多発性骨髄腫たはつせいこつずいしゅ

多発性骨髄腫は「形質細胞」という白血球ががん化する病気です。骨の痛み、貧血、腎障害、高カルシウム血症(CRAB)などが特徴で、診断後は薬物療法や自家移植、支持療法を組み合わせます。

⚫︎多発性骨髄腫とは?

骨髄(こつずい:血液をつくる場所)で、抗体を作る役目の「形質細胞(けいしつさいぼう)」ががん化して増える病気です。がん化した細胞は「M(モノクローナル)蛋白」という異常な抗体を作り続け、骨をもろくしたり、腎臓に負担をかけたりします。
症状がない時期(無症候性)もありますが、症状が出たら治療が必要です。日本を含め世界で高齢者に多く、治療の進歩で見通しは少しずつ改善しています。

⚫︎多発性骨髄腫の原因

はっきりとした原因は分かっていません。年齢(高齢)、男性、肥満、特定の化学物質への長期曝露(殺虫剤など)が関与する可能性が指摘されています。ただし、これらがあるからといって必ず発症するわけではありません。
なお、低酸素状態(高度の喫煙、睡眠時無呼吸、慢性肺疾患、高地生活など)や、腎臓などからエリスロポエチン(EPO)が過剰に分泌されて起こる
「二次性赤血球増加症」とは区別されます。PVでは一般にEPOは低めになります。

⚫︎多発性骨髄腫の症状は?

代表的な4つの障害を英語の頭文字で「CRAB」と呼びます。
C:高カルシウム血症(強い口渇、吐き気、便秘、意識がもうろう)
R:腎障害(むくみ、尿量の変化、だるさ)
A:貧血(息切れ・動悸・顔色不良)
B:骨病変(背中・肋骨・骨盤の痛み、圧迫骨折)
このほか、感染の反復、体重減少、しびれ、出血しやすい、なども見られます。。

⚫︎受診の目安

多発性骨髄腫は、骨髄で異常な形質細胞が増えることで、骨の痛みや貧血、腎臓のトラブルなど多様な症状が現れる病気です。次のような症状がみられた場合は受診を検討しましょう。

  • 背中・腰・肋骨などの骨の痛みが続く、動くと痛みが強くなる
  • めまい、立ちくらみ、息切れ、だるさなどの貧血症状がある
  • 原因不明の鼻血、歯ぐき出血、あざが増える
  • 鼻血がのどへ流れ込み、飲み込んだ血で黒っぽい便(タール便)が出る
  • のどの渇き、尿量の変化、むくみなど腎臓の異常を感じる
  • 感染症が治りにくい、発熱が続く
  • 健康診断で貧血やタンパクの異常を指摘された

上記の症状が続く場合は、早めに内科・血液内科を受診し、血液検査や骨髄検査、画像検査などを受けましょう。特に高齢の方や基礎疾患がある方は、軽い症状でも病気のサインであることがあるため注意が必要です。

⚫︎診断方法と治療方法(全体像)

診断は、血液・尿検査でM蛋白を調べ、骨髄検査で形質細胞の増加を確認し、画像検査で骨病変を評価します。治療は、病勢・年齢・体力で選択が変わり、薬物療法(複数薬の併用)を基本に、適応があれば自家造血幹細胞移植(自家移植)を組み合わせます。骨や腎臓を守る支持療法(骨修飾薬、感染予防、貧血・痛み対策)も重要です。

▶︎多発性骨髄腫の診断

血液・尿検査

蛋白分画、免疫固定(M蛋白の種類を特定)、免疫グロブリン量、血清遊離軽鎖(κ/λ)比、β2ミクログロブリン、LDH、カルシウム、腎機能など。尿中のBence Jones蛋白も確認します。

骨髄検査

骨髄穿刺・生検で形質細胞の割合や性質(フローサイトメトリー、FISH/染色体検査)を評価します。

画像評価

全身低線量CT、全身MRI、必要に応じてPET/CTで骨病変を見つけます。無症候性や「くすぶり型(SMM)」では定期的な画像モニタリングが推奨されます。

治療開始の目安

  • 原因不明の背中・肋骨の痛みが続く/楽にならない
  • 検診で貧血や腎機能異常を指摘された
  • だるさや体重減少、発熱をくり返す
  • のどが渇き多尿が続く(高カルシウムの可能性)

などがあれば、早めに内科・血液内科を受診してください。圧迫骨折や強い脱水、意識がもうろうとする場合は救急受診を検討します。

▶︎多発性骨髄腫の治療

目的は「病勢のコントロール」と「合併症の予防・軽減」です。

A)薬物療法(初回治療の基本)

  • プロテアソーム阻害薬(例:ボルテゾミブ)+免疫調整薬(レナリドミド等)+ステロイドの併用(VRdなど)が広く用いられます。抗CD38抗体(ダラツムマブ、イサツキシマブ)を併用するレジメンも有効性が示されています。末梢神経障害などの副作用には注意し、用量調整で対応します。
  • 移植適応例:寛解導入→造血幹細胞採取→大量メルファラン→自家移植→維持療法(レナリドミド等)という流れが一般的です。抗CD38抗体を組み合わせた導入・維持の検討も進んでいます。 ・移植非適応例:年齢や併存症を踏まえ、2~3剤併用のレジメンを継続します。

B)支持療法(合併症対策)

  • 骨の守り:ビスホスホネート(ゾレドロン酸等)またはデノスマブを用い、骨折予防と痛み軽減を目指します。顎骨壊死(あごの骨の合併症)を避けるため、歯科受診や口腔ケアが重要です。
  • 感染予防:ワクチン(不活化ワクチン中心)や、ボルテゾミブ使用時などに帯状疱疹予防としてアシクロビル内服を検討します(腎機能に注意)。
  • 腎障害・高カルシウム血症:十分な水分、原因薬の中止、必要時は点滴・利尿薬・骨修飾薬などで是正します。貧血には輸血や造血刺激薬を検討します。

C)再発・難治例

初回と異なる作用機序の薬を組み合わせます。近年は新規抗体薬、細胞傷害性薬、CAR-Tなどの選択肢も増えています(実施可否は施設・適応で異なります)。主治医と最新の治療選択を相談しましょう。

⚫︎多発性骨髄腫の予後

病気の勢い、遺伝子異常、年齢・腎機能、治療への反応で変わります。治療の進歩により全体としては生存率が徐々に改善していますが、再発をくり返す疾患であるため、維持療法や合併症対策が長期成績を左右します。自分の病期・リスク(ISS/改訂ISSなど)と「治療にどれだけ反応しているか(深い寛解・MRD陰性など)」を主治医と共有しましょう。

⚫︎多発性骨髄腫の予防

確実に防ぐ方法はありません。早期発見のためには「長引く腰背部痛」「原因不明の貧血・腎障害」「高カルシウム血症の症状(口渇・多尿・便秘・意識がもうろう)」に気づいたら受診することが大切です。治療中は感染対策(手洗い・ワクチン・人混み回避)、口腔ケア、転倒・骨折予防(骨密度・運動・カルシウム/ビタミンDは主治医と相談)を心がけましょう。

⚫︎多発性骨髄腫に関連する病気や合併症

関連疾患

単クローン性ガンマパチー(MGUS)、くすぶり型骨髄腫
(SMM)—症状が出る前段階で、進行リスクに応じて定期フォローが必要。

合併症

圧迫骨折・骨折、高カルシウム血症、腎不全、感染症、貧血・出血傾向、末梢神経障害(ボルテゾミブなど)、顎骨壊死(骨修飾薬)など。

⚫︎まとめ

多発性骨髄腫は「骨の痛み・貧血・腎障害・高カルシウム血症(CRAB)」が目印です。血液・尿・骨髄・画像を組み合わせて診断し、薬物療法(しばしば多剤併用)を基本に、適応があれば自家移植と維持療法を組み合わせます。骨・腎・感染の対策など支持療法も欠かせません。気になる症状が続くときは自己判断せず、早めに血液内科へご相談ください

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2026/02/17
  • 更新日:2026/02/17

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