に加えて、歯ぐきや皮膚(あざ)など他の部位からも出血している

2時間以上続く出血や、急に立てなくなるような強いふらつき・胸の苦しさ・大量の吐血/下血(黒い便を含む)がある場合は、救急車を呼ぶことも考えてください。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、「どこから・なぜ出ているのか」を調べることが中心です。問診や視診にくわえて、鼻の中を専用の器具や内視鏡で観察し、必要に応じて血液検査や画像検査を行います。

治療の第一歩は、自分自身やご家族による圧迫止血です。それでも止まらない場合は、医療機関で出血部位を薬や電気焼灼で処置したり、ガーゼやスポンジを詰めたりします。原因が高血圧や血液の病気など全身の問題の場合は、その治療もあわせて行います。

▶︎鼻出血の診断

1)問診・診察

いつから・どちらの鼻から・どのくらいの量か、どのくらい続くか、以前にも繰り返しているか、服用中の薬(特に血をサラサラにする薬)や持病の有無などを詳しく確認します。顔面の外傷歴がないかも重要です。

2)鼻の診察(鼻鏡・内視鏡)

鼻鏡(びきょう)という器具や細い内視鏡で鼻の中を直接観察し、出血している部位(前方か後方か、片側か両側か)や、ポリープや腫瘍の有無を調べます。

3)血液検査

頻回の鼻血、全身の出血傾向が疑われる場合は、貧血の有無、血小板数、血液凝固機能、肝機能などを確認します。

4)画像検査

鼻腔・副鼻腔の腫瘍や、副鼻腔炎などが疑われる場合には、CTやMRIなどの検査を行うことがあります。鼻出血で出血源がはっきりしないときにも画像検査が役立ちます。

▶︎鼻出血の治療

A. 自宅での初期対応(まずやること/基本方針)

  • 姿勢:椅子に座り、少し前かがみになります(上を向かない)
  • 圧迫:親指と人さし指で、左右の鼻の「ふくらんだ部分(鼻翼)」をしっかりつまみ、10〜15分間続けます。途中で何度も確認すると止まりにくくなるので、時計を見ながら我慢して続けるのがポイントです
  • 口に入った血は飲み込まず、口から吐き出すようにします(飲み込むと気持ち悪さや黒い便の原因になります)

首の後ろをたたく、鼻に強くティッシュを詰め込む、上を向いて血を飲み込む、といった方法は、むしろ好ましくありません。誤嚥(気管に入る)や嘔気の原因になるため避けましょう。

B. 医療機関で行う治療

  • 圧迫止血や薬液を染み込ませたガーゼによる処置
  • 出血点が確認できる場合は、薬剤や電気メスで粘膜を焼いて止血する「焼灼(しょうしゃく)」
  • 出血が強い場合は、特殊なガーゼやスポンジ、バルーン付きのチューブなどを鼻の中に詰める「タンポナーデ」

いずれも、出血の場所と原因に応じて組み合わせて行われます。

C. 回復期の日常生活と再発予防

  • 数日は強く鼻をかむ・ほじる・こすることを控える
  • 熱い風呂・サウナ・飲酒は血圧や血流を上げるため控えめにする

⚫︎鼻出血の予後

多くの鼻出血は、適切な圧迫止血や医療機関での処置により比較的短期間でおさまり、日常生活に大きな支障を残しません。

一方、後鼻出血や大量出血、血液疾患や肝臓病が背景にある場合は、貧血が進んだり、まれに命に関わる事態になることもあります。高齢の方や基礎疾患のある方では特に注意が必要です。

出血を繰り返す場合でも、原因を調べて治療方針を立てることで、多くはコントロールが可能です。

⚫︎鼻出血の予防

日常生活でできる予防のポイントは次のとおりです。

鼻を強くかまない・ほじらない

かむときは片側ずつ、軽めにかむようにします。子どもには「指を入れない」習慣づけが大切です。

鼻やのどの炎症を悪化させない

かぜや花粉症、アレルギー性鼻炎は適切に治療し、炎症で粘膜がもろくならないようにします。

乾燥対策

冬場やエアコンの効いた部屋では、加湿器・洗濯物の室内干し・マスクなどで、鼻の中が乾燥しすぎないように工夫しましょう。

生活習慣と持病の管理

高血圧や糖尿病、肝臓病がある場合は、内科での継続的な治療が大切です。飲酒・喫煙を控え、十分な睡眠とバランスの良い食事を心がけましょう。

⚫︎鼻出血に関連する病気や合併症

鼻出血と関連することがある主な病気・状態には、次のようなものがあります。

  • アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
  • 高血圧症・動脈硬化
  • 血小板減少症・血友病などの出血性疾患、白血病などの血液疾患
  • 肝硬変などの肝臓病
  • 血液サラサラの薬の内服(ワルファリン・アスピリンなど)

また、鼻血が長時間続いたり大量に出た場合には、貧血、血を飲み込むことによる吐き気・嘔吐、まれに誤嚥性肺炎などの合併症が起こる可能性があります。

⚫︎まとめ

鼻出血の多くは、鼻の入口近くの血管が傷ついて起こる一時的な出血で、正しい姿勢と圧迫で自然におさまります。

一方で、長く続く・何度も繰り返す・量が多い鼻血の背後には、高血圧や血液の病気、鼻の腫瘍などが隠れていることもあります。

まずは「座って前かがみで鼻の入口をしっかりつまむ」基本の止血を行い、それでも不安があれば耳鼻咽喉科などで相談しましょう。

鼻血が気になったときは、一人で抱え込まず、早めに医療機関やオンライン診療なども活用して、安全に対応していくことが大切です。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック

大阪大学 医学部 卒

東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。

患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。

  • 公開日:2026/03/31
  • 更新日:2026/03/31

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