地域の医療機関・薬局と連携し、佐渡島内の皮膚科受診機会を支援
皮膚のかゆみ・湿疹・できもの・肌荒れなどは、日常の中で多くの方が経験する身近な症状です。
一方で、症状によっては専門的な判断や、継続的な相談が必要になることもあります。
佐渡島内では、開業医の高齢化や担い手不足が地域医療の課題となる中、島内唯一の皮膚科開業医が2026年7月末に閉院。皮膚科を受診できる医療機関が基幹病院に限られる状況となり、患者様の集中による負荷の増大が懸念されていました。
こうした中、患者様の受診先を心配する声を受けた地域の調剤薬局グループが、クラウドドクターと近隣の内科医院へ相談。地域医療を置き換えるのではなく、支えるための「補完型」のオンライン診療として、皮膚科の受診機会を継続する体制づくりが始まりました。
皮膚科の受診先が限られ、相談先を選びにくい
佐渡島内で皮膚科を受診できる選択肢が限られることは、患者様にとって大きな不安につながります。
「この症状はどこに相談すればいいのか」
「基幹病院を受診するほどなのか」
「継続して同じ先生に相談できるのか」
特に高齢の患者様にとっては、遠方への移動や新しい医療機関を探すこと自体が負担になる場合もあります。また、すべての患者様が基幹病院へ集中すると、地域全体の医療提供体制にも負荷がかかりやすくなります。
皮膚科の受診機会をどう守るか。
必要な患者様を、適切な医療へどうつなぐか。
その課題に対し、地域の医院・薬局・島外の皮膚科医が連携する新しい診療体制が検討されました。
地域医療を置き換えるのではなく、支える仕組みをつくる
今回の取り組みは、地域の医療機関をオンライン診療に置き換えるものではありません。目指したのは、佐渡島内にある医療機関や薬局と連携しながら、島外の皮膚科医と患者様をオンラインでつなぎ、地域の皮膚科受診機会を補完することです。
- 患者様は、たなか内科医院へ来院。
- 現地では医院の看護師が付き添い、島外の皮膚科医がオンラインで診察します。
- 地域の調剤薬局グループは、処方応需を通じて服薬をサポートします。
オンラインだけで完結させるのではなく、地域の医院・看護師・薬局・島外の専門医がそれぞれの役割を担う。患者様が安心して皮膚科診療へつながれるよう、地域医療を支える仕組みとして、来院型オンライン診療の体制づくりが進められました。
地域の医院に来院し、島外の皮膚科医へつながる
本取り組みでは、佐渡市下新穂の「たなか内科医院」を拠点に、皮膚科の来院型オンライン診療を実施します。
たなか内科医院が診療時間外に診察室を開放し、来院した患者様を、島外の皮膚科医がオンラインで診察します。これは、患者様が医療機関に来院し、看護師のサポートを受けながら医師の診療につながる「来院型オンライン診療(D to P with N)」の形です。
自宅から一人でオンライン診療を受けるのではなく、地域の医院に来院して受診できることが、この取り組みの大きな特徴です。
診療日時は、月曜・金曜が午後2時〜5時、水曜が午後1時〜4時。
会場は、新潟県佐渡市下新穂の『たなか内科医院』です。
患者様にとっては、島外の専門医につながりながらも、受診場所は地域の身近な医院。完全に一人でオンライン診療を受ける不安を抑えながら、皮膚科診療へアクセスしやすい環境を整えています。
看護師・薬局・専門医が支える、安心して受診しやすい体制へ
オンライン診療を地域で活用するうえで大切なのは、患者様が安心して受診できる環境を整えることです。今回の診療では、現地で医院の看護師が診察に付き添います。デジタル機器の操作に不慣れな高齢の患者様でも、診療時にサポートを受けながら受診できる体制です。
また、佐渡向けには、クリニックでの勤務経験が豊富な女性皮膚科医を配置。高齢の患者様が継続して同じ医師に相談できるようにしています。診療後は、地域の調剤薬局グループが処方応需により服薬をサポートします。医師の診療だけで終わるのではなく、薬の受け取りや服薬まで地域の中で支えられることも、この取り組みの重要なポイントです。
“画面越し”でも、対面に近い診察環境を
今回の診療では、MUSVI株式会社のテレプレゼンスシステム「窓」を活用しています。
「窓」は、相手が等身大で映り、臨場感と遅延感の少なさによって、対面同等のリアリティを実現するシステムです。相手の様子だけでなく、空間の雰囲気まで自然に伝わるため、島外の皮膚科医が来院した患者様を診察する環境づくりに活用されています。
皮膚科は、視診が重要な診療科です。だからこそ、単に画面でつなぐだけではなく、医師と患者様ができるだけ自然に向き合える環境をつくることが大切になります。
島外の専門医と佐渡島内の患者様を、より対面に近い形でつなぐ。
「窓」の活用により、オンライン診療でありながらも、相談しやすい診察環境を支えています。
基幹病院へ集中させず、必要な医療へつなぐ
今回の取り組みで重視しているのは、オンライン診療だけで完結させることではありません。症状が重い患者様や、判断が難しい患者様については基幹病院へつなぐなど、一次医療で患者様の状態を見極め、適切な医療へつなぐ「トリアージ」を大切にしています。
すべての患者様をオンライン診療で診るのではなく、地域の医院で相談できる入口をつくり、必要に応じて基幹病院へつなぐ。その流れを整えることで、皮膚科の受診機会を守りながら、地域全体の医療負荷をできるだけ分散することを目指しています。オンライン診療は、地域医療の代わりではなく、地域医療を支えるための選択肢のひとつです。
離島の医療アクセスを守る、新しい地域連携のかたちへ
視診が重要な皮膚科は、オンライン診療との親和性が高い領域です。一方で、オンラインだけで解決できない領域があることも事実です。だからこそ、一次医療で患者様の状態を見極め、必要な場合は地域の基幹病院へつなぐ「トリアージ」が欠かせません。地域の医院が場所を開き、看護師が診療を支え、薬局が服薬をサポートし、島外の専門医がオンラインで診察する。それぞれの役割を組み合わせることで、離島における医療アクセスを補完する仕組みが生まれました。
クラウドドクターは、地域の医療機関・薬局と連携しながら、医療に困っている方の助けとなれるよう、離島の医療アクセスを守る取り組みを続けていきます。
同じ地域医療課題で導入をご検討の方へ
クラウドドクターは、「医療を、インフラにする。」をミッションに、医師への相談・診療から薬の受け取りまでを支えるオンライン診療プラットフォームを提供しています。施設向けオンライン診療ソリューション「どこでも診療所」では、医療機関や企業・教育機関等に対し、組織内の医療インフラ構築をサポートしています。
医療機関・薬局・自治体・企業・教育機関など、日常の場所に医療へつながる導線を整えたい方は、お気軽にご相談ください。
