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インフルエンザ脳症の原因と症状|大人もなる確率はある?
- 公開日:2026/10/09
- 更新日:2026/10/09
インフルエンザ脳症は、発症後に意識障害やけいれん、異常な言動が急速に現れる重篤な合併症です。子どもに多いものの大人にも発症する可能性があります。この記事では、インフルエンザ脳症の原因や症状の見分け方、受診の目安、治療法や予防策を解説します。
インフルエンザ脳症は、インフルエンザの発症後に意識障害やけいれん、異常な言動などが現れる重篤な合併症です。
主に子どもにみられますが、大人が発症するケースもあります。
症状が急速に進む可能性があるため、「呼びかけに反応しない」「けいれんが続く」といった異変を見逃さないことが大切です。
本記事では、インフルエンザ脳症の原因や症状、受診の目安、治療法について解説します。
インフルエンザ脳症とは

インフルエンザ脳症は、インフルエンザ感染をきっかけに脳の機能が障害される病気です。
一般的なインフルエンザとの違いや、発症しやすい年代について解説します。
インフルエンザ発症後に急速に悪化することがある
インフルエンザ脳症は、発熱から比較的短い期間で意識障害やけいれんなどが現れ、急速に全身状態が悪化することがあります。
脳だけでなく、肝臓や腎臓など複数の臓器に影響が及ぶケースもあるため注意が必要です。
発熱の高さだけでは重症度を判断できません。
呼びかけに対する反応や会話の様子、視線、手足の動きなど、普段との違いを確認しましょう。
子どもに多いが大人でも発症する
インフルエンザ脳症は、主に乳幼児を含む子どもにみられます。
しかし、子どもだけの病気ではなく、大人や高齢者にも発症例があります。
大人では、意識障害や異常な言動がインフルエンザによる体調不良や高熱の影響と判断され、異変に気づくのが遅れる可能性があります。
年齢にかかわらず、反応がおかしい、会話が成立しないなどの症状があれば早急な対応が必要です。
大人がインフルエンザ脳症を発症する確率
大人のインフルエンザ脳症はまれであり、一般の方に当てはめられる正確な発症確率は明らかになっていません。
報告数は子どもより少ないものの、成人の発症例も確認されています。
高齢者や基礎疾患がある方だけでなく、持病のない大人が発症する可能性も否定できません。
「大人だから脳症にはならない」と判断せず、意識状態や言動に異変があれば速やかに医療機関へ相談しましょう。
インフルエンザ脳症が起こる原因

インフルエンザ脳症は、ウイルスが脳内で直接増殖するだけで起こる病気ではありません。発症には、感染に対する過剰な免疫反応などが関係すると考えられています。
インフルエンザ感染による免疫反応が関係する
インフルエンザウイルスに感染すると、体内ではウイルスを排除するために免疫反応が起こります。
インフルエンザ脳症では、この反応が過剰になり、サイトカインと呼ばれる物質が大量に放出されることが発症に関係すると考えられています。
過剰な炎症反応によって血管や臓器が傷つくと、脳を含む全身に影響が及ぶ可能性があります。
ただし、発症の仕組みは完全には解明されていません。
なぜ脳に影響が及ぶのか
過剰な免疫反応によって血管の働きが乱れると、血液と脳の間で物質の移動を調整する「血液脳関門」の機能が損なわれる可能性があります。
その結果、脳にむくみが生じたり、神経細胞が傷ついたりすると考えられています。
さらに、代謝異常や多臓器障害が重なることで脳への負担が増すケースもあります。
髄液検査でウイルスが検出されない場合がある点も、一般的な脳炎とは異なる特徴です。
発症しやすい年齢やリスク要因
インフルエンザ脳症は、特に5歳以下の乳幼児に多いとされています。
低年齢の子どもは免疫機能や代謝機能が発達途中であることが、発症しやすさに関係すると考えられます。
一方、年齢だけで発症の有無を予測することはできません。
基礎疾患のない子どもにも起こり、大人にも発症例があります。
インフルエンザと診断された後は、年齢にかかわらず意識状態を観察しましょう。
インフルエンザにかかれば必ず発症するわけではない
インフルエンザ脳症は、インフルエンザに感染した方の一部に起こるまれな合併症です。
感染した方が必ず発症するわけではないため、必要以上に恐れる必要はありません。
ただし、発症を事前に正確に予測することは困難です。
まずはインフルエンザの初期症状や自宅で確認すべきポイントを把握し、経過中に意識や言動の変化がないか確認しましょう。
インフルエンザ脳症の主な症状

インフルエンザ脳症では、意識障害やけいれんなどの神経症状がみられます。
単なる高熱による不調と判断せず、次のような症状に注意してください。
意識障害
意識障害では、呼びかけても目を開けない、反応が鈍い、視線が合わないといった変化が現れます。
一度目を覚ましてもすぐ眠り込む、自分の名前や居場所を答えられないなどの症状がみられることもあります。
眠っているだけか判断に迷う場合は、名前を呼び、普段と同じように受け答えできるか確認してください。反応がおかしい状態が続く場合は、速やかな受診が必要です。
けいれん
けいれんでは、手足が突っ張る、全身が繰り返し震える、目が上を向くなどの症状が現れます。
体の一部だけが震える場合や、けいれん後に意識が戻らない場合もあります。
けいれん中は無理に押さえつけたり、口の中に物を入れたりしないでください。
周囲の危険物を遠ざけ、横向きに寝かせたうえで、続いた時間や体の動きを確認しましょう。
異常な言動・行動
突然意味の通らないことを話す、存在しないものが見えると訴える、家族を認識できないなどの症状が現れることがあります。
急におびえる、意味もなく笑う、部屋から飛び出そうとするといった行動にも注意が必要です。
異常行動はインフルエンザ治療薬の服用の有無にかかわらず報告されています。
少なくとも発熱後2日間は、子どもを一人にしないなどの見守りが重要です。
嘔吐や頭痛などの症状
インフルエンザ脳症では、繰り返す嘔吐や強い頭痛を伴うことがあります。
ただし、嘔吐や頭痛は通常のインフルエンザ、脱水症状、ほかの感染症でも起こるため、これらの症状だけで脳症とは判断できません。
水分を取れない、激しい頭痛とともに反応が鈍くなる、嘔吐を繰り返してぐったりしている場合は、早めに医療機関へ相談してください。
インフルエンザ脳症と熱せん妄の違い

高熱が出たときは、熱せん妄によって一時的に普段と異なる言動がみられることもあります。
家庭で完全に見分けるのは難しいため、症状の持続時間や意識状態を確認することが重要です。
異常行動だけでは見分けにくい
熱せん妄では、発熱時に寝ぼけたような状態になり、意味の通らない発言や幻覚、一時的な興奮などがみられます。
インフルエンザ脳症でも似た症状が起こるため、異常行動の内容だけで区別することは困難です。
短時間で普段どおりに戻る場合は熱せん妄の可能性がありますが、自己判断は禁物です。
症状を動画で記録しておくと、診察時の情報として役立つことがあります。
意識障害が続く場合は脳症を疑う
呼びかけへの反応が悪い状態や会話が成立しない状態が続く場合は、インフルエンザ脳症を含む重篤な病気を考える必要があります。いったん症状が落ち着いても、再び意識状態が悪化するケースにも注意してください。
自宅で熱せん妄か脳症かを確定することはできません。
判断に迷ったときは、地域の救急相談窓口や医療機関へ連絡し、症状を具体的に伝えましょう。
インフルエンザ脳症を疑うときの受診目安

意識障害や長引くけいれんは、緊急性の高い症状です。
受診を迷っている間に状態が悪化する可能性もあるため、次の目安を参考に速やかに行動してください。
呼びかけへの反応がおかしい場合は速やかに受診する
名前を呼んでも反応しない、目が合わない、簡単な質問に答えられない場合は、速やかに医療機関を受診してください。起こしてもすぐ眠り込む、立てないほどぐったりしている場合も注意が必要です。
反応が著しく悪い場合や呼吸状態にも異常がある場合は、救急車を要請してください。
受診の必要性や受診先に迷ったときは、クラウドドクターで医師に相談できます。
ただし、緊急性が高い症状がある場合はオンライン診療を待たず、救急要請を優先しましょう。
けいれんが続く場合は救急受診を検討する
けいれんが5分以上続く、短時間に繰り返す、けいれん後も意識が戻らない場合は、救急車を要請してください。初めてけいれんを起こした場合や、呼吸が苦しそうな場合も緊急の対応が必要です。
安全を確保したうえで、けいれんが始まった時刻や持続時間、手足の動き、顔色を観察します。
けいれんが止まっても、自己判断で受診を取りやめないようにしましょう。
異常な言動や行動が続く場合も注意する
家族が分からない、話のつじつまが合わない、存在しないものが見えると訴えるなどの状態が続く場合も受診が必要です。
窓やベランダから飛び出そうとするなど、事故につながる行動がみられることもあります。
保護者は子どもから目を離さず、玄関や窓を施錠して安全を確保してください。異常行動の前後に服用した薬や発熱時刻も記録しておくと、診察に役立ちます。
インフルエンザ脳症の検査と診断

インフルエンザ脳症は、一つの検査だけで診断できる病気ではありません。症状の経過や診察所見、複数の検査結果を組み合わせて判断します。
症状や経過から脳症の可能性を確認する
医療機関では、発熱した時期や意識障害が始まった時刻、けいれんの有無、異常行動の内容などを確認します。
インフルエンザ検査が陰性でも、検査のタイミングなどによっては感染を完全に否定できません。
家族が撮影した動画や、体温と症状の記録が診断の手がかりになる場合があります。
服用中の薬や既往歴についても、漏れなく医師へ伝えましょう。
血液検査や画像検査などを行う
血液検査では、炎症や肝機能、腎機能、血糖、血液凝固などを確認します。
必要に応じて頭部CTやMRI、脳波、髄液検査などを行い、脳のむくみや損傷の有無、ほかの病気の可能性を調べます。
発症初期には画像検査で明らかな異常がみられないこともあります。
そのため、検査結果だけでなく、意識状態や症状の変化を継続して評価することが重要です。
インフルエンザ脳症の治療

インフルエンザ脳症の治療では、呼吸や循環を安定させながら、けいれんや脳のむくみなどに対応します。
患者さんの状態に応じて、複数の治療が組み合わされます。
全身状態を保つための治療を行う
治療では、呼吸、血圧、体温、血糖などを管理し、全身状態を安定させます。
酸素投与や点滴、必要に応じた抗インフルエンザ薬の投与などが検討されます。
インフルエンザ脳症は脳だけでなく、肝臓や腎臓、循環器などにも影響する可能性があります。
そのため、各臓器の状態を確認しながら、異常に応じた治療を進めます。
重症例では集中治療が必要になる
意識障害が強い場合や呼吸・循環が不安定な場合は、集中治療室での管理が必要になることがあります。
人工呼吸器による呼吸管理や、血圧を保つための薬剤投与などが行われます。
重症化すると短時間で状態が変化するため、継続的な監視が欠かせません。
専門的な治療が必要と判断された場合は、小児専門施設や高度医療機関へ搬送されることもあります。
けいれんや脳の腫れなどに対する治療
けいれんが続いている場合は、抗けいれん薬を使用して発作を抑えます。
脳のむくみが疑われる場合は、頭蓋内の圧力を下げる治療などが検討されます。
症状や重症度によっては、ステロイドパルス療法や免疫グロブリン療法などが選択されることもあります。
ただし、治療内容は病型や全身状態によって異なるため、担当医が個別に判断します。
インフルエンザ脳症の後遺症と予後

インフルエンザ脳症は回復する方がいる一方で、重症度によっては後遺症が残る可能性があります。
急性期の治療後も、状態に応じた経過観察や支援が必要です。
重症化すると後遺症が残ることがある
重症化した場合は、運動障害や知的障害、てんかん、言語障害などの後遺症が残る可能性があります。
集中力や記憶力の低下、行動面の変化などがみられるケースもあります。
国立感染症研究所が2019年に公表した情報では、当時の年間発症は100~300例、致命率は7~8%、後遺症は約15%と報告されています。
ただし、これらは主に小児を含む過去の集計であり、現在の個々の予後を示す数値ではありません。
早期発見と速やかな治療が重要
インフルエンザ脳症は急速に進行することがあるため、早期に異変を発見して医療機関につなげることが重要です。ただし、早く受診すれば必ず後遺症を防げるとは限りません。
発熱の程度だけで判断せず、意識状態や言動、けいれんの有無を確認してください。
退院後に運動や発達、学習面などの変化がみられた場合は、主治医へ相談し、必要なリハビリテーションや支援につなげます。
インフルエンザ脳症を予防するためにできること

インフルエンザ脳症を確実に防ぐ方法はありませんが、インフルエンザへの感染や重症化を防ぐ対策は発症リスクの低減につながると考えられます。
インフルエンザワクチンで重症化リスクを抑える
インフルエンザワクチンには、発症を完全に防ぐ効果はありませんが、発症や重症化を予防する効果が期待できます。脳症を確実に防ぐものではないものの、インフルエンザによる重い合併症を減らすための対策の一つです。
接種できる時期や回数は年齢によって異なります。
持病やアレルギーがある場合は、接種前にかかりつけ医へ相談しましょう。
インフルエンザに感染したら安静にする
インフルエンザと診断されたら、十分な休養と水分補給を心がけます。
ただし、安静にしていればインフルエンザ脳症を必ず予防できるわけではありません。
家族は体温だけでなく、呼びかけへの反応や会話の様子、水分摂取量、尿の回数も確認しましょう。
医療機関を受診すべきか迷う場合や外出が難しい場合は、クラウドドクターのオンライン診療で医師に相談できます。
ただし、意識障害やけいれんなど緊急性の高い症状があるときは、オンライン診療を待たずに救急車を要請してください。
解熱剤は自己判断で使用せず医師や薬剤師に相談する
インフルエンザ発症時の解熱剤は、年齢や体調に適した成分を選ぶ必要があります。特に子どもには使用を避けるべき薬があるため、家庭に残っている処方薬や家族の薬を自己判断で与えてはいけません。
市販薬を使用する場合も、インフルエンザの可能性や年齢を医師または薬剤師へ伝えてください。
すでに薬を使用して体調が変化した場合は、薬の名称と服用時刻を受診先へ伝えましょう。
インフルエンザ脳症に関するよくある質問

最後に、インフルエンザ脳症の発症時期や死亡率、発症しやすい年齢について解説します。
インフルエンザ脳症は発症後いつまで注意が必要?
インフルエンザ脳症は、発熱後の早い段階で発症するケースが多く、特に発症から1~2日程度は意識状態やけいれん、異常行動に注意が必要です。ただし、発症時期には個人差があります。
時間が経過したからといって、異変を放置してよいわけではありません。
反応が鈍い、会話が成立しない、けいれんが起きたなどの症状があれば、発症からの日数にかかわらず速やかに受診してください。
インフルエンザA型とB型で脳症のなりやすさは違う?
インフルエンザ脳症は、A型とB型のどちらでも起こる可能性があります。
流行するウイルスの型や年によって報告数は変動するため、型だけで個人の発症リスクを判断することはできません。
「B型だから重症化しない」「A型でなければ脳症にならない」と考えるのは適切ではありません。検査結果の型にかかわらず、意識障害やけいれんなどの異変を基準に対応しましょう。
インフルエンザ脳症の死亡率は?
国立感染症研究所が2019年に公表した情報では、インフルエンザ脳症の致命率は7~8%とされています。
診療体制の整備などによって過去より改善したものの、命に関わる可能性がある重篤な合併症です。
死亡率は調査時期や対象者、病型によって異なり、個人の予後をそのまま示すものではありません。数字だけで判断せず、疑わしい症状がある場合は早期に医療機関へつなげることが大切です。
インフルエンザ脳症は何歳がなりやすい?
インフルエンザ脳症は小児に多く、特に5歳以下の乳幼児で注意が必要です。ただし、学童期以降の子どもや大人、高齢者にも発症する可能性があります。
年齢が発症しやすさの一つの目安になっても、家庭で脳症を除外する根拠にはなりません。
年齢を問わず、呼びかけへの反応や会話、行動に明らかな異変がみられた場合は、速やかに医療機関へ相談しましょう。
インフルエンザ脳症は意識障害やけいれんを見逃さないことが大切

インフルエンザ脳症は、インフルエンザ発症後に意識障害やけいれん、異常な言動などが現れる重篤な合併症です。
子どもに多いものの、大人にも発症する可能性があります。
呼びかけに反応しない、けいれんが続く、会話が成立しないなどの症状があれば、様子を見続けず速やかに受診してください。呼吸状態が悪い場合や意識が戻らない場合は、救急車を要請する必要があります。
家族は体温だけでなく、呼びかけへの反応や会話の様子、水分摂取量、尿の回数も確認しましょう。
医療機関を受診すべきか迷う場合や外出が難しい場合は、クラウドドクターのオンライン診療で医師に相談できます。
ただし、意識障害やけいれんなど緊急性の高い症状があるときは、オンライン診療を待たずに救急車を要請してください。
症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。
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