骨髄異形成症候群(MDS)こつずいいけいせいしょうこうぐん

骨髄系腫瘍は骨髄系細胞が異常増殖する血液がんの総称。AML・MDS・MPN(CML等)を含み、貧血・感染・出血を来す。診断は血液・骨髄検査、治療は化学療法・分子標的薬・移植。

⚫︎骨髄異形成症候群(MDS)とは?

骨髄系腫瘍は、骨髄(血液をつくる工場)で生まれる骨髄系の細胞が未熟なまま増えたり性質の異常をもったまま増え続ける病気の総称です。代表的なものに

  • 急性骨髄性白血病
  • (AML)骨髄異形成症候群
  • (MDS)骨髄増殖性腫瘍
  • (MPN)真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症など
  • 慢性骨髄性白血病(CML)

が含まれます。

正常な血液細胞(赤血球・白血球・血小板)がつくられにくくなるため、貧血・感染にかかりやすい・出血しやすいといった症状が出ます。病気の勢いは種類によって大きく異なり急性型は数週間〜数か月で進行し、慢性型は年単位でゆっくり進むことがあります。
いずれも早期の診断と適切な治療が大切です。

⚫︎骨髄異形成症候群(MDS)の原因

はっきりした原因が特定できないことが多いですが、共通して血液細胞をつくる設計図
(遺伝子・染色体)の変化が関わっていると考えられています。

  • 偶発的な遺伝子変化:年齢とともに細胞のコピーエラーが蓄積し、がん化の
    きっかけになることがあります。
  • 環境要因:強い放射線や一部の化学物質への長期曝露が関与するとされますが、
    一般的な生活レベルが直ちに発症原因になるわけではありません。
  • 治療関連:別のがん治療(化学療法・放射線療法)後に、時間をおいて
    発症することがあります。

    なお、食事や運動習慣が直接の原因となる病気ではありません。ご自身やご家族を責める必要はありません。

⚫︎骨髄異形成症候群(MDS)の症状は?

骨髄系腫瘍では、正常な造血が妨げられることと腫瘍細胞が増えることの
両面から症状が出ます。

  • 貧血:だるさ、息切れ、動悸、めまい、顔色不良。
  • 白血球の減少(好中球減少):発熱、のどの痛み、咳、細菌・ウイルス・
    真菌の感染を繰り返す。
  • 血小板の減少:鼻血や歯ぐき出血、紫斑(あざ)が増える、月経過多、重症では
    消化管・脳出血。
  • 臓器の腫れ:肝臓・脾臓、リンパ節が腫れてお腹の張りやしこりを
    感じることがあります。
  • 骨痛・関節痛:骨の中で異常増殖が起こると痛みが出ることがあります。
  • 慢性型に特有の症状:多血症では頭痛・ほてり・かゆみ、血小板が多いと血栓症(足の痛み・胸痛・脳梗塞リスク)などがみられます。

⚫︎受診のめやす

骨髄異形成症候群(MDS)は、ゆっくり進行することが多い一方で、早期の評価がとても大切な病気です。次のような症状がある場合は受診を検討しましょう。

  • 疲れやすい・息切れ・動悸など、貧血症状が続く
  • 原因不明のあざ、鼻血、歯ぐきからの出血、月経過多がみられる
  • 風邪をひきやすい、感染症が治りにくい
  • 健康診断で血球減少(赤血球・白血球・血小板の低下)を指摘された

→ こうした場合は早めに内科・血液内科で相談し、血液検査や必要に応じて骨髄検査を受けましょう。早期診断と適切な治療方針の決定が、症状の進行予防や生活の質の維持につながります。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、血液検査の異常を手がかりに、骨髄検査で確定します。
さらに細胞の種類・遺伝子変化を詳しく調べ、病型やリスクを分類します。

治療は病型ごとに異なりますが、急性型では多剤併用化学療法を軸に、必要に応じて分子標的薬や造血幹細胞移植を組み合わせます。慢性型では経過観察から内服治療まで幅があり
血栓予防や症状緩和など支持療法(サポーティブケア)も重要です。

⚫︎骨髄異形成症候群(MDS)の診断

問診・診察

発熱、出血、だるさ、体重減少、かゆみ、腹部の張りなどの症状を確認し、肝臓・脾臓・リンパ節の腫れを診ます。

血液検査

血球数(赤血球・白血球・血小板)や血液塗抹(顕微鏡で形を確認)、溶血・炎症・臓器機能などを評価します。未熟な細胞(芽球)の増加、赤血球や血小板の異常が手がかりです。

骨髄検査(骨髄穿刺・生検)

骨盤の骨から骨髄液を採取し、細胞の割合・形態の異常を調べます。フローサイトメトリーという検査で、細胞の表面マーカーから「骨髄系」であることを確認します。

遺伝子・染色体検査

病気のタイプ分けや治療選択、将来の見通し(予後)に直結します。慢性型では特定の融合遺伝子が見つかる場合があり、急性型・MDSでは複数の遺伝子変化が関与します。

画像検査・その他

胸部X線、腹部エコー、CTなどで臓器の腫れや合併症をチェックします。必要に応じて凝固機能や栄養状態も評価します。

ポイント:診断は「病名を決める」だけでなく、治療の強さ・薬の選択・移植の適応まで見通すための作業です。

⚫︎骨髄異形成症候群(MDS)の治療

病型・年齢・体力・遺伝子変化・合併症の有無によって治療は大きく変わります。
代表的な方針を整理します。

A.急性骨髄性白血病(AML)

  • 基本:多併用化学療法を段階的に行います(寛解導入→地固め→維持等)
  • 分子標的治療:特定の遺伝子異常がある場合、がんの弱点を狙う薬を併用することがあります。
  • 造血幹細胞移植:高リスクや再発例で検討します。合併症の可能性もあるため
    適応判断と事前説明が重要です。

B.骨髄異形成症候群(MDS)

  • 支持療法:赤血球・血小板輸血、感染対策、発熱時の迅速な対応など。
  • 薬物療法:造血を助ける治療や、がんの性質に働きかける治療を選択します。
  • 移植:高リスク例や若年者では根治を目指して検討されます。

C.骨髄増殖性腫瘍(MPN:真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症)

  • 血栓・出血対策:血液の濃さや血小板数を調整し、生活習慣病の管理も含め血管イベントの予防に力を入れます。
  • 薬物療法:症状や血算のコントロール、脾腫の軽減を目的に選択します。
  • 骨髄線維症では、貧血・脾腫・全身症状への対応が中心となり、条件が合えば移植を検討します。

D.慢性骨髄性白血病(CML)

  • 分子標的治療(内服)が第一選択で、適切に内服を継続できると長期に病勢を抑えることが期待できます。
  • 治療反応は定期的な遺伝子検査で評価し、必要に応じて薬剤を切り替えます。

支持療法(サポーティブケア)

  • 感染予防:手洗い・うがい、必要時の予防投薬、発熱時の早期受診。
  • 輸血:貧血や血小板減少に対して赤血球・血小板輸血。
  • 症状緩和:吐き気・口内炎・便秘/下痢・皮膚トラブルのケア。
  • 栄養・運動・心理社会的支援:体力維持と生活の質(QOL)を守る支援。学校・仕事との両立支援も含みます。

⚫︎骨髄異形成症候群(MDS)の予後

予後は病型・年齢・全身状態・遺伝子変化・治療への反応で大きく変わります。

  • 急性型:早期に適切な強度の治療を行い、微小残存病変(MRD)の陰性化を目標にします。高リスクでは移植の検討が重要です。
  • 慢性型:薬物療法の進歩により、長期管理が可能になっています。
  • 合併症(血栓症・出血・感染など)の予防と早期対応が鍵です。

再発時も治療の選択肢はあり、治療の組み合わせや新規薬剤、移植を含めて主治医と相談しながら方針を見直します。

⚫︎骨髄異形成症候群(MDS)の予防

骨髄系腫瘍は生活習慣病とは異なり、確実に発症を防ぐ方法は分かっていません。ただし、治療中・治療後の感染予防と合併症予防は重要です。

  • 基本の感染対策:手洗い・うがい、必要に応じたマスク。
  • 予防接種:主治医と相談のうえ、時期・種類を調整して実施します。
  • 生活管理:十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、口腔ケア。
  • 血栓予防(MPN等):脱水を避ける、長時間の同一姿勢を避ける、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙など)の是正。

⚫︎骨髄異形成症候群(MDS)に関連する病気や合併症

  • 感染症:白血球減少や治療の影響で重症化しやすいことがあります。
  • 出血・血栓症:血小板の異常や血液の濃さの異常により、出血しやすさや血管のつまり(心筋梗塞・脳梗塞・深部静脈血栓など)が起こることがあります。
  • 腫瘍崩壊症候群:強い治療で腫瘍が一気に壊れる際、電解質異常や腎障害を来すことがあります。予防と監視が重要です。
  • 脾腫による症状:食後の早期満腹感、左上腹部の張りや痛み。
  • 貧血に伴う臓器負担:心不全や息切れの悪化。
  • 二次がん/治療関連合併症:まれに長期の経過で発生することがあります。
  • 心理社会的な影響:不安・抑うつ・就学就労の課題など。医療者・心理士・ソーシャルワーカーと連携して支援します。

⚫︎まとめ

骨髄系腫瘍は、骨髄で血液をつくる仕組みに異常が起こる病気の総称で、AML・MDS・MPN・CMLなどが含まれます。共通して貧血・感染・出血が生じやすく病型ごとに治療の戦略が異なるため、骨髄検査と遺伝子・染色体検査による正確な病型分類とリスク評価が要となります。

急性型では段階的な化学療法や移植、慢性型では分子標的薬や血栓予防を中心とした長期管理が重要です。治療の進歩により見通しは改善しており、支持療法と生活面の工夫で安全に治療を続けることができます。気になる症状が続くときは自己判断せずに早めの受診をおすすめします。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

内科の診療を受ける

クラウドドクターは24時間365日対応。 風邪・腹痛・喉の痛み・吐き気などの急な体調不良に。

現在の待ち時間

3

クラウドドクターの
オンライン診療

クラウドドクターのオンライン診療

クラウドドクターでは、問診内容を元に全国から適したドクターがマッチングされ、あなたの診療を行います。診療からお薬の処方までビデオ通話で受けられるため、お忙しい方にもおすすめです。

  • 24時間365日
    いつでも診療OK
  • 保険診療が
    ご利用可能
  • お近くの薬局やご自宅で
    お薬の受取り可能

■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/02/17
  • 更新日:2026/02/24

即時、あなたに適した
ドクターをマッチング

現在の待ち時間

3