性器ヘルペスせいきへるぺす

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV-1/2)による性感染症です。外陰部の痛む水ぶくれやただれが特徴で、治った後も神経に潜伏し再発します。診断は検査で行い、抗ウイルス薬で症状を短く軽くします。パートナー対応と再発予防が大切です。

⚫︎性器ヘルペスとは?

単純ヘルペスウイルス(HSV-1またはHSV-2)が性器やその周囲に感染して起こる病気です。
主な症状は、性器・肛門周囲の小さな水ぶくれ(すいほう)やただれ(潰瘍)と痛み、排尿時のしみる感じ、足の付け根(そけい部)のリンパ節の腫れなどです。初感染時は発熱や強いだるさを伴うことがあります。

ウイルスは症状が治っても神経に潜伏し、体調不良・ストレス・月経などをきっかけに再発します。口腔性交・肛門性交でもうつるため、コンドームは性行為の形にあわせて使用します。

⚫︎性器ヘルペスの原因

  • 感染者の皮膚・粘膜との直接接触でうつります。水ぶくれの液や潰瘍面にはウイルスが多く含まれます。
  • 目に見える症状がない時期(不顕性感染)でも、わずかにウイルスが出て他人へうつすことがあります(無症候性排ウイルス)。
  • HSV-1は口唇ヘルペスの原因として知られますが、近年は性器にも増えています。HSV-2は従来どおり性器に多い型です。

⚫︎性器ヘルペスの症状は?

初感染(はじめてかかった時)

2〜10日ほどの潜伏期の後、性器や肛門周囲に1〜2mm大の水ぶくれが多発し、数日で破れて浅い潰瘍になります。痛みが強く、排尿困難や歩行時の痛み、発熱、全身のだるさを伴うことがあります。

再発(くり返す時)

初感染より軽く、局所のチクチク感・違和感の後に小さな水ぶくれが出ます。数日〜1週間前後でおさまることが多いです。

男女で起こりやすい場所

  • 男性:亀頭や陰茎、包皮、陰嚢、肛門周囲。
  • 女性:外陰部、膣口、膣内、子宮頸部、肛門周囲。膣内や頸部の病変は見えにくく痛みも弱いことがあります。

妊娠中の感染

分娩時に産道でうつると新生児ヘルペスの原因になります。妊娠後期の初発・再発では分娩方法の検討や、出産前の予防投与を行うことがあります。

⚫︎受診の目安

  • 外陰部や肛門周囲に痛む水ぶくれ・ただれが出た。はじめて、あるいは過去のヘルペスに似た症状が再び出た。
  • 排尿時に強い痛みがあり、出しづらい。発熱やそけい部の腫れがある。
  • パートナーにヘルペスがある、または最近の性行為後に似た症状が出た。
  • 妊娠中・妊娠を希望している、授乳中で心配がある。

→ 産婦人科、泌尿器科、皮膚科、性病外来、一般内科などで受診できます。症状が出たらできるだけ早く受診してください。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

  • 診断は、症状のある部位から綿棒で検体を採ってウイルス遺伝子検査(PCR等)を行うのが基本です。血液検査(抗体検査)は過去の感染の有無の参考になりますが、急性期の確定には向きません。
  • 治療は抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル等)を内服し、症状を短く・軽くします。重症や飲めない場合は点滴を使うことがあります。
  • 再発をくり返す場合は、症状が出た時だけ早めに飲む「頓用(エピソード)療法」か、毎日飲んで再発回数を減らす「抑制療法(サプレッション)」を選びます。
  • 痛みが強い時は鎮痛薬、排尿困難時には局所ケアや一時的な処置を行うことがあります。

⚫︎性器ヘルペスの診断

1)検体採取

水ぶくれや潰瘍の表面をやさしくこすって検体を採り、PCR等でHSVの有無と型(1か2)を調べます。

2)鑑別(似た症状の病気)

梅毒の潰瘍、性器カンジダや細菌性膣炎、接触皮膚炎、帯状疱疹、ベーチェット病など。必要に応じて他の検査を行います。

3)血液検査の位置づけ

抗体検査は既感染の把握に使われますが、急性発症直後の「今の原因」を確定するには不向きです。医師の判断で組み合わせます。

⚫︎性器ヘルペスの治療

A.初発時

抗ウイルス薬を7〜10日程度内服します。発症早期に開始するほど有効です。症状に応じて延長することがあります。

B.再発時の頓用療法

前駆症状(ムズムズ・ピリピリ)や発疹が出てすぐ内服を始めます。短い日数の処方が一般的です。

C.抑制療法(再発を繰り返す方)

1日1〜2回の内服を継続し、再発回数とパートナーへの伝播リスクを減らします。一定期間おきに継続の可否を医師と相談します。

D.生活上の工夫

患部は清潔・乾燥を保ち、刺激を避けます。疼痛が強い時は冷却や鎮痛薬を活用します。治療が終わり、医師の許可が出るまで性行為は控えます。コンドームは完全には防げませんが、リスクを下げます。

E.パートナーへの配慮

症状がある時は接触を避け、無症状の期間でも相手と話し合い、コンドーム使用や検査の機会を共有します。

⚫︎性器ヘルペスの予後

  • 命にかかわる病気ではありませんが、再発しやすく、痛みや不安、性生活への影響が大きいことがあります。適切な内服とセルフケアで多くは数日〜2週間程度で軽快します。
  • 抑制療法で再発回数やうつすリスクを減らせることが知られています。
  • 新生児ヘルペスは重症になることがあり、妊娠・出産期の管理が重要です。

⚫︎性器ヘルペスの予防

  • 症状がある時は性行為を避ける。前駆症状の段階でも接触は控える。
  • コンドームの継続使用(膣・肛門・口のいずれの性行為でも)。皮膚接触でうつるため完全ではありませんが、リスクを下げます。
  • ストレス・寝不足・紫外線など再発の引き金をなるべく避ける。
  • パートナーとの情報共有、定期的な受診で内服の計画(頓用・抑制)を整える。

⚫︎性器ヘルペスに関連する病気や合併症

  • 女性:外陰部〜膣・子宮頸部の病変、排尿困難、二次感染(細菌の重なり)
  • 男性:尿道炎、包皮炎、陰茎・肛門周囲の病変、そけいリンパ節の腫れ
  • 共通:繰り返す疼痛と生活の質の低下、心理的ストレス、パートナー関係への影響
  • 新生児:新生児ヘルペス(髄膜脳炎や全身感染など重症化することがある)

⚫︎まとめ

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)が性行為を通じて感染し、外陰部や肛門周囲に痛みを伴う水ぶくれやただれを繰り返す病気です。初回の発症では発熱や強い痛みが出ることもあり、日常生活に大きな負担となります。一度感染するとウイルスが体内に潜伏するため、疲れ・ストレス・体調不良などがきっかけで再発することがあります。
治療は抗ウイルス薬が中心で、早期に開始するほど症状を抑えやすくなります。「外陰部が痛い」「水ぶくれがある」「パートナーが感染した」などの症状がある場合は、早めに婦人科・泌尿器科で検査を受けることが大切です。不安なときは一人で抱え込まず、医師と相談しながら、再発予防や生活上の注意点を含めた治療方針を一緒に考えていきましょう。

 

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

・ユビー 病気のQ&A「性器ヘルペス」:症状の特徴、再発、受診先の目安。最終更新日の明記あり。
症状検索エンジン「ユビー」 by Ubie

・MSDマニュアル家庭版「性器ヘルペス」:初感染と再発の臨床像、女性の内側病変、経過。
MSD Manuals

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/02/26
  • 更新日:2026/02/26

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