不安症ふあんしょう

不安症(不安障害)は、過度の不安や心配が長期間続き、日常生活に支障をきたす精神疾患です。身体症状を伴うことも多く、薬物療法や認知行動療法を通じて改善が可能です。早期の診断と治療が回復の鍵となります。

不安症とは?

不安症とは、日常生活の中で感じる通常の不安とは異なり、持続的かつ過度な不安や心配が心身に強い影響を与える状態を指します。「不安障害」とも呼ばれ、精神疾患の一種です。

不安症にはいくつかのタイプがあり、主に全般性不安症(全般性不安障害)、社交不安症(社交不安障害)、パニック症、特定の恐怖症、強迫症(強迫性障害)などが含まれます。いずれも不安や恐怖が過剰であることにより、日常生活に支障をきたす点が共通しています。

発症は思春期から成人期に多く、男女を問わず誰でもかかる可能性があります。単なる性格や気の持ちようではなく、治療が必要な「こころの病気」として認識されるべきものです。

原因

不安症の原因は一つではなく、脳の働きの変化、遺伝的素因、性格傾向、環境要因などが複雑に関係して発症すると考えられています。

脳内の神経伝達物質、特にセロトニンやノルアドレナリン、GABA(ガンマアミノ酪酸)などのバランスの乱れが不安症に関与しているとされています。これにより、不安を感じやすくなったり、不安を鎮める力が弱まったりすることが起こります。

また、不安症の家族歴がある場合には発症リスクが高まることが知られています。几帳面、完璧主義、心配性などの性格傾向も発症に関与することがあります。

さらに、職場や家庭のストレス、トラウマとなる体験、人間関係の問題などの環境要因が引き金になることもあります。これらの要因が組み合わさり、心と体に大きな負担がかかることで発症に至ります。

症状

不安症では、心の症状と身体の症状が同時に現れることが多く、症状の出方は個人差があります。不安が慢性的に続くことで、日常生活に支障をきたすようになります。

主な心理的症状

  • 理由のない強い不安や恐怖
  • 将来に対する過度な心配
  • 集中力の低下、注意力散漫
  • 物事を否定的に考える傾向
  • 安心して休めない、リラックスできない

主な身体的症状

  • 動悸、息苦しさ(過呼吸)
  • 手足の震え、発汗
  • 胃の不快感、吐き気、下痢
  • 疲れやすい、頭痛、めまい
  • 不眠、寝つきの悪さ、熟睡感の欠如

これらの症状は時に「病気ではない」と誤解されることもありますが、れっきとした疾患であり、放置すれば悪化することもあるため、早めの対処が必要です。

診断方法と治療方法

診断

診断は精神科や心療内科などで行われ、医師による詳細な問診が中心となります。不安の程度、発症時期、持続時間、生活への影響、身体症状の有無などを丁寧に確認します。

必要に応じて、うつ病や統合失調症、身体疾患(甲状腺疾患、心疾患など)との鑑別のために血液検査や心電図などを行うこともあります。また、不安症に特有の評価尺度(GAD-7、HADSなど)を用いる場合もあります。

治療

  • 薬物療法:抗不安薬、抗うつ薬(SSRIやSNRI)などが処方されます。薬は脳内の神経伝達物質のバランスを整える役割を果たします
  • 認知行動療法(CBT):不安を引き起こす考え方のパターンを見直し、行動を変えるための心理療法です
  • 生活習慣の改善:規則正しい睡眠、栄養バランスの取れた食事、軽い運動の習慣などが回復を助けます

治療は個人に合わせて調整され、焦らず継続することが大切です。

予後

不安症は適切な治療を受けることで、多くの人が症状の改善や安定を得ることができます。特に、早期に診断され、薬物療法や認知行動療法が開始された場合、予後は良好とされています。

ただし、治療の中断やストレスの再燃などによって症状が再発することもあります。そのため、良くなったと感じても医師の判断に従って治療を続けることが重要です。

また、不安症は一度良くなっても再発しやすい性質があります。そのため、再発予防としてストレス管理やセルフケア、家族や職場の理解と支援が大切です。

長期的に症状が残る場合もありますが、治療と並行して不安への対処スキルを高めることで、生活の質を改善することが可能です。

予防

不安症の発症を完全に防ぐことは難しいものの、ストレスや生活習慣を適切に管理することで予防につなげることができます。心身の健康を日常的に意識することが大切です。

予防のポイント

  • 十分な睡眠と休息をとる
  • 一日3食、バランスのとれた食事を意識する
  • 軽い運動やストレッチを習慣化する
  • 過度な情報の遮断(SNSやニュースなど)を意識する
  • 一人で抱え込まず、信頼できる人に相談する
  • 深呼吸や瞑想など、リラックスできる時間を確保する

また、心配性や完璧主義など、不安につながりやすい性格傾向を持つ人は、早めに自分の傾向を知って対処することも予防になります。心理的なセルフケアも積極的に取り入れましょう。

関連する病気や合併症

不安症は、単独で存在することもありますが、他の精神疾患や身体疾患と併存することが多い疾患です。そのため、総合的な評価と治療が求められます。

精神的合併症

  • うつ病:不安症に続発して発症することが多く、最も頻度の高い合併症です

身体的合併症

  • 過敏性腸症候群(IBS):不安によって腸の機能が乱れる疾患です
  • 心身症:心の問題が身体症状として現れることがあります
  • 高血圧、動悸、睡眠障害:不安による交感神経の過剰反応によって起こります

こうした合併症がある場合は、精神面だけでなく身体面のケアも同時に行う必要があります。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

日本精神神経学会「不安症診療ガイドライン」(https://www.jspn.or.jp/)

国立精神・神経医療研究センター(https://www.ncnp.go.jp/)

日本不安症学会(https://jpsad.jp/)

■ この記事を監修した医師

関根 要子医師 デイリースキンクリニック

帝京大学 医学部 卒

帝京大学医学部卒業後、精神科の常勤医師として日本医科大学と根岸病院にて従事。患者様のこころに寄り添いながら適切な医療を提供。その後、医療スキンケアという、日々の気持ちを左右する美容医療の分野へ転身。痩身専門クリニックや、美容のクリニックでの勤務を経て、DAILYSKINCLINICの医師を担当。

精神科医の専門医であることから、患者様の気持ちに寄り添う診療を心がけております。
ご体調のことや、不安なことがあればなんでもご相談ください。

  • 公開日:2025/07/22
  • 更新日:2025/07/22

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