アデノウイルス感染症あでのういるすかんせんしょう

アデノウイルス感染症は、アデノウイルスが原因で、のどの痛み・高熱・結膜炎・下痢・血尿など多彩な症状を起こす病気です。多くは数日〜1週間で自然に改善しますが、小さな子どもや免疫が弱い方では重症化することもあり、注意が必要です。

⚫︎アデノウイルス感染症とは?

アデノウイルス感染症は、「アデノウイルス」というウイルスに感染することで、のど・目・肺・腸・尿路など、さまざまな場所に症状が出る病気の総称です。

代表的なものとして

  • 咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ/プール熱):高熱とのどの痛み、結膜炎(白目の充血や目やに)がそろう病気
  • 流行性角結膜炎:充血や強い目やに、ゴロゴロ感などが続く目の病気
  • アデノウイルス性胃腸炎:発熱を伴う嘔吐・下痢
  • 出血性膀胱炎:排尿時痛や真っ赤な血尿が出る病気

などがあります。

特に咽頭結膜熱は、かつてプールを介した集団感染が多かったことから「プール熱」とも呼ばれ、小児に多い感染症として知られています。現在は、日常生活の中での飛沫感染や接触感染が中心です。

⚫︎アデノウイルス感染症の原因

原因ウイルス

アデノウイルスは2本鎖DNAを持つウイルスで、多数の型(血清型)があり、型によって起こしやすい病気が異なります。たとえば、咽頭結膜熱には主に3型、7型など、流行性角結膜炎には8型、19型、37型などが関与するとされています。

感染経路

主な感染経路は次の3つです。

  • 飛沫感染:咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込む
  • 接触感染:鼻水や唾液、目やに、便などがついた手や物を介して口・鼻・目から入る
  • 経口(糞口)感染:ウイルスを含んだ便が手を介して口に入る

アデノウイルスは、環境中でも比較的丈夫で、物の表面に付着して長く生き残ることがあります。また、アルコールにやや強い性質があり、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤を薄めたもの)などでの消毒が有効とされています。

⚫︎アデノウイルス感染症の症状は?

潜伏期間はおおむね5〜7日とされ、その後次のような症状が現れます。

  • 呼吸器症状:高熱、のどの痛み、咳、鼻水
  • 咽頭結膜熱(プール熱):高熱+のどの痛み+目の充血・目やに
  • 流行性角結膜炎:目の充血、目やに、ゴロゴロ感、まぶしさ
  • 胃腸炎症状:嘔吐、下痢、腹痛、軽い発熱
  • 出血性膀胱炎:血尿、排尿時の痛み、トイレが近くなる
  • 乳幼児や持病のある方では、肺炎など重症化することがあります。

⚫︎受診の目安

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。

こども

  • 39度前後の高熱が3日以上続く
  • 喉の痛み・ぐったり感が強く、水分があまり飲めていない
  • 息が荒い、胸がへこむような呼吸をしている、顔色が悪い

大人

  • 高熱とのどの痛みが続き、市販薬ではつらさがあまり改善しない
  • 目の強い充血や痛み、かすみ、まぶしさがある
  • 激しい下痢・嘔吐で水分がとれない、尿が極端に少ない

ハイリスクの方

  • 乳児、高齢者
  • 心臓病・肺の病気・免疫不全・抗がん薬治療中などの方

これらに当てはまる場合は、かかりつけ医や小児科、内科、眼科、泌尿器科などに早めに相談してください。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

アデノウイルス感染症の診断は、典型的な症状や流行状況からある程度推測できますが、必要に応じて迅速検査や血液検査を行います。
治療の基本は「対症療法」です。現時点で、一般的な患者さんに使われるアデノウイルス専用の特効薬はありません。

  • 解熱鎮痛薬で熱や痛みをやわらげる
  • 水分・電解質を補給して脱水を防ぐ
  • 目の症状には点眼薬、かゆみには抗アレルギー薬などを使用する

重症例や免疫が大きく低下している方では、入院して点滴治療や酸素投与などが必要になることがあります。

⚫︎アデノウイルス感染症の診断

1)問診・診察

  • 発熱の経過(いつから、何度くらい続いているか)
  • のどの痛み、咳・鼻水の有無
  • 目の充血・目やに・痛みの有無
  • 嘔吐・下痢・腹痛、血尿・排尿痛の有無

2)迅速検査

のど・鼻・結膜(目)・便などを綿棒でこすり、アデノウイルスがいるかどうかを判定する迅速検査が行われることがあります。15分前後で結果が出るキットも利用されています。

3)血液検査

  • 白血球数やCRP(炎症反応)の上昇など、感染のサインを確認
  • 脱水や他の臓器障害(肝機能・腎機能)などがないかをチェック

4)画像検査

  • 呼吸苦が強い場合は、胸部レントゲンで肺炎の有無を確認
  • 重い合併症が疑われるときは、必要に応じてさらに詳しい検査を行います。

⚫︎アデノウイルス感染症の治療

A. 初期対応(まずやること/基本方針)

安静と十分な水分・栄養

脱水を防ぐため、こまめに水分(経口補水液など)を摂り、食べられる範囲で消化のよいものを少量ずつとります。

解熱鎮痛薬

つらい高熱や頭痛、のどの痛みがある場合、医師の指示でアセトアミノフェンなどを使用します。

目の症状への対処

医師の判断で、抗炎症薬や抗菌薬の点眼薬が処方されることがあります。強い刺激物(コンタクトレンズ・アイメイクなど)は控えます。

B. 合併症リスクがある場合の医療介入

  • 強い脱水や呼吸苦がある場合は、入院して点滴・酸素投与を行います。
  • 重い肺炎や全身状態の悪化が疑われるときは、専門医による集中的な治療が必要となることもあります。

C. 回復期の管理と復帰

  • 解熱後もしばらくは体力が落ちていることが多いため、無理な運動・登園・登校・出勤は控え、少しずつ日常生活に戻していきます。
  • 咽頭結膜熱は学校保健安全法上の「学校感染症」に指定されており、主要症状がなくなった後2日を経過するまでは、登園・登校を控えることが求められています。

⚫︎アデノウイルス感染症の予後

  • 多くの方は、数日〜1週間程度で解熱し、その後少しずつ体力も回復していきます
  • 咽頭結膜熱では、高熱が3〜5日続くことがあり、その間はつらさが強く感じられますが、適切な水分・休養で自然に軽快することがほとんどです。
  • 流行性角結膜炎では、角膜(黒目)の炎症が後に残り、一時的にかすみが続くことがありますが、多くは数週間〜数か月で軽快していきます。

一方で、乳幼児や高齢者、免疫が弱っている方では、重い肺炎や全身感染に進むことがあり、集中治療が必要になる場合もあります。そのような重症例はまれですが、呼吸苦や意識状態の悪化などがあれば、救急受診を含め早急な対応が必要です。

⚫︎アデノウイルス感染症の予防

日常生活でできる予防策として、次のような点が大切です。

一般的な感染対策

  • こまめな手洗い(石けんと流水でしっかり洗う)
  • 咳エチケット(マスクの着用、咳やくしゃみの際に口と鼻をおさえる)
  • 目をこすらない、汚れた手で顔を触らない

環境の整備

  • ドアノブ・手すり・おもちゃなど、よく触る場所は定期的に掃除・消毒を行う
  • アデノウイルスはアルコールに比較的強いため、必要に応じて塩素系消毒薬(次亜塩素酸ナトリウムを正しく薄めたもの)を用いる

集団生活での配慮

  • 咽頭結膜熱や流行性角結膜炎と診断された場合は、医師の指示に従い、登園・登校・出勤を一時的に控える
  • プール利用時には、水質管理(塩素消毒)やタオルの共用を避けるといった基本的なルールを守る

⚫︎アデノウイルス感染症に関連する病気や合併症

アデノウイルス感染症は、次のような病気として現れたり、合併症を起こしたりすることがあります。

  • 咽頭結膜熱(プール熱):高熱・咽頭炎・結膜炎がそろう、小児に多い病気
  • 流行性角結膜炎:強い結膜炎と角膜炎を起こす「はやり目」
  • アデノウイルス肺炎:乳幼児や基礎疾患のある方で重症化することがある肺炎
  • アデノウイルス性胃腸炎:嘔吐・下痢を主症状とする胃腸炎
  • 出血性膀胱炎:血尿や排尿痛・頻尿が目立つ泌尿器の病気

免疫不全や造血幹細胞移植後など、免疫の働きが大きく低下している方では、アデノウイルスが全身に広がり、重い全身感染症を起こすことがあります。その場合は、専門医療機関での集中治療が必要となります。

⚫︎まとめ

アデノウイルス感染症は、子どもを中心にみられるウイルス感染症で、高熱やのどの痛み、目の充血、下痢や血尿など多彩な症状を起こします。
多くは数日〜1週間で自然に軽快しますが、乳幼児や免疫が弱い方では重症化することもあるため、早めの受診が安心です。
手洗い・咳エチケット・タオルの共用を避けるといった基本的な対策が、身近な予防になります。
「いつもと違う」「心配だな」と感じたときは、無理をせず医療機関に相談しましょう。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/03/10
  • 更新日:2026/03/10

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