慢性リンパ性白血病(CLL)まんせいりんぱせいはっけつびょう

CLLは主に高齢者にみられるB細胞由来の慢性白血病です。無症状で経過観察となることも多く、進行や合併症に応じてBTK阻害薬やベネトクラクス+抗CD20抗体などを選択します。

⚫︎慢性リンパ性白血病(CLL)とは?

CLLは、免疫細胞であるBリンパ球が骨髄や血液、リンパ節でゆっくり増え続ける病気です。進行は緩やかなことが多く、検診の血液検査で白血球(リンパ球)の増加を指摘されて見つかることもしばしばあります。症状がなく日常生活に支障がない段階では、治療をせず定期的に様子を見る「ウォッチ・アンド・ウェイト(待機療法)」が基本です。一方、貧血・感染の増加・リンパ節や脾臓の腫大、体重減少や発熱などが出てくると治療開始を検討します。近年は分子標的薬が普及し、長期の病勢コントロールが期待できる時代になっています。

⚫︎慢性リンパ性白血病(CLL)の原因

CLLは生活習慣が直接の原因となる病気ではありません。多くはB細胞の「設計図(遺伝子)」に生じた偶発的な変化が背景にあると考えられています。代表的な検査所見として、染色体の欠失や再配列(例:del(13q)、del(11q)、del(17p))が見つかることがあり、とくにTP53遺伝子の異常(del(17p)/TP53変異)は薬の効き方や治療選択に大きく関わります。また、B細胞受容体の性質を示す「IGHV遺伝子の変異(変異あり/なし)」も、病気の勢いを見通すうえで重要です。家族に必ず遺伝する病気ではなく、ご本人の努力不足や性格が原因ではありません。

⚫︎慢性リンパ性白血病(CLL)の症状は?

初期は無症状が多く、血液検査のみ異常ということが少なくありません。進行すると次の
ような症状がみられます。

  • リンパ節の腫れ(首・わきの下・足の付け根などの「しこり」)
  • 脾臓や肝臓の腫れによる左上腹部の張り、早期満腹感
  • 貧血によるだるさ、息切れ、動悸、めまい
  • 感染が長引く、繰り返す(発熱・咳・尿路感染など)
  • 皮下出血・鼻血などの出血傾向(血小板減少)
  • 寝汗、原因不明の発熱、体重減少といった全身症状

⚫︎受診の目安

慢性リンパ性白血病(CLL)はゆっくり進行することが多い一方で、気づかないうちに症状が進んでいることがあります。次のような症状がみられたら受診を検討しましょう。

  • 首・わき・そけい部などのリンパ節が腫れている、しこりが大きくなる
  • 倦怠感、めまい、息切れ、動悸などの貧血症状が続く
  • 原因不明の鼻血、歯ぐき出血、あざが増える
  • 鼻血がのどへ流れ込み、血を飲み込んで黒っぽい便(タール便)が出る
  • 風邪をひきやすい、感染症が治りにくい
  • 健康診断で白血球増加や血球異常を指摘された

 

→ こうした症状がある場合は、早めに内科・血液内科を受診し、血液検査や必要に応じて骨髄検査を受けましょう。高齢の方や持病のある方では軽い症状でも進行のサインであることがあるため、早期診断が非常に重要です。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

  • CLLは、血液で成熟したリンパ球の増加を確認しフローサイトメトリーでCD5・CD19・CD23陽性や表面免疫グロブリン弱発現などの特徴を確かめ、骨髄検査やCT(必要に応じて超音波)で広がりを評価してRai病期またはBinet病期で進行度を分類し、さらにFISH法や遺伝子検査でTP53異常やIGHV変異の有無を調べて治療の要否と薬剤選択を決め、症状が
    なければ経過観察・貧血や血小板減少、臓器腫大、発熱・寝汗・体重減少、感染増加が
    あれば治療開始とし、分子標的薬・抗体薬・化学療法を個別に組み合わせながら、感染予防や必要なワクチン、栄養・睡眠、心理的支援といった支持療法を並行して安全に続けます。

●慢性リンパ性白血病(CLL)の診断

1)血液検査

  • 血算(白血球分画、ヘモグロビン、血小板)でリンパ球増多や貧血・血小板減少を確認します。末梢血塗抹標本では小型で成熟したリンパ球やスメア細胞がみられることがあります。

2)フローサイトメトリー

  • 血液(または骨髄)中のB細胞表面マーカーを解析し、CLLに特徴的な免疫表現型を確認します。

3)病期分類と画像

  • 触診と画像(超音波・CT)でリンパ節・肝脾腫を評価し、Rai/Binetで病期を決めます。

4)遺伝学的検査

  • FISH法でdel(13q)、del(11q)、del(17p)などを、遺伝子解析でTP53変異やIGHV変異状態を調べます。これらは予後や薬の選択に直結します。

5)鑑別診断

  • 他のリンパ増殖性疾患(毛様細胞白血病、マントル細胞リンパ腫など)、反応性リンパ球増多との区別を行います。

●慢性リンパ性白血病(CLL)の治療

無症状で血算が安定している場合は経過観察が標準です。貧血(Hb低下)、血小板減少、急速なリンパ球増多、臓器腫大による圧迫、B症状(発熱・寝汗・体重減少)、感染の増加、自己免疫性合併症のコントロール不良などがあれば開始を検討します。

A.BTK阻害薬(一次・再発)

イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブなどは、B細胞受容体シグナルを遮断し病勢を抑えます。TP53異常例や化学療法に弱い方でも有効性が期待でき、近年の第一選択候補です。心房細動、高血圧、出血傾向などの副作用に注意し、定期的に評価します。

B.BCL2阻害薬を含む固定期間療法

ベネトクラクスと抗CD20抗体(オビヌツズマブ等)の組み合わせは、一定期間で終了できる「固定期間治療」として用いられます。開始時は腫瘍崩壊症候群(TLS)予防のため、前処置・段階的増量・十分な水分と厳密な採血モニタリングが必要です。

C.抗CD20抗体+化学療法

  • 年齢・併存症・遺伝子リスクを踏まえ、ベンダムスチン+リツキシマブ(BR)などを選択することがあります。ただしTP53異常例では標的薬が優先される傾向です。

D.自己免疫性合併症の管理

AIHAやITPにはステロイド、必要に応じて免疫抑制薬、抗CD20抗体などを併用します。基礎となるCLLのコントロールも重要です。

⚫︎慢性リンパ性白血病(CLL)の予後

CLLの見通しは個人差が大きく、病期、TP53異常やIGHV変異状態、年齢・併存症、治療への反応などで左右されます。分子標的薬の登場により、これまで難しかった症例でも長期コントロールが現実的となりました。治療で目標とするのは「症状の軽減」「感染・出血の予防」「生活の質の維持」です。再発しても、薬剤の切り替えや組み合わせの変更で次の選択肢があります。

 

⚫︎慢性リンパ性白血病(CLL)の予防

病気そのものを確実に防ぐ方法は分かっていません。いっぽう、合併症を減らし安全に治療を続ける工夫は可能です。

  • 手洗い、うがい、口腔ケアで感染予防を徹底する
  • ワクチン接種は主治医と計画(インフルエンザ、肺炎球菌など。生ワクチンは原則避ける場合あり)
  • 十分な睡眠と栄養、無理のない運動で体力を保つ
  • 発熱、息切れ、出血、黒色便などは早めに受診する
  • 服薬の飲み忘れ防止と相互作用チェックを徹底する
  • 日焼け対策や皮膚の保清で皮膚感染・発疹を予防する

⚫︎慢性リンパ性白血病(CLL)に関連する病気や合併症

  • 自己免疫性溶血性貧血(AIHA):自己抗体で赤血球が壊れ、急な貧血・黄疸を
    来します。
  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP):出血傾向が強まり、点状出血・鼻出血が
    増えます。
  • 感染症:抗体産生低下や治療の影響で、肺炎・帯状疱疹などに
    かかりやすくなります。
  • リヒター転化:CLLがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫などに性質を変える状態。
    発熱・急速な腫大が目印です。
  • 貧血・出血:骨髄浸潤や治療の影響で起こり、息切れ・倦怠感、皮下出血が
    目立ちます。
  • 二次がん:長期経過で別のがんが見つかることがあり、年齢相応のがん検診を
    継続します。
  • 腫瘍崩壊症候群(TLS):ベネトクラクス導入時などに起こり得るため、段階的
    増量とモニタリングが重要です

⚫︎まとめ

CLLはゆっくり進行するB細胞の白血病で、無症状期は経過観察、症状や合併症が出てきたら分子標的薬や抗体薬などを用いて治療します。診断ではフローサイトメトリー、病期分類、FISHや遺伝子検査(TP53、IGHV)が重要で、これらが最適な治療選択につながります。支持療法と生活の工夫を合わせることで、安全に治療を続けながら生活の質を保つことが可能です。体調の変化に気づいたら自己判断せず、早めに主治医へ相談してください。

 

 

 

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/02/24
  • 更新日:2026/02/24

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