慢性骨髄性白血病(CML)まんせいこつずいせいはっけつびょう
CMLはBCR-ABL(フィラデルフィア染色体)による血液がん。多くは慢性期で無症状。内服TKIで長期管理が可能で、定量PCRで効果を定期評価します。
目次
⚫︎慢性骨髄性白血病(CML)とは?
CML(しーえむえる)は、骨髄(血液をつくる工場)でつくられる骨髄系の白血球が異常増殖する血液のがんです。多くの患者さんで、染色体の一部が入れ替わって生じるフィラデルフィア染色体(BCR-ABL1融合遺伝子)が見つかります。
病気の進み方には慢性期→移行期(加速期)→急性転化(芽球期)という段階があり、早期に治療を始めれば内服薬(チロシンキナーゼ阻害薬:TKI)で長期に安定して生活できることが期待できます。
⚫︎慢性骨髄性白血病(CML)の原因
CMLは体内の白血球の設計図(遺伝子)が偶然に入れ替わることが引き金と考えられています。
- フィラデルフィア染色体(9番と22番染色体の一部が入れ替わる現象)により、BCR-ABL1という過剰に働く酵素が生まれ、白血球が増え続けます。
- 多くは生活習慣や家族からの遺伝が直接の原因ではありません。特定の行為で確実に防ぐ・起こすといった性質の病気ではないため、ご自身を責める必要はありません。
⚫︎慢性骨髄性白血病(CML)の症状は?
慢性期の多くは無症状で、健診の血液検査で白血球の増加から見つかります。進行や状態によって次のような症状がみられます。
- だるさ・疲れやすさ、体重減少、寝汗(寝ている間に汗をかく)
- 脾臓(ひぞう)の腫れに伴う左上腹部の張り、食後の早い満腹感
- 貧血による息切れ・めまい、血小板の異常による出血しやすさ
- 進行すると発熱、骨痛、感染の繰り返しが目立つことがあります
⚫︎受診の目安
慢性骨髄性白血病(CML)は、初期は症状が目立ちにくいことも多いため、次のようなサインに気づいたら早めの受診が大切です。
- 疲れやすい、息切れ、動悸などの貧血症状が続く
- 原因不明のあざ、鼻血、歯ぐきからの出血が増える
- 発熱や感染症を繰り返しやすくなった
- おなかの張り感や左上腹部の違和感(脾臓が腫れることで起こる)
- 健康診断で白血球の増加を指摘された
→ このような場合は、内科・血液内科で血液検査を受け、必要に応じて骨髄検査を行いましょう。早期診断と適切な治療開始が、病期の進行を防ぎ、良好な経過につながります。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
1)診断は、血液検査で白血球増加などを確認し、骨髄検査と遺伝子・染色体検査でBCR-ABL1の有無を確かめます。これによりCMLと確定します。
2)治療は基本的に内服の分子標的薬(TKI)です。病期や合併症により、用量調整や薬剤の3切り替え、まれに造血幹細胞移植を検討します。
3)モニタリングは定量PCR(国際スケール:IS)という血液検査でBCR-ABL1量を定期的に測り、目標到達かどうかを評価します。
●慢性骨髄性白血病(CML)の診断
1)問診・診察
- 症状の有無、体重減少、寝汗、腹部の張りなどを確認し、脾臓や肝臓の腫れを診ます。
2)血液検査
- 白血球・赤血球・血小板の数や、細胞の形(末梢血塗抹)を確認します。CMLでは白血球の成熟段階の細胞が増えていることが多いです。
3)骨髄検査(骨髄穿刺)
- 骨盤の骨から骨髄液を採取し、細胞の割合や形を詳しく調べます。
4)遺伝子・染色体検査
- BCR-ABL1の検出が最重要です。染色体検査やFISH、PCRなど複数の方法を組み合わせて確定します。
5)病期の評価
- 血液・骨髄所見、脾腫、芽球の割合などを総合して慢性期/移行期/急性転化を判定します。治療選択と予後の見通しに直結します。
●慢性骨髄性白血病(CML)の治療
A.内服の分子標的薬(TKI)
CML治療の中心は、BCR-ABL1の働きを抑える薬(TKI)です。
- 目標:治療開始早期からBCR-ABL1量を大きく下げ、分子学的寛解(MMRやより深い寛解:MR4など)を目指します。
- 服薬のコツ:飲み忘れを避け、指示どおり継続すること(アドヒアランス)が最重要です。相互作用のある薬やサプリ、特定食品は変更・注意が必要な場合がありますので、必ず主治医・薬剤師へ相談してください。
- 副作用への対応:浮腫、皮疹、下痢、肝機能異常、骨髄抑制(貧血・好中球減少・血小板減少)、心血管系のイベント、胸水・肺高血圧など、薬剤ごとに特徴があります。定期採血と診察で早期発見・早期介入を行います。
B.効果判定と薬剤の切り替え
- 定量PCR(IS)でのモニタリングを定期的に行い、3か月・6か月・12か月などの目標値に届いているかを確認します。
- 目標に届かない、または副作用が強い場合は用量調整や他のTKIへの切り替えを検討します。まれに薬が効きにくくなる遺伝子変化(Ablキナーゼドメイン変異)が見つかることがあり、結果に応じて薬剤選択を見直します。
C.造血幹細胞移植
- 移行期〜急性転化や多剤で効果不十分な場合に、年齢・体力・合併症・ドナー状況を踏まえて移植を検討します。
- 移植は根治が期待できる一方で合併症リスクもあるため、十分な説明と準備が必要です。
D.治療中止(TFR)の考え方
- 条件を満たす一部の患者さんでは、主治医の厳密な監視下でTKIを中止し、治療を行わずに寛解を維持できることがあります(TFR:治療中止後の無治療寛解)。
- 中止には長期間の深い分子学的寛解の持続など厳密な基準があり、中止後の頻回PCR検査が不可欠です。再上昇時は速やかに再開します。
⚫︎慢性骨髄性白血病(CML)の予後
- 適切なTKI治療と定期フォローにより、慢性期CMLは長期に安定して生活できる時代になっています。
- 予後には病期、治療への反応(BCR-ABL1の下がり方)、合併症の有無、服薬継続性が影響します。
- 万が一進行した場合も、薬剤の切り替え・追加、移植など選択肢があります。主治医と相談しながら最善の計画をつくりましょう。
⚫︎慢性骨髄性白血病(CML)の予防
CMLは生活習慣病とは異なり、確実に発症を防ぐ方法は分かっていません。
一方で、治療中・治療後の感染予防や副作用予防は大切です。
- 手洗い・うがい、体調不良時の早期受診
- 予防接種の相談(ワクチンの種類や接種時期は主治医と調整)
- 十分な睡眠、バランスのよい食事、適度な運動、口腔ケア
- 他の薬やサプリ、食品との相互作用については必ず事前に相談
- 妊娠・授乳の予定がある場合は、治療計画を早めに主治医へ共有してください
⚫︎慢性骨髄性白血病(CML)に関連する病気や合併症
- 感染症:白血球の機能低下や薬の影響でかかりやすく、重症化しやすいことがあります。
- 出血・血栓:血小板の数や働きの異常、薬剤の影響などで起こることがあります。
- 脾腫による症状:左上腹部の痛み・張り、食べる量が少なくても満腹感。
- 薬剤関連の副作用:皮疹、浮腫、消化器症状、肝機能異常、胸水、心血管イベントなど。早期発見・早期対応が重要です。
- 病期進行(移行期・急性転化):治療効果が不十分な場合に起こることがあり、治療強化や移植を検討します。
- 心理社会的影響:不安・抑うつ、就労や学業との両立の難しさなど。医療者・心理士・ソーシャルワーカーと連携し、生活面の支援も受けましょう。
⚫︎まとめ
CMLはBCR-ABL1が関わる血液のがんで、現在は内服の分子標的薬(TKI)により長期管理が可能です。診断では遺伝子・染色体検査が不可欠で、治療中は定量PCR(IS)で効果を定期評価し、目標値に合わせて治療を微調整します。副作用や相互作用には注意が必要ですが、早期相談と適切な対策で安心して治療を続けられます。体調の変化に気づいたら自己判断せず、早めに主治医へ相談しましょう。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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(https://ubie.app/byoki_qa)
■ この記事を監修した医師
赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック
近畿大学 医学部 卒
近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。
「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。
医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。
医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。
- 公開日:2026/02/24
- 更新日:2026/02/24
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