C型肝炎しーがたかんえん
C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる感染症で、主に血液を介して感染し、慢性化しやすいのが特徴です。長期間にわたって肝機能にダメージを与え、肝硬変や肝がんに進行することがあるため、早期発見と抗ウイルス薬による治療が重要です。
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C型肝炎とは
C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)への感染によって肝臓に炎症が起こるウイルス性肝炎のひとつです。主に血液を介して感染し、感染後に自然治癒するケースもありますが、約7割が慢性化し、数十年かけて肝硬変や肝がんに進行する可能性があります。
C型肝炎は自覚症状が乏しいまま進行することが多く、健診などで偶然見つかるケースが少なくありません。慢性肝炎の中では特に注意が必要なウイルスであり、HCVに感染していることに気づかず長年放置されることも多いです。
近年では、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場により、ウイルスを完全に排除できる治療が可能となっており、早期発見と治療によって重症化を防ぐことができます。
原因
C型肝炎の原因は、C型肝炎ウイルス(HCV)への感染です。HCVは主に血液を介して感染し、感染後は体内で慢性的に増殖することがあります。
主な感染経路
- 輸血・注射:1990年以前に輸血や血液製剤を受けた人が多く感染
- 注射器の共有:覚醒剤使用、医療現場での針刺し事故など
- 刺青、ピアス:不適切な衛生環境での施術
- 歯科治療や内視鏡検査(まれ):消毒が不十分な場合
- 性的接触:頻度は少ないが感染の可能性あり
- 母子感染:出生時の感染(頻度は低い)
その他
- 感染経路が不明なケースも多く存在
- 家族内感染は基本的に起こりにくいが、共有の歯ブラシやカミソリは注意が必要
現在では献血血液の検査体制が整備されており、新たな感染は大きく減少しています。
症状
C型肝炎の症状は、急性期と慢性期で異なります。急性C型肝炎では症状が出ることもありますが、多くは無症状で、慢性化した後も自覚症状に乏しいのが特徴です。
急性C型肝炎
- 発熱
- 全身倦怠感
- 食欲不振、吐き気、嘔吐
- 右上腹部の不快感
- 黄疸(まれ)
慢性C型肝炎
- 無症状のまま進行することが多い
- 進行すると
- 倦怠感、集中力の低下
- 食欲低下
- 肝機能異常(健診などで発見)
さらに進行した場合
- 肝硬変:腹水、黄疸、むくみ、出血傾向
- 肝がん:体重減少、食欲不振、上腹部のしこり、痛み
- 肝性脳症:意識障害、けいれん、混乱
自覚症状が出る頃には重症化していることも多く、早期検査が重要です。
診断方法と治療方法
診断
- 問診:感染リスク(輸血歴、注射歴、針刺し事故、渡航歴など)を確認
- 血液検査
- HCV抗体:過去または現在の感染を示す
- HCV RNA:現在の感染(ウイルスの存在)を示す
- 肝機能(AST、ALT、γ-GTP、ビリルビンなど)
- 線維化マーカー(M2BPGi、FIB-4 index) - 画像検査
- 腹部超音波、CT、MRIなどで肝臓の線維化や腫瘍の有無を評価 - 肝生検(必要時):肝組織の線維化や炎症の程度を評価
治療
- 直接作用型抗ウイルス薬(DAA)
- 飲み薬による8~12週間の治療で約95%以上がウイルス排除可能
- 副作用が少なく、入院不要で治療が可能 - 肝硬変を合併している場合は、経過観察や合併症の治療も必要
- 治療中も定期的な血液検査・ウイルス量測定を行う
適切な治療により、C型肝炎は治癒が望める時代になっています。
予後
C型肝炎の予後は、感染時期の早期発見と適切な治療の有無によって大きく異なります。近年ではDAA治療により、多くの人がウイルス排除に成功し、長期予後が改善しています。
治療成功後の予後
- ウイルスが排除されれば、肝機能は改善し、肝硬変や肝がんのリスクが低下
- 肝硬変に至る前の治療が理想的
- 治癒後も一部の患者では肝がんのリスクが残るため、定期的なフォローが必要
治療を受けなかった場合の経過
- 慢性肝炎の約20~30%が肝硬変に進行
- 肝硬変患者の年率1~4%が肝がんを発症
- 肝不全や食道静脈瘤破裂など、致命的な合併症が発生することもある
治療後の経過観察と生活習慣の見直しが、予後を大きく左右します。
予防
C型肝炎には有効なワクチンは存在しないため、感染経路の遮断と定期的な検査が予防の基本です。
感染予防策
- 注射針・カミソリ・歯ブラシの共有を避ける
- 衛生管理が不十分な施設での刺青・ピアスを避ける
- 医療従事者は針刺し事故に十分注意し、発生時はすぐに対応
- 性的接触による感染の可能性がある場合は、コンドームの使用など予防行動をとる
早期発見のために
- 過去に輸血歴や注射歴のある人は一度検査を受ける
- C型肝炎ウイルス検査は保健所や一部の医療機関で無料実施
- 健康診断や人間ドックでの肝機能異常も精査を
感染予防と早期診断を両輪として取り組むことが重要です。
関連する病気や合併症
C型肝炎は、慢性的に肝臓に炎症を引き起こすことで、以下のような多様な疾患や合併症を引き起こします。
肝臓関連の合併症
- 慢性肝炎:HCV感染後に持続する肝機能障害
- 肝線維症・肝硬変:進行した慢性肝炎による肝臓の構造変化
- 肝がん(肝細胞がん):肝硬変を経て発症しやすい
- 肝性脳症:アンモニアの代謝障害による意識障害
- 食道静脈瘤:門脈圧亢進により発生、破裂すると致命的
肝外の合併症
- 腎障害(膜性腎症など)
- 糖尿病:インスリン抵抗性が高まる
- 心血管疾患リスクの増加
- 自己免疫疾患(関節炎、皮膚炎、リウマチ様症状など)
C型肝炎は肝臓だけでなく全身に影響を及ぼすウイルスであり、総合的な管理が必要です。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
日本肝臓学会「C型肝炎治療ガイドライン」(https://www.jsh.or.jp/)
厚生労働省e-ヘルスネット「C型肝炎」(https://kennet.mhlw.go.jp/home)
国立国際医療研究センター「C型肝炎の診断と治療」(https://www.ncgm.go.jp/)
日本消化器病学会「ウイルス性肝炎に関する情報」(https://www.jsge.or.jp/)
■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック
近畿大学 医学部 卒
近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。
「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。
医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。
医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。
- 公開日:2025/07/16
- 更新日:2025/07/16
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