気管支炎とは?症状・原因・治療法・受診目安を医師監修で解説きかんしえん
気管支炎は、気管支の粘膜に炎症が起こり、咳や痰、発熱、喉の痛みなどの症状を引き起こす病気です。 風邪をひいた後に咳だけが長く続き、「気管支炎かもしれない」と不安になる方も少なくありません。また、「人にうつるの?」「何日くらいで治る?」「抗生物質は必要?」と疑問に思う方も多いでしょう。 気管支炎には、ウイルス感染などが原因で一時的に発症する急性気管支炎と、喫煙や大気汚染などが原因で長期間症状が続く慢性気管支炎があります。それぞれ原因や治療法、経過が異なるため、適切な対応を知ることが大切です。 この記事では、気管支炎の症状や原因、治療法をはじめ、人にうつるのか、何日で治るのか、受診の目安や予防法まで、医師監修のもと分かりやすく解説します。
気管支炎とは?
気管支炎とは、気管から肺へと空気を通す気管支の粘膜に炎症が生じることで、咳や痰、発熱などの症状を引き起こす疾患です。気管支炎は主に「急性気管支炎」と「慢性気管支炎」に分類され、それぞれ原因や経過が異なります。
急性気管支炎は、風邪の延長として起こることが多く、ウイルス感染が主な原因です。一時的な発熱や咳、喉の痛みがみられ、多くは自然治癒しますが、咳が2週間以上続くこともあります。
一方、慢性気管支炎は3か月以上持続する咳や痰の症状が、2年以上にわたって毎年発生する場合に診断される疾患で、喫煙や大気汚染などの長期的な刺激が関与しています。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一部としても位置付けられ、進行すると呼吸機能の低下を招くことがあります。
気管支炎は多くの場合、命に関わる疾患ではありませんが、症状が長引く、悪化する、基礎疾患があるといった場合には、早期の医療機関受診が推奨されます。
急性気管支炎とは
急性気管支炎は、ウイルスや細菌などの感染によって気管支に炎症が起こる病気です。特に、インフルエンザウイルスやライノウイルス、RSウイルスなどが原因となるケースが多く、風邪に続いて発症することも少なくありません。
主な症状は次のとおりです。
- 咳
- 痰
- 発熱
- 喉の痛み
- 倦怠感
- 胸の違和感
初めは乾いた咳が続き、その後、痰を伴う咳へ変化することがあります。多くの場合は自然に改善しますが、咳だけが2~3週間ほど続くこともあります。
慢性気管支炎とは
慢性気管支炎とは、3か月以上続く咳や痰の症状が2年以上繰り返される状態を指します。
最も大きな原因は喫煙です。長年たばこの煙を吸い続けることで気管支の粘膜に慢性的な炎症が起こり、咳や痰が続くようになります。また、大気汚染や粉じん、化学物質などを長期間吸い込むことも発症の原因です。
慢性気管支炎では、朝方に痰が多く出たり、体を動かしたときに息切れを感じたりすることがあります。症状が進行すると呼吸機能が低下し、COPDへ進行する可能性もあるため、禁煙や適切な治療を継続することが大切です。
気管支炎と風邪・肺炎・気管支喘息との違い
咳が続く場合、「風邪なのか、気管支炎なのか分からない」と感じる方も少なくありません。症状が似ている病気もありますが、原因や治療法は異なります。
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病気 |
主な症状 |
特徴 |
|
風邪 |
鼻水、喉の痛み、咳、発熱 |
多くは数日で改善し、上気道の炎症が中心 |
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気管支炎 |
咳、痰、胸の違和感、発熱 |
気管支に炎症が起こり、咳が2~3週間続くこともある |
|
肺炎 |
高熱、強い咳、息苦しさ、胸の痛み |
肺に炎症が広がった状態で、重症化しやすい |
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気管支喘息 |
咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)、息苦しさ |
気道が狭くなる病気で、症状を繰り返しやすい |
特に、高熱が続く、呼吸が苦しい、血の混じった痰が出る場合は、肺炎など別の病気が隠れている可能性もあります。自己判断せず、早めに呼吸器内科や内科を受診しましょう。
気管支炎の原因
気管支炎の原因は、急性気管支炎と慢性気管支炎で異なります。急性気管支炎は主にウイルス感染によって起こる一方、慢性気管支炎は喫煙や大気汚染など、長期間にわたって気管支へ刺激が加わることが主な原因です。それぞれの特徴を理解することで、適切な治療や予防につながります。
急性気管支炎の原因
急性気管支炎は、ウイルス感染によって発症するケースがほとんどです。風邪やインフルエンザに続いて発症することが多く、気管支の粘膜に炎症が起こることで咳や痰などの症状が現れます。
主な原因は次のとおりです。
- ウイルス感染(インフルエンザウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど)
- 細菌感染(マイコプラズマ、百日咳菌、肺炎球菌など)
- 刺激物の吸入(たばこの煙、化学物質、粉じん、ほこりなど)
急性気管支炎の約9割はウイルスが原因とされており、抗菌薬(抗生物質)が必要になるケースは多くありません。ただし、細菌感染が疑われる場合や、高熱が続く場合、基礎疾患がある場合などは、抗菌薬による治療が行われることがあります。
慢性気管支炎の原因
慢性気管支炎は、気管支に長期間刺激が加わることで慢性的な炎症が続く病気です。特に喫煙は最大の危険因子とされており、長年喫煙を続けることで気管支の粘膜が傷つき、咳や痰が慢性化します。
主な原因は以下のとおりです。
- 喫煙(受動喫煙を含む)
- 大気汚染や粉じん、化学物質への長期間の曝露
- 気道感染の繰り返し
- 職業上の粉じんやガスの吸入
慢性気管支炎は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一つとして位置付けられています。進行すると息切れや呼吸困難が現れ、日常生活に支障をきたすこともあります。
症状の進行を防ぐためには、禁煙をはじめ、原因となる環境要因をできるだけ取り除くことが重要です。咳や痰が長期間続く場合は、自己判断せず呼吸器内科や内科を受診し、適切な診断を受けましょう。
気管支炎の
気管支炎では、咳や痰が代表的な症状です。しかし、急性気管支炎と慢性気管支炎では症状の現れ方や経過が異なります。また、高齢者や持病のある方では重症化しやすいため、注意が必要です。
急性気管支炎の主な症状
急性気管支炎では、風邪の症状に続いて咳が悪化するケースが多くみられます。発症初期は乾いた咳が続き、その後、痰を伴う咳へ変化することが一般的です。
主な症状は以下のとおりです。
- 乾いた咳や痰を伴う咳
- 白色や黄色の痰
- のどの痛み
- 微熱から38℃程度の発熱
- 倦怠感や頭痛
- 胸の違和感や軽い息苦しさ
ウイルス性の急性気管支炎では、発熱などの症状は数日で改善することが多い一方、咳だけは2〜3週間ほど続くことがあります。夜間や会話中に咳が出やすくなり、睡眠や日常生活に支障をきたす場合もあります。
慢性気管支炎の主な症状
慢性気管支炎は、咳や痰が長期間続くことが特徴です。特に朝起きたときに痰が多く出る傾向があり、症状は徐々に進行します。
主な症状は次のとおりです。
- 慢性的な咳
- 痰が続く
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)
- 階段や坂道での息切れ
- 呼吸がしづらい
- 寒い時期や感染症で症状が悪化しやすい
慢性気管支炎はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と関連が深く、進行すると少しの動作でも息苦しさを感じるようになることがあります。
高齢者・子どもの症状の特徴
高齢者や子どもでは、典型的な症状が現れないことがあります。
高齢者では咳や発熱が目立たず、
- 食欲がない
- 元気がない
- ぼんやりしている
- 呼吸が浅く速い
といった全身症状が先に現れることも少なくありません。
一方、小さな子どもでは、自分で症状をうまく伝えられないため、
- 咳が止まらない
- ミルクや食事がとれない
- 呼吸が苦しそう
- 顔色が悪い
などの様子がみられた場合は注意が必要です。
高齢者や乳幼児は肺炎へ進行しやすいため、症状が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
合併症の可能性
気管支炎は多くの場合、適切な治療や安静によって改善します。しかし、症状が長引いたり重症化したりすると、別の病気を合併することがあります。
主な合併症には次のようなものがあります。
- 肺炎
- 気管支喘息
- COPDの悪化
- 副鼻腔炎
- 中耳炎
特に高齢者や基礎疾患のある方では、肺炎へ進行すると入院が必要になる場合もあるため注意が必要です。
すぐに受診したほうがよい症状
気管支炎と思われる症状でも、次のような場合は早めに医療機関を受診しましょう。
- 38℃以上の高熱が続く
- 息苦しさや呼吸困難がある
- 血の混じった痰が出る
- 咳が3週間以上続く
- 胸の強い痛みがある
- 高齢者や持病があり症状が悪化している
これらの症状は、肺炎や気管支喘息、肺結核、肺がんなど、気管支炎以外の病気が隠れている可能性もあります。
症状が改善しない場合や悪化している場合は、自己判断で様子を見続けず、呼吸器内科や内科を受診し、適切な検査や治療を受けることが大切です。
気管支炎は人にうつる?
「気管支炎は人にうつるの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、気管支炎そのものがうつるわけではありません。ただし、急性気管支炎の原因となるウイルスや細菌は、人から人へ感染することがあります。
一方、慢性気管支炎は喫煙や大気汚染などが原因となるため、他の人にうつることはありません。
急性気管支炎の場合
急性気管支炎は、インフルエンザウイルスやRSウイルス、ライノウイルスなどの感染が原因となることが多く、原因となるウイルスや細菌が飛沫感染や接触感染によって広がる可能性があります。
例えば、咳やくしゃみで飛び散った飛沫を吸い込んだり、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れたりすることで感染することがあります。
ただし、感染したすべての人が気管支炎を発症するわけではありません。風邪症状だけで終わる場合もあれば、体力や免疫力が低下している人では気管支炎へ進行することもあります。
急性気管支炎が疑われる場合は、症状が落ち着くまでは周囲への感染を防ぐための対策を心がけましょう。
慢性気管支炎の場合
慢性気管支炎は、長年の喫煙や受動喫煙、大気汚染、粉じんなどによる慢性的な刺激によって発症する病気です。
そのため、慢性気管支炎自体が他の人へ感染することはありません。
ただし、慢性気管支炎の方が風邪やインフルエンザなどに感染すると症状が悪化しやすく、細菌感染を合併することもあります。呼吸機能が低下している方ほど重症化しやすいため、日頃から感染予防を心がけることが大切です。
家族や周囲へ感染を広げないための対策
急性気管支炎では、原因となるウイルスや細菌を周囲へ広げないようにすることが重要です。
感染予防のためには、次のような対策を心がけましょう。
- 手洗いや手指消毒をこまめに行う
- 咳やくしゃみが出るときはマスクを着用する
- 咳エチケットを守る
- 部屋の換気を定期的に行う
- 十分な睡眠や栄養をとり、体調を整える
また、高齢者や乳幼児、妊婦、基礎疾患のある方は感染すると重症化しやすいため、症状がある間はできるだけ接触を控えるようにしましょう。
気管支炎の診断方法と治療方法
気管支炎が疑われる場合は、症状や経過、検査結果をもとに診断を行います。特に咳が長引く場合や高熱、息苦しさを伴う場合は、肺炎や気管支喘息など他の病気との鑑別が重要です。
診断
医師は、まず症状や既往歴、喫煙歴などを確認したうえで診察を行います。必要に応じて以下のような検査を実施します。
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検査 |
内容 |
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問診 |
咳や痰の期間、発熱、喫煙歴、持病などを確認 |
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聴診 |
呼吸音を聞き、喘鳴やラ音の有無を確認 |
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胸部X線検査 |
肺炎や胸水など他の病気との鑑別 |
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血液検査 |
炎症の程度や細菌感染の可能性を確認 |
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呼吸機能検査 |
COPDや気管支喘息との鑑別(慢性例) |
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痰の検査 |
細菌感染が疑われる場合に原因菌を調べる |
急性気管支炎では検査を行わず、症状や診察だけで診断されることも少なくありません。一方で、咳が長引く場合や重症例では、胸部X線検査や血液検査などを行い、肺炎や他の呼吸器疾患がないか確認します。
治療
気管支炎の治療は、急性か慢性かによって異なります。
急性気管支炎では、原因の多くがウイルス感染のため、症状を和らげる対症療法が中心です。
主な治療には次のようなものがあります。
- 解熱鎮痛薬
- 鎮咳薬
- 去痰薬
- 気管支拡張薬(必要に応じて)
- 水分補給や十分な休養
一方、慢性気管支炎では、禁煙が最も重要な治療となります。
症状に応じて、去痰薬や気管支拡張薬、吸入薬などを使用し、必要に応じてインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種も推奨されます。
症状が改善しない場合や呼吸機能の低下がみられる場合は、継続的な治療や定期的な経過観察が必要です。
抗生物質(抗菌薬)は必要?
急性気管支炎は、ほとんどがウイルス感染によって起こるため、抗生物質(抗菌薬)は原則として必要ありません。
抗菌薬は細菌に対して効果を発揮する薬であり、ウイルスには効果がないためです。不要な抗菌薬の使用は、副作用や薬剤耐性菌の原因となることがあります。
ただし、次のような場合には細菌感染が疑われ、抗菌薬が処方されることがあります。
- 高熱が続く
- 黄色や緑色の痰が多い
- 血液検査で細菌感染が疑われる
- 高齢者や基礎疾患があり重症化のリスクが高い
抗菌薬が必要かどうかは自己判断せず、医師の診察を受けて判断してもらいましょう。
市販薬は使える?
軽症の急性気管支炎では、市販薬で咳や痰などの症状が和らぐ場合があります。
市販薬には、鎮咳薬や去痰薬、解熱鎮痛薬などがありますが、気管支炎そのものを治す薬ではありません。
市販薬を使用しても、
- 咳が3週間以上続く
- 息苦しさがある
- 高熱が続く
- 血の混じった痰が出る
といった場合は、市販薬だけで様子を見続けず、医療機関を受診することが大切です。
また、小さな子どもや高齢者、妊娠中の方、持病のある方は使用できる薬が限られるため、市販薬を使用する前に医師や薬剤師へ相談しましょう。
気管支炎は何日で治る?予後について
気管支炎が治るまでの期間は、急性気管支炎か慢性気管支炎かによって異なります。
急性気管支炎は適切な休養と治療によって改善することが多い一方、慢性気管支炎は長期間にわたって症状が続くため、継続的な治療や生活習慣の改善が必要です。
急性気管支炎の予後
急性気管支炎は、多くの場合1〜3週間程度で改善します。
発熱や喉の痛みなどの症状は数日で落ち着くことが多いものの、咳だけは気管支の炎症が治まるまで続くため、2〜3週間ほど長引くことも珍しくありません。
また、体力や免疫力が低下している方や高齢者では、回復までに時間がかかる場合があります。
症状が改善してきても、十分な睡眠や水分補給を心がけ、無理をしないことが早期回復につながります。
慢性気管支炎の予後
慢性気管支炎は、急性気管支炎のように短期間で治る病気ではありません。
喫煙や大気汚染などの原因が続くと炎症も慢性化し、咳や痰を繰り返すようになります。
しかし、禁煙や適切な治療を継続することで症状の悪化を抑え、生活の質(QOL)の維持が期待できます。
一方で、治療を受けずに放置すると気道の障害が進行し、**COPD(慢性閉塞性肺疾患)**へ進行することもあります。
そのため、慢性的な咳や痰が続く場合は、症状が軽くても早めに呼吸器内科や内科を受診することが大切です。
咳だけ長引く場合
気管支炎では、熱や倦怠感が治まった後も咳だけが数週間続くことがあります。
これは、炎症によって気管支が刺激に敏感な状態になっているためです。
会話や運動、冷たい空気などの刺激によって咳が出やすくなることもありますが、多くの場合は時間の経過とともに改善します。
ただし、次のような場合は気管支炎以外の病気が隠れている可能性もあります。
- 咳が3週間以上続く
- 咳が悪化している
- 夜間の咳が強い
- 息苦しさを伴う
- 血の混じった痰が出る
気管支喘息や咳喘息、肺炎、肺結核、肺がんなどが原因となることもあるため、症状が長引く場合は医療機関で相談しましょう。
注意すべきケース
気管支炎は比較的軽症で済むことが多い病気ですが、次のような方は重症化する可能性があるため注意が必要です。
- 高齢者
- 乳幼児
- 妊娠中の方
- COPDや喘息など呼吸器疾患がある方
- 心臓病や糖尿病などの持病がある方
- がん治療中など免疫力が低下している方
また、39℃近い高熱が続く、呼吸が苦しい、胸の痛みが強い、意識がもうろうとするといった症状がある場合は、肺炎など重篤な病気の可能性も考えられます。
自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関を受診しましょう。
気管支炎の予防方法
気管支炎を予防するには、ウイルスや細菌への感染を防ぐことに加え、気管支への刺激をできるだけ減らすことが大切です。
特に、喫煙は慢性気管支炎の最大の危険因子とされているため、禁煙は最も効果的な予防法の一つです。
感染症の予防
急性気管支炎の多くはウイルス感染が原因です。
感染を防ぐためには、日頃から次のような対策を心がけましょう。
- 手洗いや手指消毒を徹底する
- マスクを着用する
- 咳エチケットを守る
- 人混みでは感染対策を意識する
- インフルエンザや肺炎球菌ワクチンを接種する
体調が優れないときは無理をせず、十分な休養をとることも大切です。
生活環境の改善
乾燥した空気やほこり、たばこの煙は気管支へ負担をかけます。
室内環境を整えることで、気管支への刺激を減らすことができます。
- 定期的に換気を行う
- 加湿器などで適度な湿度を保つ
- 部屋を清潔に保ち、ほこりをためない
- 受動喫煙を避ける
特に冬場は空気が乾燥しやすいため、湿度は40〜60%程度を目安に保つとよいでしょう。
生活習慣の見直し
免疫力を維持することも、気管支炎の予防につながります。
日頃から次のような生活を心がけましょう。
- 禁煙する
- バランスのよい食事をとる
- 十分な睡眠を確保する
- 適度に運動する
- 疲労やストレスをためない
健康的な生活習慣を続けることで、感染症にかかりにくい体づくりにつながります。
職場環境の整備(職業性気管支炎の予防)
粉じんや化学物質を扱う職場では、気管支へ刺激が加わりやすくなります。
職業性気管支炎を防ぐためには、次のような対策が重要です。
- 防じんマスクなどの保護具を着用する
- 作業場の換気を徹底する
- 労働安全衛生基準を守る
- 定期的に健康診断を受ける
気管支への刺激を減らすことで、慢性的な炎症や呼吸機能の低下を予防できます。
気管支炎で病院を受診する目安
気管支炎の多くは安静や対症療法で改善しますが、症状によっては早めの受診が必要です。特に、高齢者や乳幼児、持病のある方は重症化しやすいため、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。
早めに受診したほうがよい症状
次のような症状がある場合は、呼吸器内科または内科を受診することをおすすめします。
- 咳が3週間以上続いている
- 38℃以上の発熱が続く
- 黄色や緑色の痰が増えてきた
- 息切れや息苦しさがある
- 胸の痛みを伴う
- 食事や睡眠に支障が出るほど咳が続く
これらの症状は、肺炎や気管支喘息、COPDなど、気管支炎以外の病気が原因となっている可能性もあります。
緊急受診が必要な症状
次のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 呼吸が苦しく会話が難しい
- 血の混じった痰が出る
- 唇や顔色が青紫色になっている
- 強い胸の痛みがある
- 意識がもうろうとしている
- 高熱と呼吸困難が同時にみられる
これらは重症の肺炎や呼吸不全など、早急な治療が必要な病気の可能性があります。
関連する病気や合併症
気管支炎は適切な治療によって改善することがほとんどですが、症状が長引いたり重症化したりすると、ほかの呼吸器疾患を合併することがあります。
肺炎
気管支炎から細菌感染が広がると、肺まで炎症が及び肺炎を発症することがあります。
高熱や強い息苦しさ、胸の痛みなどが現れた場合は、肺炎の可能性も考えられるため早めの受診が必要です。
気管支喘息
気管支喘息では、気道が慢性的に炎症を起こし、発作的な咳や喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという音)、息苦しさが繰り返し現れます。
気管支炎と症状が似ているため、咳が長引く場合は鑑別が重要です。
気管支拡張症
気管支拡張症は、気管支が広がって元に戻らなくなる病気です。
慢性的な咳や大量の痰が続き、感染を繰り返しやすくなります。長期間症状が続く場合には、CT検査などで詳しく調べることがあります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
慢性気管支炎はCOPDの病態の一つです。
長年の喫煙によって気道が狭くなり、息切れや慢性的な咳・痰が続きます。
早期に禁煙や治療を開始することで、進行を遅らせられる可能性があります。
無気肺
気管支に痰が詰まることで肺の一部が十分に膨らまなくなる状態を無気肺といいます。
高齢者や術後の患者さんなどで起こりやすく、感染症を合併することもあるため注意が必要です。
気管支炎についてのよくある質問
気管支炎は自然に治りますか?
急性気管支炎はウイルス感染が原因であることが多く、安静や水分補給などの対症療法によって自然に改善するケースがほとんどです。ただし、高熱や息苦しさがある場合、症状が長引く場合は医療機関を受診しましょう。
気管支炎は仕事や学校を休んだほうがよいですか?
発熱や強い咳がある場合は、無理をせず自宅で安静に過ごすことが大切です。また、急性気管支炎の原因となるウイルスは周囲へ感染する可能性があるため、症状が落ち着くまでは出勤・登校を控えることが望ましいでしょう。
気管支炎のときはお風呂へ入っても大丈夫ですか?
熱がなく体調が安定していれば、短時間の入浴は問題ありません。ただし、高熱がある場合や息苦しさが強い場合は、体への負担となるため控えましょう。
気管支炎のときは運動しても大丈夫ですか?
症状がある間は安静を心がけましょう。運動をすると咳が悪化したり、回復が遅れたりすることがあります。症状が改善してから、少しずつ普段の生活に戻すようにしてください。
咳だけ長く続くのはなぜですか?
気管支の炎症が治まった後も、気道が刺激に敏感な状態になることで咳だけが続くことがあります。
ただし、3週間以上咳が続く場合は、咳喘息や肺炎、COPD、肺結核など別の病気が隠れている可能性もあるため、一度医療機関で相談しましょう。
気管支炎の正しい知識を身につけよう
気管支炎は、気管支に炎症が起こることで咳や痰などの症状が現れる病気です。急性気管支炎はウイルス感染が原因となることが多く、多くは1〜3週間ほどで改善します。一方、慢性気管支炎は喫煙や大気汚染などが原因で、長期的な治療や生活習慣の見直しが必要です。
咳が長引く、高熱が続く、息苦しさがある、血の混じった痰が出るといった症状がある場合は、肺炎や気管支喘息など別の病気が隠れている可能性もあります。自己判断で放置せず、早めに呼吸器内科や内科を受診しましょう。
また、手洗いやマスクの着用、禁煙、十分な睡眠などを心がけることで、気管支炎の予防や再発防止につながります。症状が気になる場合は早めに医療機関へ相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
- 日本呼吸器学会「呼吸器感染症診療ガイドライン」(https://www.jrs.or.jp/)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「気管支炎」(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「急性気管支炎」(https://kennet.mhlw.go.jp/home)
■ この記事を監修した医師
石井 誠剛医師 イシイ内科クリニック
近畿大学 医学部 卒
近畿大学医学部卒後、済生会茨木病院で研修を行い、日本生命病院で救急診療科、総合内科勤務。
その後、近畿中央呼吸器センターで勤務後、西宮市立中央病院呼吸器内科で副医長として勤務。
イシイ内科クリニックを開設し、地域に密着し、 患者様の気持ちに寄り添った医療を提供。
日本生命病院では総合内科医として様々な内科診療に携わり、近畿中央呼吸器センターでは呼吸器の専門的な治療に従事し、 西宮市立中央病院では呼吸器内科副医長として、地域医療に貢献。
抗加齢学会専門医として、アンチエイジングだけを推し進めるのではなく、適切な生活指導と内科的治療でウェルエイジングを提供していくことを目指している。
- 公開日:2025/07/08
- 更新日:2026/08/03
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