音声・言語障害おんせい・げんごしょうがい

音声・言語障害は、声の出し方やことばの理解・表現に問題が生じ、会話がしにくくなる状態の総称です。原因やタイプはさまざまですが、早めに専門医や言語聴覚士に相談することで、リハビリや環境調整などにより、コミュニケーションしやすさを取り戻せる可能性があります。

目次

⚫︎音声・言語障害とは?

音声・言語障害は、「声そのものの問題」と「ことばの理解・表現の問題」が原因で、話したり相手の話を理解したりすることが難しくなる状態の総称です。

音声障害

声が出にくい、声がかすれる、小さくなるなど、声帯や喉のトラブルによる障害です。

言語障害

「聞く」「話す」「読む」「書く」といった言葉の機能がうまく働かない状態で、失語症(脳卒中後など)やことばの発達の遅れなどが含まれます。

構音障害

舌やくちびるなどの動きがうまくいかず、「ら行が言えない」「呂律が回らない」など、発音がはっきりしない状態です。

場面緘黙(ばめんかんもく)など心理的要因によるもの

家では話せるのに、学校や職場など特定の場面では強い緊張や不安から声が出なくなる状態も、広い意味で「話すことの障害」として扱われます。

このように、音声・言語障害は「一つの病気」ではなく、原因や症状の異なる複数の障害によって引き起こされる病気です。

⚫︎音声・言語障害の原因

音声・言語障害の主な原因には次のようなものがあります。

脳の病気やけが

脳梗塞・脳出血などの脳卒中、頭部外傷、脳腫瘍、脳炎などで、大脳の「言葉をつかさどる部分」が障害され、失語症や構音障害が起こります。

声帯や喉の病気・声の酷使

声帯ポリープ、声帯結節、反回神経麻痺、喉頭がん、長期間の声の酷使などにより、声が枯れる・出にくいといった音声障害が生じます。

口唇・舌・口蓋など発音に関わる器官の問題

舌の運動障害、口蓋裂(生まれつき上あごに裂け目がある状態)、脳性まひなどで、構音障害(発音が不明瞭になる)が起こります。

発達に関連するもの

ことばの発達の遅れ、発達障害(自閉スペクトラムなど)、吃音などは、幼児期から音声・言語に関する困りごととして現れることがあります。

⚫︎音声・言語障害の症状は?

症状は原因やタイプにより様々ですが、代表的なものは次の通りです。

声に関する症状

声がかすれる・出にくい・小さくなる、長く話すとすぐ声が疲れる、高い声や低い声が出しにくい、など。

発音に関する症状(構音障害など)

呂律が回りにくい、話し方がはっきりしない、特定の音(さ行・ら行など)が言いにくい、ことばが途切れ途切れになる、といった症状です。

ことばの理解・表現に関する症状(失語症など)

相手の話がわかりにくい、言いたいことが言葉にならない、ことばが出てこない、話がまとまらない、文字が読みにくい・書きにくいといった困りごとが出ます。

話し方のリズムの問題(吃音など)

ことばの最初の音が繰り返される(「わ、わ、わたし」)、音が引き延ばされる(「わーーたし」)、詰まって出ないなど、滑らかに話すことが難しくなります。

⚫︎受診の目安

次のような場合は、早めに医療機関への相談をおすすめします。

  • 声が枯れた状態が2週間以上続く、声が出しにくい状態が長引く
  • 話し方が急に不明瞭になった、呂律が回らなくなった
  • 相手の話がわかりにくい、言いたいことがうまく言葉にならない
  • 子どものことばの発達が気になる(言葉が出るのが遅い、発音がいつまでも幼い
  • ことばがつまる・繰り返すなど吃音が目立ち、本人が困っている

特に、「急に話し方がおかしくなった」「片側の手足が動きにくい・しびれる」「急な激しい頭痛・めまいを伴う」などの場合は、脳卒中など緊急性の高い病気の可能性もあるため、救急受診を含め早めの対応が重要です。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

音声・言語障害の診断と治療は、原因・症状・年齢によって大きく異なります。

  • 医師(耳鼻咽喉科、脳神経内科、脳神経外科、小児科、リハビリ科など)が、病気そのものの診断と治療方針を決める

  • 言語聴覚士(ことばと飲み込みのリハビリの専門職)が、声・ことば・聞こえ・飲み込みの状態を詳しく評価し、訓練内容を組み立てる

というチーム医療で進めることが一般的です。

⚫︎音声・言語障害の診断

1)問診・診察

  • いつから、どのような場面で困っているか
  • 声の枯れ、発音のしづらさ、ことばの理解・読み書きの様子
  • 突然か徐々にか、症状の変動の有無(波があるかどうか)

2)耳鼻咽喉科的・神経学的検査

  • 喉頭内視鏡検査で声帯の動きやポリープの有無を確認
  • 聴力検査で聞こえの状態を評価
  • 手足の筋力・感覚・バランス・眼の動きなどをチェックして、脳の病気の有無を確認します

3)言語・音声機能の評価(言語聴覚士による検査)

  • 発音(構音)の明瞭さ
  • 話す速さ・リズム(吃音の有無など)

4)画像検査など

  • 脳卒中や腫瘍が疑われる場合には、頭部CTやMRI
  • 頭部外傷や中耳炎・側頭骨骨折が疑われる場合には、頭蓋骨・側頭骨の画像検査

などを行い、原因疾患を明らかにします。

⚫︎音声・言語障害の治療

A. 初期対応(まずやること/基本方針)

  • 緊急性の高い病気(脳卒中や重い感染症など)の有無を早期に確認する
  • 声やことばの症状について、本人・ご家族にわかりやすく説明し、不安を和らげる
  • 必要に応じて、早い段階から言語聴覚士による評価とリハビリを開始する

声が出にくくても、「少し休めば治るだろう」と放置せず、まず原因を調べることが大切です。

B. 原因に応じた治療

脳卒中や頭部外傷に伴う失語症・構音障害

脳卒中の急性期治療(血栓を溶かす薬・血圧管理など)や外科的治療を行ったうえで、できるだけ早期から言語リハビリを開始します。訓練では、「聞く・話す・読む・書く」をバランスよく刺激し、現実の会話場面で使える力を少しずつ取り戻していきます。

声帯の病気による音声障害

声帯ポリープや結節では、声の安静(大声を控える・ささやき声を避ける)や薬物療法、声の使い方を見直す音声訓練を行います。改善が乏しい場合には、喉頭微細手術などで病変を切除することもあります。

C. リハビリテーションと日常生活の工夫

言語聴覚士による継続的な訓練

発音・声の出し方・ことばの理解と表現・会話の練習などを、本人の状態に合わせて段階的に行います。家庭でできる練習方法を提案し、ご家族への説明や支援も含めて行います。

コミュニケーション手段の工夫

話すことが難しい場合には、筆談・指差しボード・スマートフォンやタブレットのアプリなど、話す以外の手段を併用します。「話せない=何も伝えられない」わけではないことを周囲が理解することが大切です。

⚫︎音声・言語障害の予後

  • 脳卒中に伴う失語症や構音障害では、発症から数か月〜1年程度が回復の大きな山とされますが、その後もゆっくり改善が続くこともあります。
  • 吃音や場面緘黙のように、本人の心理状態や周囲の理解・支援により症状が軽くなっていくタイプもあります。
  • 発達性の言語障害や構音障害では、早期からの支援により「コミュニケーションの取り方」を工夫できるようになり、学校生活や社会生活での困りごとを減らすことが期待できます。
  • 一部では症状が完全には消えず、長期的なサポートやリハビリが必要になることもありますが、適切な支援により「話しやすい環境」と「自分なりの伝え方」を見つけていくことで、生活の質を高めていくことが可能です。

⚫︎音声・言語障害の予防

完全に防ぐことが難しいものも多いですが、次のような工夫でリスクを減らしたり、悪化を防いだりすることができます。

脳卒中予防

高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などのリスク管理は、失語症や構音障害の予防にもつながります。

声の使い方に気を付ける

長時間の大声、無理な高音・低音を避け、声の不調が続くときは早めに耳鼻咽喉科を受診します。

子どものことばの発達を見守る

「まだ小さいからそのうち話すだろう」と様子を見すぎず、気になる場合は小児科や発達外来、言語聴覚士に相談してみましょう。

心理的な負担を軽くする

吃音や場面緘黙では、「急かさない」「責めない」「笑わない」が基本です。安心して話せる雰囲気づくりが、何よりの予防・支援になります。

⚫︎音声・言語障害に関連する病気や合併症

失語症

脳卒中などで、聞く・話す・読む・書く機能が障害される代表的な言語障害です。

構音障害

舌や口唇などの運動障害により発音が不明瞭になる状態で、脳の病気や筋疾患、口蓋裂などが原因となります。

音声障害(声帯ポリープ・声帯結節・喉頭がんなど)

声帯の病気や反回神経麻痺などにより、声がれ・声の出しづらさが続きます。

吃音・発話流暢性障害

音やことばの繰り返し・引き伸ばし・詰まりなど、話すリズムの障害で、幼児期に始まることが多いとされています。

⚫︎まとめ

声・言語障害は、声の出しにくさや発音の不明瞭さ、ことばの理解・表現のむずかしさなど、さまざまな形で現れますが、「本人の努力不足」ではありません。
脳や耳、喉、口のはたらき、発達や心理状態など、多くの要因が関わるため、一人ひとりに合わせた評価と支援が必要です。

早めに耳鼻咽喉科・脳神経内科・小児科などで相談し、必要に応じて言語聴覚士によるリハビリや環境調整を進めることで、「話しにくさ」「伝わりにくさ」を軽くできる可能性があります。

「話すのがつらい」「ことばのことで気になることがある」と感じたら、一人で抱え込まず、医療機関や専門職に相談してみてください。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

岩野 圭佑医師 西梅田シティクリニック

大阪大学 医学部 卒

東京大学教養学部イギリス科卒業後、株式会社DeNAで新卒採用業務、Terramotors株式会社で営業・広報・採用業務に従事。
大阪大学医学部医学科に学士編入し卒業後、兵庫県立西宮病院で初期研修を修了。
大阪市立総合医療センター、大阪大学医学部附属病院にて耳鼻咽喉科・頭頸部外科医として研修した後、大手美容内科に転職し院長として勤務。
令和7年1月、兵庫県芦屋市に『芦屋駅前皮フ科ビューティクリニック』を開設。

患者様を第一に考え、一般皮膚科・美容皮膚科のクリニックを経営するとともに、大手美容内科の院長として長年の経験を蓄積。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医時代には悪性腫瘍の手術や病棟管理を数多く担当し、現在も非常勤で救命救急科医師として医療現場で勤務。
医療機関の開業支援やM&A仲介、人材紹介といった医療ビジネスにも積極的に取り組み、医療の質とアクセス向上を目指している。

  • 公開日:2026/03/31
  • 更新日:2026/03/31

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