高尿酸血症こうにょうさんけっしょう

高尿酸血症は、血液中の尿酸が慢性的に高い状態を指し、放置すると痛風発作や尿路結石、腎障害などの合併症を引き起こします。生活習慣の見直しと必要に応じた薬物療法により、尿酸値の管理と発作予防が可能です。

高尿酸血症とは?

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が基準値(7.0mg/dL)を超えて高くなっている状態を指します。尿酸は体内のプリン体の代謝産物で、主に肝臓で作られ、腎臓から尿として排出されます。

尿酸が血液中で過剰になると、結晶化して関節や腎臓に沈着し、痛風や腎機能障害の原因になります。高尿酸血症は、自覚症状がないまま進行することが多いため、健康診断で指摘されるケースが多く、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

痛風を引き起こすリスクがある場合は「治療対象」とされ、症状がなくても予防的な管理が必要となります。食事や飲酒、運動習慣など、生活習慣の影響が大きく、生活改善が予防と治療の基本になります。

原因

高尿酸血症の原因は、尿酸の「産生過剰型」「排泄低下型」「混合型」の3つに分けられます。特に日本人では排泄低下型が多いとされています。

主な原因

  • プリン体の摂りすぎ:レバー、魚卵、ビールなど
  • 飲酒:アルコールは尿酸の排泄を抑制し、産生を促進する
  • 肥満:尿酸の生成増加と排泄低下を同時に招く
  • 腎機能低下:尿酸の排泄がうまくいかなくなる
  • 脱水:尿酸が濃縮されることで血中濃度が上昇
  • 薬剤:利尿薬、サイクロスポリンなどの影響
  • ストレスや激しい運動:細胞代謝が活発になり尿酸産生が増加

遺伝的要因

  • 家族歴がある人は発症しやすい傾向にあります

原因の評価に基づいて、食事療法や薬物療法が選択されます。

症状

高尿酸血症そのものはほとんどが無症状です。しかし、尿酸が結晶化して体内に沈着するようになると、さまざまな症状が現れるようになります。最も有名なのが痛風発作です。

無症候性高尿酸血症

  • 健康診断などで尿酸値の高さを指摘されるが、症状なし
  • この段階でも腎臓や血管には負担がかかっている可能性あり

痛風発作

  • 突然の激しい関節の痛み(特に足の親指)
  • 患部が赤く腫れ、熱を持つ
  • 歩行困難になるほどの痛み
  • 数日〜1週間程度で自然に治まることが多いが、再発しやすい

尿路結石

  • 尿酸が結晶化して尿路に石を形成
  • 背中や下腹部の激しい痛み、排尿時の痛み、血尿

慢性腎障害や高血圧との関係

  • 無症状でも、尿酸の蓄積が腎機能を徐々に低下させることがある

症状が出る前の段階での管理が合併症予防につながります。

診断方法と治療方法

診断

  • 血液検査
    - 血清尿酸値が7.0mg/dL以上で診断
    - その他:腎機能(クレアチニン、eGFR)、肝機能、尿酸排泄量の測定
  • 尿検査:尿中尿酸の排泄量を測定し、タイプ(産生過剰型/排泄低下型)を分類
  • 画像検査:痛風結節の有無、尿路結石の評価(エコー、CTなど)

治療

  • 生活習慣の改善
    - プリン体の多い食品を控える(肉、魚卵、アルコール)
    - 十分な水分摂取(1日2リットル以上)
    - 適度な運動と体重管理
  • 薬物療法(必要時)
    - 尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタットなど)
    - 尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロンなど)
    - 急性痛風発作時にはNSAIDs、コルヒチン、ステロイドなどを使用

継続的な血液検査で尿酸値を確認し、6.0mg/dL未満の維持を目指します。

予後

高尿酸血症自体は致命的な病気ではありませんが、適切に管理しないと痛風や腎障害、心血管疾患のリスクを高める可能性があります。

良好な予後が期待できるケース

  • 早期から食事・運動療法に取り組み、体重と尿酸値をコントロールできている
  • 定期的に血液検査を受けて数値をモニタリングしている
  • 薬物療法により尿酸値が安定している
  • 水分摂取や禁酒など、生活習慣の工夫ができている

予後が悪化する可能性があるケース

  • 尿酸値が高いまま放置され、痛風発作を繰り返す
  • 尿路結石や腎機能低下が進行する
  • 高血圧や脂質異常症を合併し、動脈硬化性疾患のリスクが上昇
  • 薬の中断や不適切な食事・飲酒習慣が続いている

予後を良くするには、長期的かつ一貫した管理が必要です。

予防

高尿酸血症は生活習慣と深く関係しており、日々の工夫で予防が可能です。肥満予防、食事の見直し、適度な運動、水分摂取が基本になります。

食事での予防

  • プリン体の多い食品を控える:レバー、白子、干物、魚卵、ビールなど
  • 野菜や海藻、乳製品の積極的な摂取
  • 果糖(清涼飲料水、果汁飲料)の過剰摂取に注意
  • 1日3食規則正しく、バランスよく摂取する

運動と体重管理

  • ウォーキングなど軽い運動を継続する(週150分が目安)
  • 急激な運動や断食は尿酸値を上げるため避ける
  • BMI25未満を目指す

生活習慣の工夫

  • 1日2リットル以上の水分をこまめに摂る
  • アルコールは控えめに(特にビール)
  • 禁煙、ストレス管理、十分な睡眠も重要

予防は合併症を防ぐ最も効果的な方法です。

関連する病気や合併症

高尿酸血症は単独では症状がなくても、他の重大な病気を引き起こす要因となります。これらの合併症の予防と早期発見が重要です。

関節関連

  • 痛風:関節に尿酸結晶が沈着して激しい炎症を起こす

腎臓関連

  • 尿路結石:尿酸結石による激痛、血尿、腎機能障害
  • 慢性腎臓病(CKD):尿酸による腎血管障害
  • 痛風腎:長期的な尿酸蓄積による腎機能の低下

心血管系合併症

  • 高血圧
  • 動脈硬化
  • 心筋梗塞や脳梗塞のリスク増加(メタボリックシンドロームとの関連)

代謝異常

  • 2型糖尿病との併発も多く、相互に悪影響を与える

これらの合併症を未然に防ぐためにも、早期の対応が不可欠です。

症状が気になる場合や、体調に異変を感じたら自分で判断せず、医療機関に相談するようにしましょう。

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■ 参考・出典

日本痛風・核酸代謝学会「高尿酸血症・痛風ガイドライン」(https://www.tukaku.jp/)

国立国際医療研究センター「尿酸と痛風」(https://www.ncgm.go.jp/)

日本内科学会「内科学 第11版」

■ この記事を監修した医師

赤松 敬之医師 西梅田シティクリニック

近畿大学 医学部 卒

近畿大学医学部卒業。
済生会茨木病院にて内科・外科全般を担当。
その後、三木山陽病院にて消化器内科・糖尿病内科を中心に、内視鏡を含む内科全般にわたり研鑽を積む。
令和2年9月、大阪梅田に『西梅田シティクリニック』を開院。

「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。 医院経営や医療関連のビジネスにも携わりつつ、医療現場に立ち続ける。
さらに、医師として医薬品の開発や海外での医療支援にも従事している。

  • 公開日:2025/07/16
  • 更新日:2025/07/16

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