腟トリコモナス症ちつとりこもなすしょう
腟トリコモナス症は原虫(腟トリコモナス)による性感染症です。悪臭のある泡状のおりもの、外陰部のかゆみやヒリつきが典型で、男性は無症状〜軽い尿道炎のことがあります。検査で確定し、内服薬で治療します。パートナー同時治療と再検査が再感染予防の鍵です。
目次
⚫︎腟トリコモナス症とは?
腟トリコモナスという原虫(顕微鏡で動く小さな寄生生物)が、性行為などの粘膜接触を介してうつり、腟や子宮頸部、下部尿路に炎症を起こす病気です。潜伏期間は数週間〜3か月ほどです。
女性に腟炎として見つかることが多く、男性では尿道や前立腺に感染しても無症状のことがあります。年齢層は幅広く、中高年での発見もしばしばあります。
⚫︎腟トリコモナス症の原因
- 主に性行為(膣・肛門・口を含む)で感染します。粘膜やわずかな傷から原虫が入り込むため、コンドームを使っても完全には防ぎきれません。
- まれにタオルや便座、浴槽などを介した感染が報告されることがありますが、頻度は高くありません。
- 他の性感染症(淋菌、クラミジア、梅毒、HIVなど)と同時に起こることがあります。
⚫︎腟トリコモナス症の症状は?
- 女性:悪臭のある黄緑〜泡状のおりもの増加、外陰部のかゆみ・ヒリつき、排尿時のしみる感じ、性交痛、不正出血。腟頸部が赤く点状に見える「いちご状頸部」がみられることがあります。
- 男性:排尿時違和感、軽い分泌物、会陰部の不快感など。無症状のことも多く、パートナーの検査が契機で発見されます。
- 妊娠中:破水や早産のリスクが議論されており、適切な治療が重要です。
⚫︎受診の目安
- おりものの量やにおいが急に変わった、泡状で黄緑色になった、外陰部がかゆい・痛い。
- パートナーに性感染症が見つかった、または新しい相手との性行為があった。
- 男性で排尿時違和感や分泌物が続く。
→ 産婦人科、泌尿器科、皮膚科、性病外来、一般内科で検査・治療が可能です。妊娠中・授乳中は必ず申告してください。
⚫︎診断方法と治療方法(全体像)
診断は腟分泌物や尿などを用いた検査で原虫の存在を確認します。治療は原虫に効く内服薬が基本で、パートナーの同時治療が再感染防止に不可欠です。治療が終わり治癒確認ができるまで性行為は控えます。
⚫︎腟トリコモナス症の診断
1)顕微鏡検査
新鮮なおりものをその場で観察し、活発に動く原虫を確認します(簡便・即時)。少数だと見落とすことがあります。
2)培養検査・核酸増幅検査(NAAT)
感度が高く、見落としが疑われる場合に有用です。
3)併存感染の評価
症状や行為歴に応じ、淋菌・クラミジア・梅毒・HIVなどの検査を同時に行います。
4)男性の検査について
男性は検出が難しいことがあり、陰性でもパートナー同時治療を行うのが一般的です。
⚫︎腟トリコモナス症の治療
A. 外用療法
- イミキモド(ベセルナ)クリーム:週数回、数週間〜数か月塗布して免疫反応を高め、いぼを小さくします。
- 反応:赤み・ヒリヒリ・かゆみ・軽いびらんが出ることがあります。強い痛みやびらんが続く場合は受診してください。
B. 冷凍凝固(液体窒素)
- 液体窒素でいぼを凍結し脱落させます。外来で短時間に実施可能。
- 回数目安:病変の数・大きさにより1〜2週間間隔で数回くり返すことがあります。
C. 電気焼灼・レーザー・切除
- 適応:大きい・多発・再発例、外用や凍結で効果が乏しい場合。
- 方法:電気メス・レーザーで焼灼、または局所麻酔下に切除。
- 術後:創部ケアと再発観察が必要。出血・強い痛み・化膿の兆候があれば早めに受診。
D. 性行為・生活上の注意
- 性行為は患部が治るまで控えます。コンドームは完全予防ではありませんが、再感染・相互感染のリスクを下げます。
- パートナーは症状の有無にかかわらず検査を勧め、必要に応じて同時治療を行います。
- 患部は清潔・乾燥を保ち、摩擦の少ない衣類を選ぶ。禁煙は再発予防に有利と考えられます。
⚫︎腟トリコモナス症の予後
- 適切な内服で治癒が期待できます。治療が不十分な場合やパートナー未治療では再感染しやすく、症状の遷延や他の性感染症のリスク増加につながります。
- 妊娠中は合併症予防の観点から、早期診断・治療と産科でのフォローが重要です。
⚫︎腟トリコモナス症の予防
- コンドームの継続使用(完全ではありませんがリスクを低減)。
- 症状のある時期や治療中の性行為は控える。
- パートナーと検査・治療・結果を共有し、数か月後の再検査を検討する。
- 性感染症の既往がある、パートナーが複数いる、若年層などは定期的なスクリーニングが有効です。
⚫︎腟トリコモナス症に関連する病気や合併症
- 女性:細菌性腟症の合併、子宮頸部炎、上行感染による骨盤内炎症性疾患の一因となる可能性、妊娠合併症(早産などが議論)。
- 男性:非淋菌性尿道炎、前立腺炎様症状。
- 共通:他の性感染症(淋菌・クラミジア・梅毒・HIVなど)との重複感染、心理的ストレスや性生活への影響。
⚫︎まとめ
- 腟トリコモナス症は原虫による性感染症で、悪臭のある泡状のおりものや外陰部のかゆみが特徴です。
- 診断は顕微鏡・培養・NAATなどで行い、内服薬で治療します。
- 再感染を防ぐにはパートナー同時治療と治療後の再検査、治療完了までの性行為中止が重要です。
- 妊娠中は合併症予防のため、早期受診と産科での管理を行いましょう。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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■ 参考・出典
日本性感染症学会「腟トリコモナス症(ガイドライン資料)」:診断と治療、パートナー同時治療、薬剤選択の基本が示されています。jssti.jp+1
日本性感染症学会「腟トリコモナス症(ガイドライン資料)」:診断と治療、パートナー同時治療、薬剤選択の基本が示されています。MSD Manuals
■ この記事を監修した医師
赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック
近畿大学 医学部 卒
近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。
「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。
医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。
医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。
- 公開日:2026/02/26
- 更新日:2026/02/26
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