鼻炎びえん
鼻炎は、鼻の粘膜に炎症が起こり、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・鼻のかゆみなどが続く状態です。風邪による急性鼻炎、花粉症などのアレルギー性鼻炎、気温差や刺激で起こる鼻炎など種類があり、原因に合った治療が大切です。
⚫︎鼻炎とは?
鼻炎は、鼻の中を覆う「粘膜」に炎症が起きた状態をまとめて呼ぶ名前です。
代表的な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・鼻のかゆみなどで、「風邪のときだけ出る鼻炎」「花粉症として毎年出る鼻炎」「一年中ぐずぐずしている鼻炎」など、原因やタイプによって経過が異なります。
主なタイプは次のように分けられます。
- 急性鼻炎:一般的な「かぜ」の一部として起こる鼻炎
- アレルギー性鼻炎:花粉・ダニ・ハウスダスト・動物の毛などに対するアレルギー反応で起こる鼻炎(季節性=花粉症、通年性)
- 非アレルギー性鼻炎:寒暖差・におい・タバコの煙・ホルモンバランス・薬剤などがきっかけで、アレルギー以外のメカニズムで起こる鼻炎
多くは命に直結する病気ではありませんが、睡眠不足や集中力低下、仕事・学業の効率低下など、生活の質(QOL)に大きく影響しやすい病気です。
⚫︎鼻炎の原因
鼻炎の原因は、タイプによって少しずつ異なります。いくつか代表的なものを挙げます。
感染(急性鼻炎)
→ いわゆる「かぜウイルス」(ライノウイルス、コロナウイルスなど)が多く、のどの痛み・発熱を伴うこともあります。
アレルギー(アレルギー性鼻炎・花粉症)
→ スギ・ヒノキ・ブタクサなどの花粉、ダニ・ハウスダスト、カビ、ペット(犬・猫など)の毛やフケなどに対して、体の免疫が過剰に反応して鼻炎が起こります。
非アレルギー性(血管運動性鼻炎など)
→ 気温差、冷たい空気、強いにおい、タバコの煙、ストレス、自律神経の乱れなどがきっかけとなり、アレルギーではない鼻炎が起こることがあります。
鼻の構造や他の病気
→鼻中隔弯曲症(鼻のしきりが曲がっている)、鼻ポリープ、副鼻腔炎などがあると、鼻炎の症状が長引きやすくなります。
薬剤・ホルモンの影響
→ 一部の血圧の薬、点鼻薬の長期連用、妊娠・更年期などのホルモン変化が影響することもあります。
⚫︎鼻炎の症状は?
鼻炎の主な症状は、次のようなものです。
- くしゃみ(特に連続して何回も出る)
- 水のような鼻水(さらさらした鼻水、風邪では最初だけ透明で徐々に粘り気が増えることも)
- 鼻づまり(片側または両側)
- 鼻・のど・上あごのかゆみ
アレルギー性鼻炎では、これらに加えて次のような症状もよく見られます。
- 目のかゆみ・充血・涙目
- 耳のかゆみ、のどの違和感、咳
注意ポイント
- 「朝だけくしゃみ・水のような鼻水が続く」「毎年同じ季節に症状が出る」場合、アレルギー性鼻炎・花粉症が疑われます。
- 黄色〜緑色で粘り気のある鼻水、頬や目の下の痛み・重さ、歯の痛みなどがある場合は、副鼻腔炎が隠れていることがあります。
⚫︎受診の目安
つらい鼻症状があっても、市販薬やセルフケアでやり過ごしてしまう方が少なくありません。ただし、次のような場合は、耳鼻咽喉科などの受診をおすすめします。
- くしゃみ・鼻水・鼻づまりが2週間以上続く
- 毎年同じ時期に症状が出て、仕事・学業・睡眠に支障が出ている
- 頭痛、頬の痛み、顔の重さ、匂いが分かりにくいなどが続く(副鼻腔炎の可能性)
- 鼻づまりがひどくて口呼吸が多い、いびきがひどい
- 市販薬を長期間使っても良くならない、むしろ悪化している
- 小児・高齢者、基礎疾患のある方で、鼻症状が続き体調に影響が出ている
何科かわからない場合も、まず耳鼻咽喉科に相談すると、必要に応じて他科と連携してもらえることが多いです。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
診断は、問診と診察で症状の出方や時期、生活環境を確認し、必要に応じて鼻鏡・内視鏡で鼻の中を観察します。そのうえで、アレルギーが疑われる場合には血液検査や皮膚テストなどで原因となるアレルゲン(原因物質)を調べます。
治療の基本は、
- 原因やタイプに合わせた薬物療法(内服薬・点鼻薬など)
- アレルギーが強い場合の舌下免疫療法(スギ・ダニなど)
- 鼻の構造的な問題に対する手術(鼻中隔矯正術、下鼻甲介粘膜の処置 など)
- 生活環境の改善(アレルゲン対策、生活リズムの調整)
を組み合わせることです。
▶︎鼻炎の診断
1)問診・診察
- いつから、どのような場面で症状が出るか(季節性か、一年中か)
- くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどの有無
- 家族にアレルギー体質(アトピー、喘息、花粉症など)があるか
- 住環境(ペットの有無、カーペット、掃除の頻度、喫煙環境)
などを詳しくうかがい、鼻の中を観察して粘膜の腫れ・色・鼻水の性状、ポリープの有無などを確認します。
2)アレルギー検査
- 血液検査:スギ・ヒノキ・ダニ・ハウスダスト・カビ・動物の毛などに対する特異的IgE抗体(アレルギーの反応の強さ)を調べます。
- 皮膚テスト:ごく少量のアレルゲンを皮膚につけて反応を見る方法です。
どの物質が原因になっているかを知ることで、生活環境の工夫や治療方針が立てやすくなります。
3)画像検査
- 副鼻腔炎が疑われる場合には、レントゲンやCTで副鼻腔の状態を確認します。慢性副鼻腔炎やポリープの有無は、今後の治療方針に影響します。
▶︎鼻炎の治療
A. 初期対応(まずやること/基本方針)
生活習慣の見直し
→ 規則正しい睡眠・バランスの良い食事・適度な運動は、免疫や自律神経のバランスを整えます。
環境整備(アレルゲン・刺激の対策)
→ こまめな掃除、布団の乾燥・丸洗い、空気清浄機の活用、喫煙の回避、マスクの着用などは、症状軽減に役立ちます。
B. 医療機関で行う治療
主に次のような薬が使われます。組み合わせは症状のタイプや強さによって変わります。
抗ヒスタミン薬(飲み薬)
→ くしゃみ・鼻水・かゆみの改善に有効です。眠気の少ないタイプもあります。
抗ロイコトリエン薬など(飲み薬)
→ 鼻づまりの改善を狙った薬で、喘息を合併している場合にも用いられます。
アレルギー性鼻炎に対しては、原因がスギやダニの場合、舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)が選択肢になります。舌の下に少量のアレルゲンを毎日投与し、体を少しずつ慣らしていく治療で、数年単位の継続が必要ですが、根本的な体質改善を目指せる治療です。
C. 手術・処置を検討する場合
- 鼻中隔弯曲が強い
- 下鼻甲介(鼻の中のヒダ)の腫れが強く、薬でコントロールできない
- 副鼻腔炎やポリープを繰り返す
などの場合には、鼻中隔矯正術、下鼻甲介手術、内視鏡下副鼻腔手術などの手術が検討されます。日常生活への影響の程度、他の治療方法の効果、本人の希望などを踏まえて総合的に判断します。
⚫︎鼻炎の予後
多くの急性鼻炎(風邪に伴うもの)は、1〜2週間程度で自然に軽快します。アレルギー性鼻炎や非アレルギー性鼻炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返しやすく、長い付き合いになることが少なくありません。
適切な治療と環境整備を行えば、症状をかなりおさえ、日常生活への影響を減らすことができます。
一方で、放置すると次のような影響が出やすくなります。
- 睡眠の質の低下(日中の眠気、集中力低下)
- 仕事・学業のパフォーマンス低下
- 子どもの成長や学習への影響
「完全にゼロにする」ことよりも、「うまくコントロールしながら付き合う」イメージで治療を続けていくことが大切です。
⚫︎鼻炎の予防
完全に防ぐことは難しいものの、次の工夫で症状を軽くできる可能性があります。
花粉症
→ 花粉情報をチェックし、飛散が多い日は外出を控える・マスクやメガネを使う・帰宅後すぐに洗顔・うがい・着替えをする。
→ 症状が出る少し前から、医師の指示のもとで予防的に薬を開始すると、シーズン中の症状を軽くできることがあります。
通年性アレルギー性鼻炎
→ 部屋の掃除、布団やカーテンの洗濯、ダニやカビ対策、ペットの飼育環境の見直しなどでアレルゲンとの接触を減らす。
非アレルギー性鼻炎
→ 冷たい風、急な温度差、強い香り、タバコの煙など、自分の症状を悪化させるきっかけ(トリガー)を把握し、できるだけ避ける。
共通の予防
→ 規則正しい生活、十分な睡眠、ストレスケアは、自律神経や免疫バランスを整えるうえで大切です。
⚫︎鼻炎に関連する病気や合併症
副鼻腔炎(急性・慢性)
→ 鼻の隣の空洞(副鼻腔)が炎症を起こし、顔の痛み・頭重感・嗅覚障害などを伴います。
中耳炎・滲出性中耳炎
→ 鼻と耳をつなぐ管(耳管)がうまく開かなくなり、耳の痛みや聞こえにくさの原因になります。特に小児で多い合併症です。
気管支喘息などのアレルギー疾患
→ アレルギー体質の方では、鼻炎と喘息が一緒に起こることがあり、「上気道(鼻)と下気道(気管支)は一つの気道」としてまとめて管理することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群
→ 強い鼻づまりや肥満などが重なると、いびき・睡眠時無呼吸のリスクが高まります。
⚫︎まとめ
鼻炎は、命にかかわることは少ない一方で、生活の質を大きく下げてしまいやすい身近な病気です。
くしゃみ・鼻水・鼻づまりが長く続く場合、「仕方ない」とがまんせず、原因やタイプを調べてみることが大切です。
現在は、内服薬・点鼻薬・舌下免疫療法・手術など、症状やライフスタイルに合わせた選択肢が増えています。
つらい鼻症状でお困りのときは、一人で抱え込まず、耳鼻咽喉科で早めにご相談ください。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
- ユビー病気のQ&A「アレルギー性鼻炎とはどのような病気ですか?」ほか関連Q&A
(https://ubie.app/byoki_qa/diseases/allergic_rhinitis) - 病気がみえる vol.13 耳鼻咽喉科・頭頸部「鼻炎・感染性鼻炎・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎」
(https://www.byomie.com/products/vol13/)
■ この記事を監修した医師
岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック
大阪大学 医学部 卒
東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。
患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。
- 公開日:2026/03/31
- 更新日:2026/03/31
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