抗リン脂質抗体症候群(APS)こうりんししつこうたいしょうこうぐん

APSは「抗リン脂質抗体」により血が固まりやすくなり、動脈・静脈の血栓や妊娠合併症を起こす病気です。診断は症状と抗体検査の組み合わせで行い、治療は抗凝固療法や妊娠時のヘパリン+低用量アスピリンが中心です。

⚫︎抗リン脂質抗体症候群(APS)とは?

APSは自己抗体(抗リン脂質抗体)が体内の凝固システムに影響し、血栓ができやすくなる病気です。血栓は脚の静脈、肺、脳、心臓の弁、皮膚などさまざまな場所で起こり、妊娠では流産や早産、胎盤機能不全などの合併症を引き起こします。
単独で発症することも、全身性エリテマトーデス(SLE)など他の自己免疫疾患に合併することもあります。

⚫︎抗リン脂質抗体症候群(APS)の原因

原因は自己抗体の出現です。主な検査対象は

  • 「ループスアンチコアグラント」
  • 「抗カルジオリピン抗体」
  • 「抗β2グリコプロテインI抗体」

の3種類で、同時に複数が陽性(トリプルポジティブ)の方は血栓リスクが高いと考えられます。感染、薬剤、遺伝素因などが関与するとされますが、はっきり分からないことも多いです。

⚫︎抗リン脂質抗体症候群(APS)の症状は?

典型的には、1〜2週間の潜伏期の後、ゆっくり症状がそろってきます。

  • 発熱(ときに高熱)
  • のどの痛み(扁桃が腫れて白い苔がつくことがあります
  • 首のリンパ節の腫れ・痛み
  • 強い倦怠感(つかれやすさ)
  • 肝脾腫による左上腹部の重さ・違和感

⚫︎受診の目安

抗リン脂質抗体症候群(APS)は、血液が固まりやすくなることで血栓症を起こしやすくなる病気です。次のような症状や変化がある場合は注意が必要です。

  • 手足の腫れや痛み、突然の息切れ、胸痛など血栓を疑う症状がある
  • 片側の麻痺、ろれつが回らない、視野の異常など脳梗塞が疑われる
  • 原因不明の流産・早産を繰り返す
  • レース状の皮膚の模様(網状皮斑)が出る
  • 指先が白や紫に変色するレイノー現象が続く

→ こうした症状がある場合は、内科・血液内科・膠原病内科などで血液検査(抗リン脂質抗体の確認)と必要に応じて画像検査を受けましょう。早期診断と適切な治療開始が、再発予防や重い血栓症の回避につながります。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は「臨床所見(血栓・妊娠合併症)」と「検査(抗体の持続陽性)」の組み合わせで行います。治療は血栓の再発予防として抗凝固療法が中心で、妊娠時はヘパリンと低用量アスピリンを組み合わせます。
危険度、合併症、年齢や妊娠希望の有無を踏まえて個別化します。

ステロイドは重度の扁桃腫大による気道狭窄、重い溶血性貧血・血小板減少などの合併症があるときに限って短期間用います。通常、抗ウイルス薬は不要です。

⚫︎抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断

1)問診・診察

血栓症の既往(深部静脈血栓症・肺塞栓症・脳梗塞など)、流産や早産の経験、皮膚症状(網状皮斑)、レイノー現象の有無を丁寧に確認します。また、自己免疫疾患(特に全身性エリテマトーデス)や家族歴、ホルモン剤・喫煙など血栓リスクを高める要因についても詳しく問診します。

2)基礎検査

血算、凝固系検査(PT/aPTT)のほか、腎機能・肝機能・炎症マーカーなどを測定し、他の血栓症の原因や合併症の有無を評価します。特にaPTTの延長はループスアンチコアグラント(LA)を疑う手がかりになります。

3)抗リン脂質抗体の検査

APSの診断に必須で、以下の3種類を測定します。

  • ループスアンチコアグラント(LA)
  • 抗カルジオリピン抗体(aCL)
  • 抗β2グリコプロテインI抗体(抗β2GPI抗体)

いずれも12週以上あけて2回以上陽性であることが診断基準となるため、継続的な検査が必要です。

4)画像検査

血栓の有無を確認するため、症状に応じて超音波検査(下肢静脈)、CT(肺塞栓)、MRI(脳梗塞)などを行います。血栓症の部位や重症度を評価し、治療計画に役立てます。

⚫︎抗リン脂質抗体症候群(APS)の治療

A.初期対応(まずやること/基本方針)

  • 安静・水分・栄養:脱水を避け、食べやすい形で少量を回数多く。
  • 解熱鎮痛:アセトアミノフェン中心。NSAIDsは使用可否を主治医に確認。
  • 抗菌薬:細菌性咽頭炎などの重複感染が疑わしい時のみ。EBVが疑わしい時期はアミノペニシリン系(アモキシシリン等)を避ける。
  • 抗ウイルス薬:通常は不要。重症例や免疫不全で検討。

 B.合併症リスクがある場合の医療介入(重症度対応)

  • ステロイド:気道狭窄、重い血液合併症(溶血性貧血・血小板減少)や重度の肝腫大・強い全身症状で短期投与を検討
  • 支持療法:点滴で水分・電解質補正、肝機能悪化時は負担軽減の指導。二次感染があれば適切に治療。
  • モニタリング:脾腫・肝機能・血算を定期確認。悪化サイン(呼吸苦、黄疸、出血傾向)はすぐ受診。

C. 回復期の管理と復帰(再発・事故予防)

  • 活動・運動制限:少なくとも3週間は激しい運動・接触スポーツを控える。診察や超音波で脾腫の改善を確認しながら段階的に再開。
  • 復帰の目安:解熱し、嚥下痛が軽快、倦怠感が日常生活で許容できること。
  • 入院適応:強い脱水や摂食不能、気道狭窄の疑い、著明な肝障害・血液障害、社会的支援が必要な場合。

⚫︎抗リン脂質抗体症候群(APS)の予後

  • 適切な抗凝固管理と生活面の工夫で、多くの方は再発を抑えながら生活できます。再発リスクは抗体の種類と数、以前の血栓の部位、併存疾患で変わります。
  • 妊娠に関しても、ヘパリンと低用量アスピリンの併用で妊娠継続率が改善することが知られています。高リスク例や劇症型では厳重な管理が必要です。

⚫︎抗リン脂質抗体症候群(APS)の予防

APSそのものを完全に防ぐ方法は分かっていません。いっぽう、合併症の予防は可能です。脱水と喫煙を避け、長時間同じ姿勢を控え、体調変化時は早めに受診します。
ピルなど血栓リスクを上げる薬は自己判断で使わず、妊娠・手術・長距離移動は事前に主治医と計画します。

 

⚫︎抗リン脂質抗体症候群(APS)に関連する病気や合併症

脾腫・脾破裂:左上腹部痛やショックに注意。運動制限が予防の第一歩です。

  • 肝障害・黄疸:肝機能悪化に伴う倦怠感や食欲低下。回復までは飲酒を控えます。
  • 血液の合併症:溶血性貧血や血小板減少。出血傾向や黄疸があれば早めに受診を。
  • 呼吸器合併症:扁桃・咽頭の高度腫脹により気道狭窄を起こすことがあります。
  • 神経合併症:顔面神経麻痺、無菌性髄膜炎など。頭痛・麻痺・項部硬直に注意。
  • EBV関連疾患:慢性活動性EBV感染症(CAEBV)や、一部リンパ増殖性疾患の背景因子となることがあります。症状が長引く・増悪する場合は専門医で評価します。

⚫︎まとめ

感染性単核症(EBウイルス)が原因で、発熱・のどの痛み・首のリンパ節腫れがゆっくり出そろいます。
治療は安静・水分・栄養とアセトアミノフェン中心で、抗菌薬は重複感染時のみ(アミノペニシリン系は発疹に注意)。
脾腫がある間は少なくとも3週間、激しい運動や接触スポーツを控え、診察や超音波で再開時期を判断します。
呼吸苦、強い腹痛(左上腹部)、黄疸、出血が増えるなどの異変があれば、自己判断せず早めに受診してください。

 

 

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/02/25
  • 更新日:2026/02/25

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