クラミジア感染症くらみじあかんせんしょう
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという細菌が性行為を通じて感染する代表的な性感染症です。自覚症状が少ないことが多く、気付かないうちに広がり、不妊症や子宮外妊娠、精巣上体炎などの原因となることがありますが、早期に検査・治療を行えば改善が期待できます。
目次
⚫︎クラミジア感染症とは?
クラミジア感染症は、「クラミジア・トラコマチス」という細菌によって起こる性感染症です。主に性行為(膣性交・肛門性交・オーラルセックス)を通じて、男性では尿道や精巣上体、女性では子宮頸管や子宮内膜、卵管などに感染します。
日本でもっとも頻度の高い性感染症の一つとされ、特に若い世代での感染が問題になっています。多くの方で症状が軽いか、まったく出ないこともあり、「知らないうちに感染してパートナーにうつしてしまう」ことが大きな特徴です。
⚫︎クラミジア感染症の原因
原因となる細菌はクラミジア感染症の原因はクラミジア・トラコマチスという細菌です。一般的な細菌とウイルスの中間のような性質を持ち、自分で増えるために人の細胞の中に入り込む必要があります。
主な感染経路
- 性行為やその類似行為(膣性交・肛門性交・オーラルセックス)
- 感染している部位(性器・のど・直腸など)との粘膜接触
- 感染した妊婦さんから、出産時に赤ちゃんへの産道感染(新生児結膜炎・肺炎の原因)
コンドームを使わない性行為、複数のパートナーとの関係がある場合は、クラミジアを含む性感染症のリスクが高くなります。
⚫︎クラミジア感染症の症状は?
クラミジアは「症状が軽い、または無症状」が特徴で、特に女性は気付きにくい傾向があります。
男性に多い症状
- 排尿時の軽い痛みやしみる感じ
- 尿道のかゆみ、不快感
女性に多い症状
- おりものの量や性状の変化(増える、色やにおいの変化)
- 排尿時の軽い痛み
のど・直腸に感染した場合
オーラルセックスや肛門性交により、咽頭や直腸に感染することもあります。軽いのどの痛みや違和感、肛門周囲の不快感・少量の出血などが出ることがありますが、無症状のことも多いです。
放置すると、女性では子宮内膜炎・卵管炎から骨盤内炎症性疾患(PID)へ進行し、不妊症や子宮外妊娠の原因になることが知られています。男性では精巣上体炎を起こし、精子の通り道が障害されることで不妊の一因になることがあります。
⚫︎受診の目安
次のような症状や状況がある場合は、早めに医療機関での相談・検査をおすすめします。
- 2週間以上続く、原因不明の排尿時の痛みやしみる感じ
- おりものの増加、不正出血、下腹部の鈍い痛みが続く
- 性器や肛門からの分泌物が気になる
- 最近、コンドームを使わない性行為や不特定のパートナーとの性行為があった
- パートナーがクラミジア感染症と診断された
男性は主に泌尿器科・性病外来、女性は婦人科・レディースクリニックなどで相談できます。恥ずかしさから受診をためらう方もいますが、「早く知る」ことが自分とパートナーを守る一番の方法です。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
クラミジア感染症は、問診・診察とともに「検査で菌の存在を確かめること」が診断の基本です。
- 症状の聞き取り、性行為の状況、妊娠の有無などを確認
- 男性では尿や尿道からの分泌物、女性では膣・子宮頸部からの検体、場合により咽頭・直腸からの検体を採取します
- 検体を用いて「核酸増幅検査(PCRなど)」を行い、クラミジアの遺伝子を調べます
治療は、内服の抗菌薬(抗生物質)による薬物療法が基本です。適切な薬を決められた期間しっかり飲むことで、多くの場合は治癒が期待できます。治療中はパートナーも同時に検査・治療を受け、性交渉を控えることが再感染予防に重要です。
⚫︎クラミジア感染症の診断
1)問診・診察
- 症状の内容(排尿時痛・おりもの・出血・下腹部痛など)と、いつから続いているかを確認します
- 最近の性行為(パートナーの人数、コンドーム使用の有無)や、他の性感染症の既往、妊娠の有無なども重要な情報です
2)検体採取
- 男性:初尿(最初に出た尿)や尿道分泌物を採取します
- 女性:膣・子宮頸管から綿棒でぬぐい液を採取します。自己採取キットが使われることもあります
- オーラルセックス・肛門性交の既往がある場合は、咽頭や直腸からも検体を採取することがあります
3)検査方法
- 核酸増幅検査(PCRなど):クラミジアの遺伝子を増幅し、有無を調べる方法で、現在の主流です
- 場合により、他の性感染症(淋菌、梅毒、HIVなど)の血液検査も同時に行います
検査結果は数日かかることが多いですが、症状や状況によっては結果を待たずに治療を開始することもあります。
⚫︎クラミジア感染症の治療
A. 初期対応(まずやること/基本方針)
- 検査でクラミジアの感染が確認されたら、症状の有無にかかわらず抗菌薬治療を行います
- パートナーも検査・治療を受ける必要があるため、その説明を行います
B. 抗菌薬による治療
- クラミジアに効果のある内服薬(マクロライド系、テトラサイクリン系など)を一定期間服用します
- 妊娠中は、胎児への安全性を考慮した薬剤を選びます
- 症状がよくなっても、指示された日数分を飲みきることが大切です
C. 性行為の再開時期
- 治療が終了し、医師が「感染がおさまった」と判断するまでは、性行為を控えます
- パートナーと一緒に治療を終え、必要であれば再検査で陰性を確認してから性行為を再開するのが安心です
D. 再感染予防とフォロー
- 一度治っても、再び感染することがあります
- パートナーの治療状況や、新しいパートナーの有無によっては、一定期間後の再検査を勧められることがあります
⚫︎クラミジア感染症の予後
- 適切な抗菌薬治療を受ければ、多くの場合は後遺症なく治癒が期待できます
- 一方で、無症状のまま長期間放置すると、女性では骨盤内炎症性疾患(PID)から卵管障害を起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります
- 男性では精巣上体炎を起こし、不妊の一因となることがあります
- 妊娠中にクラミジアに感染していると、早産や低体重児、新生児の結膜炎・肺炎の原因となるため、妊婦健診でのチェックが重要です
⚫︎クラミジア感染症の予防
コンドームの適切な使用
性行為のたびにコンドームを正しく使用することで、クラミジアを含む多くの性感染症のリスクを下げることができます。
パートナーとの話し合い
お互いの検査歴や性感染症への不安について話し合い、必要であれば一緒に検査を受けることも大切です。
不特定多数との性行為を控える
パートナーの人数が多いほど、感染リスクは高くなります。
定期的な性感染症検査
症状がほとんど出ないことが多いため、「心当たりがある」「パートナーが変わった」などの場合は、自覚症状がなくても検査を受けておくと安心です。
クラミジア感染症は「特別な人だけの病気」ではなく、誰でもかかりうる一般的な感染症です。恥ずかしさよりも、自分と大切な人を守ることを優先していただければと思います。
⚫︎クラミジア感染症に関連する病気や合併症
骨盤内炎症性疾患(PID)
子宮内膜炎や卵管炎が広がり、骨盤内全体に炎症を起こした状態で、不妊症や慢性的な骨盤痛の原因になります。
卵管性不妊・子宮外妊娠
卵管の内腔が狭くなったり癒着したりすることで、受精卵の通り道が障害され、不妊や子宮外妊娠のリスクが高まります。
精巣上体炎
男性では、精巣の後ろ側にある精巣上体が炎症を起こし、痛みや腫れを来します。放置すると精路が塞がり、不妊の一因になることがあります。
⚫︎まとめ
クラミジア感染症は、自覚症状がほとんど出ない一方で、放置すると不妊症や妊娠・出産への悪影響など、将来に関わる重大な合併症につながる恐れがある性感染症です。
検査は尿やぬぐい液を使って比較的簡単に行うことができ、適切な抗菌薬を服用すれば、多くの場合しっかり治すことができます。「特に困った症状がないから大丈夫」と思わず、「心当たりがある」「パートナーのことが心配」と感じたときが検査のタイミングです。恥ずかしさを一人で抱え込む必要はありません。医療機関で相談しながら、自分と大切な人の健康を一緒に守っていきましょう。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
- ユビー病気のQ&A「クラミジア感染症」
(https://ubie.app/byoki_qa/diseases/chlamydia) - 日本性感染症学会「性器クラミジア感染症(性感染症診断・治療ガイドライン)」
(https://jssti.jp/pdf/2-3.pdf)
■ この記事を監修した医師
赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック
近畿大学 医学部 卒
近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。
「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。
医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。
医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。
- 公開日:2026/03/06
- 更新日:2026/03/06
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