ヘルペスウイルス感染症へるぺすういるすかんせんしょう

ヘルペスウイルス感染症は、口唇ヘルペスや性器ヘルペス、水ぼうそう・帯状疱疹、伝染性単核症などを含むウイルス感染症のグループです。初感染のあとも体内に潜み、疲れやストレスなどで再発しやすいことが特徴です。

⚫︎ヘルペスウイルス感染症とは?

ヘルペスウイルス感染症とは、「ヘルペスウイルス科」というグループに属するウイルスによって起こるさまざまな病気の総称です。代表的なものとして、次のような病気があります。

単純ヘルペスウイルスによる病気

口唇ヘルペス、性器ヘルペス、角膜ヘルペス、ヘルペス脳炎 など

水痘帯状疱疹ウイルスによる病気

水痘(水ぼうそう)、帯状疱疹

EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)による病気

伝染性単核症 など

サイトメガロウイルス(CMV)による病気

先天性CMV感染症、免疫が弱った方での重い肺炎・網膜炎 など

⚫︎ヘルペスウイルス感染症の原因

ヘルペスウイルス感染症の原因は、ヘルペスウイルス科に属するウイルスへの感染です。

主なウイルスと、主な感染経路は次の通りです。

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)

口唇ヘルペスなどの原因。唾液や皮膚・粘膜の接触(キス、同じ食器の共有など)により感染します。

単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)

性器ヘルペスの主な原因。性行為時の皮膚・粘膜の接触でうつります。症状がなくても感染することがあります。

水痘帯状疱疹ウイルス

水ぼうそうは空気感染(咳やくしゃみ)で広がり、その後、神経に潜伏して、年齢を重ねてから帯状疱疹として再発します。

⚫︎ヘルペスウイルス感染症の症状は?

ヘルペスウイルスの種類や、どの部位に出るかによって症状はさまざまですが、よくみられるパターンをまとめます。

1)皮膚・粘膜の症状

  • 口唇やその周囲にできる小さな水ぶくれ(口唇ヘルペス)
  • 性器やその周囲にできる水ぶくれ・ただれ(性器ヘルペス)
  • 神経に沿って帯状に出る強い痛みと水ぶくれ(帯状疱疹)
  • 目の痛みや充血、視力低下の原因になる角膜ヘルペス など

水ぶくれができる前に、「ピリピリ、チクチクする」「違和感がある」といった前ぶれ症状が出ることが多いです。

2)全身症状

  • 発熱、だるさ、食欲低下
  • のどの痛み、扁桃腺の腫れ、首のリンパ節の腫れ(伝染性単核症など)

3)神経・臓器の症状

  • 激しい頭痛、けいれん、意識がもうろうとする(ヘルペス脳炎など)
  • 顔の片側が動かしにくい、顔面神経麻痺
  • 免疫の弱い方での重い肺炎・網膜炎(サイトメガロウイルスなど)

4)乳幼児に多い症状

  • 高熱が数日続いたあとに出る発疹(突発性発疹;主にHHV-6/7)
  • 水痘(水ぼうそう)としての全身の小さな水ぶくれ

症状が比較的軽いものから、命に関わる重いものまで幅があります。

⚫︎受診の目安

次のような場合は、医療機関の受診を検討してください。

  • 口唇や性器、体の一部に痛みを伴う水ぶくれ・ただれが出てきた
  • 同じ場所に似た水ぶくれを何度も繰り返している
  • 発熱・のどの痛み・リンパ節の腫れが続き、強いだるさがある
  • 激しい頭痛、意識がぼんやりする、けいれんが出る
  • 片側の顔が動かしにくい、目が赤く痛い、視力が落ちた

→ 皮膚・粘膜の症状が中心なら皮膚科、小児は小児科、性器の症状は産婦人科・泌尿器科、目の症状は眼科、頭痛や意識障害は救急外来や脳神経内科などが主な相談先になります。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、「どのヘルペスウイルスが、どの部位に、どの程度の重さで関わっているか」を、症状と検査結果から総合的に判断します。

治療の基本は次の2本柱です。

抗ウイルス薬による治療

単純ヘルペスや帯状疱疹などでは、アシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬を内服・点滴・外用することで、症状の軽減と治るまでの期間を短くできる可能性があります。

症状を和らげる治療(対症療法)

解熱鎮痛薬、かゆみ止め、点滴や輸液、眼の炎症に対する点眼などで、つらさを軽くしながら回復を待ちます。

免疫の弱い方や、脳炎・肺炎・重い眼の合併症などが疑われる場合には、入院して点滴治療や詳しい検査が必要になることがあります。

⚫︎ヘルペスウイルス感染症の診断

1)問診・診察

  • 症状が出ている部位(口唇、性器、体の片側、眼、全身など)
  • 水ぶくれや発疹の特徴、痛みの有無
  • 発熱やリンパ節腫れ、だるさなど全身症状の有無
  • 同じような症状を繰り返していないか

2)検査

症状や重症度に応じて、次のような検査を組み合わせます。

血液検査

炎症の程度、肝機能・腎機能、血球数などを確認します。
必要に応じて、ヘルペスウイルスに対する抗体(IgM・IgG)を測定し、初感染かどうかの判断材料にします。

ウイルス検査

水ぶくれの中身(内容液)や咽頭ぬぐい液、血液などからウイルスの遺伝子(PCR)や抗原を調べることがあります。

画像検査

神経症状が強い場合は頭部CT・MRI、肺炎が疑われる場合は胸部レントゲンなどを行います。角膜ヘルペスが疑われるときは、眼科での細隙灯顕微鏡検査が重要です。

男性で精巣痛が強い場合は精巣炎、強い腹痛がある場合は膵炎などを確認するため、血液検査や超音波検査を行うことがあります。

⚫︎ヘルペスウイルス感染症の治療

A. 初期対応(まずやること/基本方針)

  • 安静と休養:発熱やだるさがあるあいだは無理をせず休みます。
  • 水分・栄養:脱水を防ぐため、少しずつでも水分や食べやすいものをとります。
  • 痛み・かゆみのコントロール:解熱鎮痛薬やかゆみ止めを使い、睡眠や食事がとれるようにします。

B. 抗ウイルス薬治療

  • 単純ヘルペス(口唇・性器)、帯状疱疹、角膜ヘルペスなどでは、早期に抗ウイルス薬を始めるほど効果が期待できるとされています。
  • 重症例(ヘルペス脳炎、重い肺炎、免疫不全の方など)では、入院して点滴の抗ウイルス薬を使用します。

C. 合併症ごとの対応

  • 眼のヘルペス:眼科での専門的な点眼治療・管理が必要です。放置すると視力低下につながることがあります。
  • 神経系(脳炎、髄膜炎、帯状疱疹後神経痛など):入院下での点滴治療や、神経痛の薬を含めた痛みのコントロールが重要です。
  • 妊娠中や新生児の感染:産科・小児科・新生児科などと連携して慎重に対応します。サイトメガロウイルスや単純ヘルペスは、母子感染で重い影響が出ることがあります。

⚫︎ヘルペスウイルス感染症の予後

  • 健康な方では、口唇ヘルペスや単純な帯状疱疹など、多くは数日〜数週間で自然に回復します。
  • ただし一度感染したウイルスは体内に潜伏し、疲れ・ストレス・別の病気・加齢などをきっかけに繰り返し再発することがよくあります。
  • ヘルペス脳炎や重症のサイトメガロウイルス感染症、先天性CMV感染症などは、命に関わったり、後遺症(難聴・発達の遅れなど)を残すことがあります。

「多くは良くなるが、一部は重症化・後遺症のおそれがある」ため、自己判断で様子を見過ぎないことが大切です。

⚫︎ヘルペスウイルス感染症の予防

感染を広げない工夫

  • 水ぶくれやただれがある部位に直接触れない
  • タオル・コップ・歯ブラシ・リップクリームの共有を避ける
  • 症状が出ている間はキスや性行為を控える
  • 咳やくしゃみが出る場合はマスク・咳エチケットを守る

ワクチンによる予防(対象となるもの)

  • 水痘(水ぼうそう)ワクチン:小児期の定期接種として行われています。
  • 帯状疱疹ワクチン:50歳以上を対象にしたワクチンがあり、帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛の予防に用いられます。

現時点では、単純ヘルペスやEBウイルス、サイトメガロウイルスなどに対する一般向けのワクチンは実用化されていません。

妊娠を考えている方・免疫が弱い方の注意

  • 妊娠前に、水ぼうそうにかかったことがない方は、ワクチンについて主治医に相談すると安心です。
  • 免疫力が下がる治療(抗がん剤、ステロイド、免疫抑制薬など)を受けている方は、帯状疱疹やサイトメガロウイルス感染症に注意が必要です。治療前に主治医と予防策を相談してください。

⚫︎ヘルペスウイルス感染症に関連する病気や合併症

単純ヘルペスウイルス関連

口唇ヘルペス、性器ヘルペス、角膜ヘルペス、ヘルペス脳炎、新生児ヘルペス など

水痘帯状疱疹ウイルス関連

水痘、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛

EBウイルス関連

伝染性単核症、慢性活動性EBウイルス感染症、一部の悪性リンパ腫や上咽頭がんなど

⚫︎まとめ

ヘルペスウイルス感染症は、口唇・性器ヘルペスから帯状疱疹、サイトメガロウイルス感染症まで、広範囲な疾患を含むウイルス群です。 ウイルスは初感染後に体内の神経節等に潜伏し、宿主の免疫低下に伴い回帰発症(再発)を繰り返す特性を持ちます。
軽症で経過することが多いものの、病型によっては脳炎や難聴、先天性障害等の重篤な合併症を呈する場合があるため、早期の診断と治療介入が重要です。水痘・帯状疱疹ワクチンの適切な接種や、感染経路(接触・体液)の管理を徹底し、発症および重症化の予防に努めてください。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/03/10
  • 更新日:2026/03/10

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